宗教としての文化人類学〜出発点〜
文化人類学は異文化交流から生まれた学問である。文化人類学は、簡潔に言うと「自分と相手の違い」に立脚した学問である。本論では、「異文化の受容」という点から論を進めてみたい。
異文化交流で分かりやすい事例のひとつは「食文化」だろう。例えば、「カエルを食べる文化」や「犬を食べる文化」もある。
アメリカなどでは、カエルを食べるが犬は食べない。もし、愛犬ジョンの飼い主に「おいしそうなワンちゃんですね」と言ったら怒られるだろう。
韓国などでは、犬を食べることもある。
もし、それを意識していれば、「ああ、ジョンを食べたいと言っちゃ駄目だ」と韓国の人は思うだろう。
このように、「自分と相手が異なる」と意識することが、異文化交流の基本であり、そこから抽出された文化人類学は、「自分と相手とは異なる」ということを大前提としているのである。
そしてそれは、異文化の摩擦を軽減することに繋がるのだ。それが「宗教としての文化人類学」の出発点なのである。
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