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苦汁72.2%をなめる〜24-25シーズン第11週振り返り

今週は、週明けの月曜日がカナダのサンクスギビングデーでしたが、10月の第2月曜日は日本も祝日なので、比較的無理なく観戦を楽しめた方も多いかと思います。ただ、今週は、予選を通過できなかったチームも多く、やきもきしたファンの方もいそうですね。

ちなみに、この写真は尾崎世界観さんの本の表紙のようです(noteにある画像ライブラリに出てきました)。“くじゅう”というふりがなが振ってあるのは、ニガリとも読むからでしょうか。私も“くじゅう”のつもりで使っています。


今週は結構苦労した日本の各チーム

少しずつチーム構成に差があった各大会

私の印象としては、カナダ遠征が始まって以来、苦労したチームが一番多かったのが今週かと思います。最高成績がベスト8「Stu Sells トロント タンカード」の🇯🇵コンサドーレと、Curlers Corner オータム ゴールド」の🇯🇵ロコ・ソラーレと🇯🇵SC軽井沢クラブ女子がベスト8でした。11チームが大会に参加していましたが、残りの8チーム(72.7%!)は予選敗退でした。毎週ほぼもれなくプレーオフに残ってくれるMDのペアがそろってお休みだったからかもしれませんが…。それぞれの大会にも少しずつ違った特徴があって、同じ予選落ちでも私の印象は少しずつ違います

「Stu Sells トロント」の男子の場合、参加チームに先週のツアー・チャレンジTier 2の出場チームの半分(8チーム)が含まれており、一方で世界ランキング100位以下のチームは1つしかありませんでした。つまり、“すごく強いチームは少ないけど、力の落ちるチームも少ない”というある意味で難しい予選でしたが、どの試合にも学ぶところがありそうとも考えられます。そんな中で、日本の5チームは、2つのカーリング場を行き来しながら、少ないチームでも5試合、コンサドーレは8試合も試合ができたので、その点は前向きに捉えられる気がします。今後の研鑽のための良い材料になればいいなぁと思います。

反対にStu Sells トロント」の女子は、グランドスラムの常連と言えるチームが多く参加しており、最終的なベスト4も、🇰🇷キム・ウンジョン、🇨🇭ティリンツォーニ、🇸🇪ヴラノー、🇨🇭X.シュヴァラーという顔ぶれ。どちらかと言えば、“予選は通過できても、プレーオフに入ると強い相手が待っている”という感じ。そういう意味では、地元のチームに2回負けて敗退した🇯🇵中部電力の予選敗退は少し残念でした。🇨🇭X.シュヴァラーとのBイベント決勝は第8エンドに3点差を追いつく面白い試合でしたが、初戦で負けた🇨🇦アームストロングには、去年から3連敗。何か相性の悪さでもあるのですかね…。

Curlers Corner オータム ゴールドは、ツアー・チャレンジ帰りのチームが半数と一番高い割合で、トリプルノックアウト方式であったこともあり、ランキングの高いチーム同士が当たることも多かった気がします。参加チームの中で世界ランキング上位2チームだった🇯🇵ロコ・ソラーレと🇰🇷キム・ウンジが準々決勝で当たったのも、最初から決まっていたトーナメント表の通りとはいえ、少し不運だった気がしますし、🇨🇦スカーリク(世界ランキング17位)、🇨🇦ローズ(同12位)、🇰🇷キム・ウンジ(同3位)の3チームに負けて敗退した🇯🇵北海道銀行(同13位)についても、なかなか厳しい対戦相手だったという印象です。とはいえ、グランドスラムで予選通過するには、それと同じぐらい、またはそれ以上の相手に、最低でも2勝2敗の成績を残さないといけない(ラウンドロビン方式の場合)ので、グランドスラムの良い予行練習になった気もします。山本選手をスキップで出場させるなど、1つの形にこだわらずにいろいろな戦い方を見せているようですし、ここも通過点の1つになるのかもしれません。

遠征の終わりと再開

今週でカナダ遠征が終わるチームがいくつかあるようです。男子では、KiTカーリングクラブが4週間の遠征を終えて帰国するようです。他のチームに比べると、大会のレベルは抑えて、いろいろな地域の大会に出場した印象でした。最後の「Stu Sellsトロント」でAイベント決勝まで行ったので、その集大成をプレーオフで見せられると良いと思いましたが、そこから3連敗でそれは叶わず。ただ、🇨🇭フースリ(Hösli)や🏴󠁧󠁢󠁳󠁣󠁴󠁿クレイク(Craik)との対戦など、カナダに来ないとできない経験もあったのかと思います。

女子は、🇯🇵ロコ・ソラーレ、🇯🇵フォルティウス、🇯🇵中部電力の3チームが、一旦今週で遠征を終えるようですが、グランドスラム第2戦「カナディアン・オープン」の前に再びカナダに向かうことになるでしょう。このぐらいの時期になると、ここまでの成績でシーズン開始当初のスケジュールを変更することも増えますが、今年はカナダに戻ってくることをほぼ確定させた(=グランドスラム第2戦に出場できそう)状態で一時帰国できるのは、良かったかと思います。去年は、「グランドスラムに出る予定で、その前の週に近くの大会にエントリーしていたのに、出場できずにキャンセルした」とか、反対に「成績が伸びなくて、ポイントを稼ぐ機会を失いたくないので、出ない予定だった大会に出場する」とか、“下方修正”に近い変更を数チームがしていました。今年は改めて滞在先を探さないといけないとか、うれしい悩みの方が多いのかもしれません。🇯🇵フィロシーク青森も今週で遠征終了ですが、去年のような成績は残せませんでした。少ない機会の中で何か得るものがあって、チームの真価を東北選手権や日本選手権で披露できると良いですね。

月末から始まるPCCCに向かう🇯🇵コンサドーレや🇯🇵SC軽井沢女子、カナダ遠征が続く🇯🇵北海道銀行、🇯🇵SC軽井沢男子、🇯🇵TM軽井沢の各チームと🇯🇵松村/谷田、そして、今週からの2度目の遠征で5連戦が始まった🇯🇵ロコ・ドラーゴは、来週以降もカナダに滞在するようです。

今週の大会結果:韓国のチームの躍進

今週、個人的に気になった大会の結果は、下の表にまとめました。

今週の気になった大会の結果一覧(国旗なしの開催地はカナダ)

まず、目を引くのは、🇰🇷キム・ウンジ(キョンギ道庁)と🇰🇷キム・ウンジョン(カンヌン市役所)の大会連覇でしょう。🇰🇷キム・ウンジョンが連覇した「Stu Sells トロントは、昨年から大きくSFMが上昇(4.0→6.0)しており、全体のレベルが上がった中での連覇で、🇸🇪ヴラノー、🇨🇭X.シュヴァラー、🇨🇭ティリンツォーニを破って、文句なしの6連勝で優勝しています。🇰🇷キム・ウンジは「オータム・ゴールド」を3連覇しており、今大会は序盤でCイベントまで落ちますが、そこから6連勝で優勝しています。日本のチームも、🇯🇵北海道銀行、🇯🇵フォルティウス、🇯🇵ロコ・ソラーレと敗退させられいますし…今回はこれぐらいにしといたるわ(吉本新喜劇風)。大会終盤の戦いぶりは、さすがの精度と安定感だったと思います。

今週は、韓国の他のチームも好成績を残しています。「Stu Sells トロント」男子の🇰🇷チョン・ビョンジン(ソウル市役所)は、Cイベントに落ちてから、カナダの若手強豪チームを次々と倒して予選通過し、最近好調の🇨🇭フースリにもビックエンド2回で快勝していました。「オータム・ゴールド」で日本のチームの試合を追いかけていた人には、🇯🇵フォルティウスに勝った🇰🇷パク・ユビン(ソウル市役所)や、B決勝で🇯🇵ロコ・ソラーレにあと一歩まで迫った🇰🇷カン・ボベ(チョンブク道庁)も、予選は通過できませんでしたが、印象に残ったでしょう(来週も再び日本のチームと同じ大会に出ます)。🇰🇷カン・ボベは、A決勝・B決勝・C決勝とあと一歩のところで3試合負けており、悔しいかとは思いますが、再来週には韓国に戻って、韓国ジュニア選手権に出場するようです。まだジュニアの資格を持っているのが末恐ろしいですが、今季の韓国は男女ともにジュニアBから上がらないと世界ジュニア選手権に出場できないので、どうなるのか楽しみです。🇰🇷パク・ジョンドクや🇰🇷ハ・スンヨンなど、物足りない成績になってしまったチームもありますが、韓国、そして、中国も力を伸ばしてくるようになると、特にカナダ西部〜中西部の大会は、(今後は?も?)アジア勢が席巻するようになるのかもしれません

もう1チーム触れておきたいのは、🇨🇦エッピングです。今年からホーガン兄弟(T.フルーリー選手の弟)と同じチームとなり、大会にはまだ4つしか出場していませんが、すでに2回優勝しています。この調子が続くようだと、男子カナダ選手権で台風の目になるかもしれません。ランキング上位チームでメンバーの入れ替えがまだ続いている中で、それが今年のカナダ選手権に間に合うのか、五輪トライアルに間に合えば良いのかは、なかなか難しいところです。

第11週終了後のポイント状況

日本のチームの世界ランキングは、先週と大きく変わりません。計算方法も10月21日付けのランキングまでは同じです。

グランドスラム第3戦「ナショナル」の出場権争い

以前から追いかけ続けているグランドスラムの出場権ですが、第3戦「ナショナル」の出場権は、判定基準が若干不明瞭(10月21日までの計算方法と判定日当日の22日の計算方法が異なる)なので、断定的には言えないのですが、「昨季ポイントの62.5%+今季4大会分」で選ばれる前提で検証しています。

グランドスラム第3戦「ナショナル」出場権争い 女子(62.5%+4大会の場合)

女子は🇨🇦スカーリクがポイントを伸ばしたのですが、出場権内までは届きませんでした🇰🇷ハ・スンヨンが来週第12週の大会で優勝すると14位まで上昇しますが、それ以外は🇯🇵フォルティウスが14位のままとなり、出場権を獲得することになるでしょう。13位の🇯🇵北海道銀行はそれでも抜かれないので、ほぼ決定と言えるでしょう。東部沿岸部での大会で、スポンサー枠で🇨🇦ブラックなどその地域のチームが選ばれそうな大会なのですが、今回は🇨🇦ブラックがすでに出場権を持っているため、使われない可能性もありそうです。

🇯🇵中部電力は上の表では17位となり、辞退するチームがなければ出場は難しそうですが、「昨季ポイントの75%+今季3大会分」の基準で計算される場合には15位になるため、スポンサー枠が使われなければ出場できる可能性があります。こちらの基準の場合でも、🇯🇵北海道銀行が13位、🇯🇵フォルティウスが14位(🇨🇦キャメロンが第12週に優勝すると逆転)なので、この2チームは2大会連続で出場権を得ることになりそうです。

グランドスラム第3戦「ナショナル」出場権争い 男子(62.5%+4大会の場合)

男子では、「Stu Sells トロント」でともにベスト4に入った🇨🇭フースリと🇳🇴ラムスフィエルがランキングを上げて、出場権を獲得しそうです。ただ、第12週にもSFM7.0の大会があり、優勝すると52.5p、予選通過でも21.0pが獲得できるため、まだ逆転の可能性を残すチームも多くあります。必要なポイントが一番少ないのは🇨🇦カラザース(9.16p)ですが、予選を通過できなかった場合には4勝(10.5p)する必要があります。トリプルノックアウト方式の大会なので、予選敗退でも4勝できる可能性はありそうですが、少なくとも最後まで予選通過争いに絡む必要はありそうです。🇺🇸ドロプキンや🇨🇦クーイーは予選を通過すれば、🇯🇵TM軽井沢は準決勝に残れば、今の15位のポイントを上回ることができます。

「昨季ポイントの75%+今季3大会分」の基準で計算される場合には、🇩🇪ムスカテヴィッツが外れて、🇨🇦カラザースが15位、🇨🇦クーイーが16位になります。また、🇺🇸ドロプキンや🇯🇵TM軽井沢の逆転条件がより厳しいものになります。

🇸🇪スウェーデン女子世界選手権代表争い

スウェーデンの女子世界選手権代表争いは、今週の大会で🇸🇪ヴラノーの方が上位で終えたことで、少し差が縮まりました。グランドスラムがまだ3大会残っていますが、🇸🇪ヴラノーが予選通過し、🇸🇪ハッセルボリが予選敗退した場合には、1大会で逆転できる差(22.5p以内)なので、まだまだわかりません

🇸🇪スウェーデン 女子世界選手権代表争い(第11週終了時点)


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