PCCCに向けた最後の腕だめし〜第12週プレビュー
ミックスカーリング世界選手権が目下進行中で、日本は今大会も見事に予選通過を決めました🎉。 この先もベスト8、ベスト4と勝ち進んでいくことを期待していますが、今季2つ目の国際大会であるパンコンチネンタル カーリング選手権、通称“PCCC”が10月27日から始まります。日曜日からのスタートなので、大会に出場できるのは実質的に今週が最後です。世界選手権の出場権(上位5チーム)をかけた大切な大会で、各国がそれぞれの方法で最終調整を行っているようです。
PCCCの前に対戦したいのは強豪か?中堅か?
日本から出場するのは、男子が🇯🇵コンサドーレ、女子が🇯🇵SC軽井沢クラブで、それぞれ前回日本選手権の優勝チームです。今週は2チームとも大会に出場しますが、出場する大会の色合いは少し違うようです。チームや選手個人の考え方次第ではありますが、大事な大会の直前にどんな大会に出るのが、良い結果につながりやすいのかには、個人的に興味があります。
各国の男子PCCC代表vsカナダの強豪:Henderson Metal カーリング クラシック(TM軽井沢、コンサドーレ、ロコ・ドラーゴ)
🇯🇵コンサドーレが参加する「Henderson Metal カーリング クラシック」(SFM 7.0)には、日本から🇯🇵TM軽井沢と🇯🇵ロコ・ドラーゴも参加しますが、世界ランキング上位の強豪、特にカナダの上位勢は軒並み参加しており、世界ランキングトップ20のうち、11チームが出場するという状況です。その中には、同様にPCCCに出場する🇨🇦グジュー(3位)と🇺🇸シュスター(14位)も含まれます。
トリプルノックアウト方式で優勝を争う28チームの中で、🇯🇵コンサドーレの世界ランキングは上から15番目です。8チームで行われるプレーオフに残るのも簡単ではありませんが、強い相手と対戦する機会は手に入りやすいでしょう。初戦の相手は、先週SFM7.0の大会で優勝した🇨🇦エッピング、その試合に勝つと、現在世界ランキング2位の🇮🇹レトルナスです(注:初戦に負けたため、この対戦は実現せず)。次から次へと強豪との対戦が続くのは、🇯🇵TM軽井沢も🇯🇵ロコ・ドラーゴも同じです。
強いチームに勝って勢いよくPCCCに向かうこともあれば、これだけの対戦相手だと3連敗で大会が終わることもあり得ます。選手はどんな結果でも動じないのかもしれませんし、それなら頼もしいばかりです。PCCCでシーズンが終わる訳でもないですから、なかなか対戦できない強い相手と試合を重ねるのも大事なことでしょう。ただ、ファンは直前の大会の成績が悪いと、結構不安になったりもしますよ…(しません?)。
カナダやアジアの中堅チームと最終調整:アルバータ・カーリングシリーズ 4人制 #1(北海道銀行、SC軽井沢クラブ女子)
最初にお断りしておくと、今週のカナダでは、女子でこの大会以上にレベルの高い大会は見当たりません。そして、この大会の会場である🇨🇦ボーモントとPCCCの会場である🇨🇦ラコームは、車で1時間半もあれば着く距離なので、大会の事前準備として、この大会を選ぶのは極めて合理的だと思います。
その上で、PCCC前の最後の大会で対戦する相手は、グランドスラムの常連と呼ばれるようなチームというよりは、世界ランキング的には近い順位のチームか、それより下の順位のチームになりました。予選で当たるチームは、すべてランキングが自分たちよりも下です。大会で一番ランキングが高いのも、今季ランキングを大きく上げた13位の🇯🇵北海道銀行で、23位の🇯🇵SC軽井沢とはそこまで離れているとは思えません。プレーオフでも1回か2回勝ってくれると、“調子を上げてPCCCに向かうんだな”と勝手に期待を高めてしまいます。もちろん、3回勝って優勝してくれてもいいんですよ…。
…とは言いつつ、結局は目の前の試合に集中するのが一番なんだとは思います。勝てそうとか、相手が強いとかは、私みたいなのが外野でワイワイする程度でいいのかと。
ちなみに、立地の良さから、他にもPCCCを控えたチームが出場しています。初戦で対戦するニュージーランド代表の🇳🇿サドンズは、総当たりのPCCCでも初戦に対戦します。女子では、他にオーストラリア代表の🇦🇺ウィリアムズも出場しています。男子の方では、韓国の🇰🇷イ・ジェボム、ニュージーランドの🇳🇿フッド、オーストラリアの🇦🇺ジョンズ、そして、PCCC-Bの昇格候補と考えられる🇵🇭フィスターも、この大会に出場しています。何試合勝てるにせよ、PCCCを見据えて、良い調整ができるのは、どの国の代表になるでしょうね。
4人制トップ選手がいてよかった?:サヴィルMDクラシック(松村/谷田)
ミックスダブルスが好きな日本のカーリングファンは、カナダで高いレベルの争いを繰り広げる2組のペアを固唾を飲んで見守ってきましたが、🇯🇵小穴/青木は一時帰国しています。今週からしばらくは🇯🇵松村/谷田のカナダでの奮闘を見守ることになりますが、その最初の大会は4人制を中心に活動する選手が多く参加する「サヴィルMDクラシック」です。
会場であるサヴィル・コミュニティー・スポーツ・センターは、エドモントンにあるアルバータ大学の施設です。そのため、普段は4人制の大会に出ているアルバータ大関連の選手が多く出場します。女子では、🇨🇦グレイ=ウィザース(女子4人制チームランキング32位)から1人、🇨🇦リチャーズ(同50位)から3人、卒業生がスキップの🇨🇦スターメイ(同21位)から2人、そして、実は卒業生の🇨🇦R.ホーマン選手(同1位)。男子でも、🇨🇦デイビース(同155位)から4人が出場します。また、大学関係者以外にも、チーム キム・ウンジョンでサードを務める🇰🇷キム・ギョンエ選手(同5位)が韓国代表MDペアの一員として出場します。
「いや、ミックスダブルスの大会ですよね?なんで4人制の話をしているの?」と思うでしょうが、実は今季からこれが関係あるのです。ミックスダブルスの大会のSFMの計算方法が今季から変更になり、ざっくりに言えば、「所属する4人制チームの4人制世界ランキングが高ければ、その選手が参加するミックスダブルスの大会のレベルも上がる(=SFMが上がる)」と判断されるようになりました。ミックスダブルスの大会の難易度をより正確に反映するためには、適切な変更だと思います。
実際に、今大会に出場するペアで、ミックスダブルスの世界ランキングで上位に入っているのは、🇨🇦ウォーカー/マイヤーズと🇯🇵松村/谷田と🇦🇺ギル/ヒューイットぐらいで、SFMがそこまで上がりそうには見えません。実際に計算してみたところ、4人制のランキングを考慮しないと、この大会のSFMは2.5でしたが、4人制も考慮する今の計算方法ならSFMが3.5まで上がりそうです。そして、SFMが高くなると、獲得できるポイントも増えます。では、ミックスダブルス日本選手権までに多くのポイントを獲得したいペアは?🇯🇵松村/谷田は、そんなペアのうちの1つでしょう。
MDスーパーシリーズでは、日頃からMDを中心に活動しているペアが招待されることが多いので、4人制ランキングの影響をさほど大きくは受けないと思いますが、一般の大会だと今回のようなケースもあるようです。普段よく対戦するペアとは違う相手と試合をするのも、対応力を高めるためには大切でしょう。どんなペアがプレーオフに残って、どこが最終的に優勝するのか、結果が楽しみです。
その他の大会
1週間でMD2連戦:🇨🇭MDグシュタード カップ/🇨🇭ミックスダブルス ベルン
普通のツアー大会は“週末に開催され、決勝は日曜日あたりになる”ものですが、今週🇨🇭スイスで開かれるMDの大会は、1週間で2大会行われます。まずは、スイス西部のグシュタードで14日(月)に始まり、16日(水)に決勝を行う「🇨🇭MDグシュタード カップ」(SFM:4.5)が行われ、移動日を挟んで、車で1時間半ほど離れたベルンで、18日(金)から20日(日)まで「🇨🇭ミックスダブルス ベルン」が行われます。他の国の選手からしても、1回のスイス訪問で2回分のポイントと2回分の賞金を狙えるので、悪い話ではありません。出場するのも、🇪🇪カルドベー/リル(注:初戦の途中で負傷棄権し、2戦目には不出場)や🇳🇴スカスリエン/ネドレゴッテンに加えて、普段4人制チームに所属するトップ選手で構成されたスコットランドの5組など、欧州の強豪ばかりで、後半の大会にはカナダ遠征から帰国したばかりの🇨🇭A.ペッツ選手や🇸🇪A.デ=ヴァル選手も出場します。先ほどの4人制ランキングの話を考えれば、ポイントも大きく動く、大事な2連戦になりそうです。
アメリカ選手権の出場が決まる:🇺🇸セントポール キャッシュスペル
アメリカのミネソタ州セントポールでは、4人制アメリカ選手権の出場権をかけた大会が行われます。今季のアメリカ選手権は、男女それぞれ8チームずつで争われますが、すでに4チームずつは決定済みで、この大会では5チーム目と6チーム目が決まります。実際に優勝を争うのは、すでに決まっているチームなのかもしれませんが、7チーム目と8チーム目は世界ランキングで決まるので、一回の大会で出場を決めたいチームには唯一のチャンスと言えそうです。
ヨーロッパでも特に熾烈な男子の一騎打ち:🇩🇪ドイツ欧州選手権代表決定戦
最後に、ドイツの欧州選手権代表決定戦についても、少し触れておきたいと思います。最近は世界大会があるたびに、🇩🇪トツェックと🇩🇪ムスカテヴィッツで代表決定戦を行っているドイツの男子。昨年は、欧州選手権に🇩🇪トツェックが出場、世界選手権に🇩🇪ムスカテヴィッツが出場と、分け合う形となりました。欧州の男子チームだと、代表である1チームが不動の地位を築いているパターン(🇸🇪エディンや🇮🇹レトルナス)もあれば、複数のチームで代表を争っているパターン(スコットランドやスイス)もありますが、2チームの一騎打ちで代表が決まるパターンの国は、ドイツ以外に思い浮かびません。その分、勝つか負けるかは天地の差なのかもしれません。前回の男子世界選手権以降は、🇩🇪ムスカテヴィッツの方が良い成績を残している印象がありますが、代表決定戦になれば、その場でのパフォーマンスがすべてになります。🇫🇮ロホヤで世界選手権出場権を争うのは、どちらのチームになるでしょう?