マガジンのカバー画像

評論のようなもの。

13
観てきたものや聞いたこと。今まで覚えたぜんぶ。
運営しているクリエイター

#評論

『大怪獣のあとしまつ』の面白さを、あなたはまだ知らない。【映画評論】

 あまりにも低評価な映画を知ると、不思議と観たくなる。2022年に公開された『大怪獣のあとしまつ』はその酷評ぶりから、かえって話題を集めることになった。あれから2年経って鑑賞した僕が、遅すぎるかもしれないが、レビューをしたいと思う。  この映画、本当につまらなかった。  観る前から他の人のレビューを読んでいたから、ある程度は想定していたものの、正直ここまでだとは思わなかった。  まず、政治家役の演技とキャラ作りが酷い。どこか実在する政治家を思わせる人物が何人も登場するのだ

映画『スピード』に見る、資本主義の終焉と加速主義。 【映画評論】

(※以下ネタバレになります。これから観る予定の人はご注意を) 走り始めたら止まれない。  題名にもなっているように、この映画のテーマが「スピード」であることは間違いない。その設定とは、バスの走行速度が50マイルを超えると起爆装置が作動し、それから50マイル以下に落ちると爆破されるというものだ。  これは、資本主義そのものだ。一度スタートを切ってしまったが最後、止まることは許されない。成長し続けろ、稼ぎ続けろ。人や環境に被害があろうと関係ない。目的地なんてありゃしない。走

ジュラシック・パークは、世界一贅沢な前奏だ。【映画評論】

 『ジュラシック・パーク』を観ました。はい、今更です。自分でも何故このタイミングで観ることにしたのか、不思議でなりません。  正直に言って、内容はそれほど完成度が高いとは思いませんでした。しかし、当時のCG技術からして、あの恐竜の映像は驚くべきものだったとは想像できます。また、琥珀の中に埋まったアリから恐竜のDNAを採取するといった設定や人間が自然を支配しようとする西洋的な考え方に対して警鐘を鳴らすメッセージ性には、人工知能やバイオテクノロジーの進化に注目が集まる現代にも通