【メタバース対応】キュレーションは、創作に匹敵する表現方法だ
作品を生むのが芸術なら、その作品を価値化するキュレーターもまたアーティストである。このトピックでは、「アーティストの表現範囲」を、知ることができる。創作にプライドを掲げているが実はその作品を扱う方法に素人なアーティストの、ために書く。
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アーティスト情報局:太一監督
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日本未発表の国際映画業界情報 あるいは、
監督がスタジオから発する生存の記
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『 アーティストが、作品のプロだとは限らない 』
アーティストが創作のプロフェッショナルであることには誰もが異論ないことだろうしかし、作品の取り扱いや活用方法にはまったくの素人であることを知っているだろうか。アーティストの多くは高価な作品購入の経験がなく、また作品の活用域に精通していない。
たとえば、“作品性ではなく”マーケットに依存するタイプの表現者であってすら例外ではない。
そこで、日本に入っていないニュースをお知らせしておこう。
■ 最新国際ニュース:KAWS、デジタルマーケットプレイスを提訴 「コレクターを混乱させ、欺く計算された計画」と主張
KAWSとして知られるアーティスト、ブライアン ドネリーが生み出した紛れもないキャラクターは、どこにでもあるものとなった。しかし今、その多くが偽物であるという新たな訴訟が提起されている。ドネリー氏とKAWS名義の関連会社は、複数のウェブサイトを提訴した。
高級品やアート作品を販売するウェブサイト「Homeless Penthouse」を中心に展開されているサイトでは、KAWSの名前で100ドル以下のものから、ディオールのために制作されたとされる3,500ドル弱の彫刻まで、様々な作品が販売されている。
この訴訟では、似たような名前の複雑なグループが関与しているとされる。これらの事業体は、デジタルマーケットプレイス、編集部、会員制ネットワークなどの形態をとり、それぞれの事業体が何を提供しているのか、公式につながっているのかどうかは不明。
KAWS社の代理人であるリチャード・ゴルブ弁護士は、「多くのアーティストが自分の作品を守ることをしないアートの世界において、市場に出てこれを阻止しようとするアーティストの興味深い決断です」と述べている。
「スポンジ ボブ」や「ザ シンプソンズ」のキャラクターをモチーフにしたKAWS氏の作品は、大規模なインスタレーションとして、ギャラリーや屋外で広く見られている。
KAWS氏が声明を発した。「私はこのような違法行為を終わらせるために、行動を起こします」 - NOVEMBER 16, 2021 ARTnews -
『 ニュースのよみかた: 』
「モチーフだ」「インスパイアだ」と他者キャラクターをいじり倒してきたKAWS氏が“非公認”の販売業者たちを相手に大規模提訴。打倒違法行為、として正義を振りかざしているという記事。
そういうパフォーマンス インスタレーションなら笑えるが、真剣なら、実に滑稽だ。もう少し気骨のあるアーティストかと想っていたが、ただの一般人であった。
『 作品の価値を守る、ということ 』
アーティストには通常、作品を守る能力がないそれは、料理人が接客のプロではないことに似ている。隣接しあいしかし、全く異なる能力なのだ。言葉を選ばずに表現するならアーティストの多くは、作品を生み出すのみの育児放棄者である。
方や、“ゼロイチ”は難しくとも、作品を愛して観客たちに語り、その“価値を創造”するプロフェッショナルたちが存在する。キュレーターやコレクターと呼称される彼らは古風な存在と評されるが、違う。
彼らこそ、「メタバース時代の社会」を価値化する適任者にして、ヴァーチャル空間を実社会化する“ゼロイチ”のプロフェッショナルなのだ。
『 キュレーターとコレクターは、アーティストである。 』
未だゲームのフィールドと企業が構築するスペースを売買している現状を“メタバース”と呼称するのは拙速だ。その空間で実際のコミュニケーションが行われるためには、息づくアバターが存在せねばならない。
ただの3DCG製アバターをモーションキャプチャーで稼働させたところで、“感情”は動かない。ソリューションの対応レベルに低い現状のヴァーチャル空間内のキャラクター クオリティーではたとえ天才アーティストであっても、強い個性を植え付けることは難しい。
だが、キュレーターとコレクターなら。
彼らは芸術性に無価値なNFT画像を価値化することに成功し、無機質なアバターに感情移入させることを実現した。
彼らは既存の作品を組み合わせ、比較し、語り続けることで価値化し、経済圏のみならず現実社会ニュースをも圧倒する成果を生む。「作品」を材料として「仮想常識」を認知させる彼らはこそ、紛いなき “次世代のアーティスト” である。
アーティストとは、「作品を生む者」と「作品を育てる者」を示す。
『 メタバースはアーティストにとって“社会”になる 』
社交性に問題の多いアーティストたちにとって、一定の個性が標準化される“低品質のメタバース空間”はこそ、最適に居心地の良い場所である。
その空間では誰もが“新人”であり、まだ常識は根付いていず、マウンティングや虚栄は通用しない。いまは、まだ。
やがてその場所も、油ぎった“常連”というグロテスクがのさばる場所になるその前にこそ、アーティスト自身の居場所を構築すべきチャンスにある。
テクノロジーに疎く社会性のない、経済的に豊かでないがひたすらに忙しい我らアーティストならばこそ何にも躊躇いなく、“メタバース”に踏み込むべきだ。方法など無数にある。ネットに溢れる上等な解説を通読すると良い。すべて“ただの見栄”だ。まだどのプラットフォームも芯を食っていず、スタンダードになっていないのだ。詳しくないからと、臆する必要はない。
全人類は誰も、詳しくない。ただ“旗を振っている”だけだ。
やがてテクノロジーのレベルが追いつく時、アーティストは頂点に立てる。いまこそ、メタバースへ。
難しくない。4万円で「Oculus Quest2」を買い、「Horizon Workrooms」にアカウントをつくるだけだ。仲間を3人集めて参加してみると良い。そこはもう、メタバースの一角だ。
『 編集後記:』
「NOMA」という国際スタジオを創設して5年が経った。いろいろあったような気もするが、そうでもない気もする。ただ、ハリウッドとの契約を経て国際映画の製作もいよいよ本格化するこのタイミングなので、大改革を行おうと想っている。完全招待制ではあるけれど、世界で活躍したいアーティストへの支援は増強する。縁があれば、NOMAで逢おう。
出逢いと別れの中で時代を踏み間違えることなく、映画製作の現場へ帰るとしよう。では、また明日。
■ 太一(映画家):アーティスト業界情報局 × 日本未発表の国際映画業界情報 あるいは、 監督がスタジオから発する生存の記