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3年後のメダルに向けて:🇮🇹イタリア(チーム コンスタンティーニ)

今回は2023カーリング女子世界選手権で日本が8戦目に戦うチーム コンスタンティーニについて、調べてみたことをまとめてみました。

世界を驚かせた北京五輪ミックスダブルス金メダル

2022年の北京五輪でカーリング界に一躍その名を世界に知らしめたのが、このチームのスキップを務めるステファニア・コンスタンティーニ選手(Stefania Constantini)でした。男子4人制代表チームでサードを務めるモザネル選手(Amos Mosaner)とともにミックスダブルス(以下、MD)に出場すると、予選から11連勝で金メダルを獲得。コンスタンティーニ選手は女性選手の中でのショット率も1位で、まさに「シンデレラガール」といった活躍でした。

2019年世界MD選手権でプレーオフに残れなかったイタリア代表(コベッリ/モザネル ペア)は、2020年の世界MD選手権の最終予選に出場(ザッポーネ/ゴーニン ペア)。C組1位からプレーオフで連勝し、出場権を獲得します。

2020年世界MD選手権が中止になったことから、イタリア代表は2021年世界MD選手権に出場(コンスタンティーニ/モザネル ペア)。北京五輪出場権を得られる2つの大会のうちの1つ(もう1つは、北京五輪世界最終予選)で、グループAを3位で通過し、北京五輪出場権を獲得しました(最終順位は5位タイ)。

五輪にも出場したコンスタンティーニ/モザネル ペアは、イタリア代表として選ばれたペアで、日頃から組んでいるペアではないようです。モザネル選手の普段のパートナーは前述のコベッリ選手(Alice Cobelli)で、このペアで2019、20、22とイタリアMD選手権を3回制しています。また、2022年世界MD選手権でコンスタンティーニ選手とペアを組んだアルマン選手(Sebastiano Arman、男子4人制代表のセカンド)も、2022年イタリアMD選手権には別のペアで出場して準優勝。コンスタンティーニ選手は、2016年のユース五輪から2021年世界MD選手権までMDの試合には出場していなかったそうですが、MDの得意な男子選手とのペアとしてMD代表に選ばれていたようで、協会側から大きな期待を集めていたのだと思われます。

ただ、2023年のイタリアMD選手権には、コンスタンティーニ/アルマン ペアで見事優勝。3大会連続出場となる見込みの2023世界MD選手権では、どんな活躍を見せてくれるか楽しみです。

他の3選手はどんな選手なのか?

“ミックスダブルス五輪金メダリスト”のインパクトが強すぎて、チーム コンスタンティーニの他の選手には目が行かなくなりがちです。実際にリード、セカンド、サードの3名もこの2023年イタリアMD選手権で予選を勝ち上がり、決勝で順に2位、5位、4位に入っています。(上のInstagramの写真の2枚目をご覧ください。)

メガネをかけているセカンドのロメイ選手(Angela Romei)は、チームで唯一、コンスタンティーニ選手よりも年上の選手です。コンスタンティーニ選手の1つ上の世代でイタリアジュニア代表のスキップをしていた選手で、2016・17の世界ジュニアB選手権にスキップとして出場しています。また、2017年の平昌五輪最終予選の時には、ロメイ選手(当時20歳)がリード、コンスタンティーニ選手(当時17歳)がセカンドで、一緒に戦っています。(2位まで五輪出場でしたが、惜しくも3位五輪出場ならず。)

その後、イタリアジュニア代表のスキップがコンスタンティーニ選手に変わった後の3大会(2018年、2019年1月、2019年12月)で、セカンドやサードとして出場していたのが、リードのザルディニ=ラチェデッリ選手(Giulia Zardini Lacedelli、上の写真では右端)です。コンスタンティーニ選手のさらに3学年下ですが、10代の頃からジュニア代表として、そして、次第に一般のイタリア代表にも名を連ねるようになっています。

サードのロ・デゼルト選手(Marta Lo Deserto、上の写真では左から2人目)は、2020-21シーズンにコンスタンティーニ選手がイタリア代表のスキップとなった時に、元々いたサードの位置を埋める形でチームに加わりました。それ以前は、別のチームでスキップを務めていました。2022年の世界ジュニアB選手権では、イタリアジュニア代表のスキップも務めました。(ちなみに、今回オルタネイトを務めるジルベルティ選手は、その時のチームメイトです。)

今回の世界選手権に出場するスキップでは、下から2番目に若いコンスタンティーニ選手ですが、さらに年下の選手が2人もいる若いチームです。

さらに経験を深めた今シーズン

北京五輪4人制女子には、最終予選で敗退(5位)して出場できませんでしたが、2022-2023シーズンは、8月から積極的に欧州およびカナダでの大会に出場してきました。2022年内に8つの大会に出場し、7つの大会で予選通過。10月にカナダで開催された「S3 Group Curling Stadium Series」では、日本のチーム(フォルティウス、ロコ・ステラ)にも勝ち、優勝(おそらく大会初優勝)を果たしました。欧州選手権でも予選2位でプレーオフに進出し、最終的には4位となりました。

42位で始まった世界ランキングも一時は17位まで上昇。グランドスラム「カナディアン・オープン」への出場も初めて果たし、予選通過はならなかったものの、トリプルノックアウト方式の大会で2勝をあげました。もちろん、グランドスラム名物のこの紹介映像も作られました。(きれいに表示できていなかったら、すいません。)

2023年に入ってからは、大会での予選敗退が目立ちますが、きっと大会までに調整して来ることでしょう。

自国開催のオリンピックでメダルを獲得できるのか?

それでは、3年後にこのチームはどこまで強くなっているのでしょう?“3年後”とは、もちろん2026年のミラノ・コルティナダンペッツォ五輪のことです。コルティナダンペッツォにあるCCドロミティ(CC Dolomiti)を拠点にしているチーム コンスタンティーニにとっては、まさに地元開催というべきオリンピックです。

参考に、過去数大会の五輪でのカーリング女子4人制の成績と当時の世界ランキング(括弧内)を見てみましょう。

2014年ソチ五輪でメダルを獲得したのは、🥇🇨🇦ジェニファー・ジョーンズ(1位)、🥈🇸🇪シグフリッドソン(6位)、🥉🇬🇧ミュアヘッド(2位)と、世界ランキングトップ10のチームでした。開催国の🇷🇺シドロヴァ(7位)は、9位で予選敗退でした。また、2022年北京五輪のメダル獲得チームは、🥇🇬🇧ミュアヘッド(5位)、🥈🇯🇵ロコ・ソラーレ(6位)、🥉🇸🇪ハッセルボリ(2位)と、こちらも世界ランキングトップ10のチームで、開催国の🇨🇳ハン・ユー(78位)は7位でした。

これを見ると、やはり世界ランキング上位のチームが勝ちやすいのだとは思いますが、2018年平昌五輪は少し違いました。メダル獲得チームは、🥇🇸🇪ハッセルボリ(3位)、🥈🇰🇷キム・ウンジョン(21位)、🥉🇯🇵ロコ・ソラーレ(24位)で、世界ランキング上位のチーム(🇨🇦ホーマン、🇨🇭ティリンツォーニ、🇬🇧ミュアヘッドなど)を破ってのメダル獲得だったことがわかります。

もちろん世界ランキング上位の実力をつけて五輪に臨めるに越したことはありませんが、世界ランキング20位台でもメダルを獲得したチームはあります。このチームは、すでに世界ランキング20位を切るところまで来ています。特に地元チームなら、会場の後押しなどもあって、十分に可能性があるように思えます。ましてや、この世界選手権でメダルを獲得することになれば、その可能性が十分にあることを、世界に知らしめることにもなります。

若いチームですから、今後もうまく実力を上げていってほしいですし、イタリアの人たちもそれを期待しているのではないかと思います。この3年でどこまで伸び、どこまで結果を残すのか、これから楽しみです。


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