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【目的より意義】作品よりも“テーマ選び”が評価基準になる日
作品を生むためのテーマではなく、創った“作品を活かす”ことにこそテーマが重要になっている。このトピックでは、「創作目的よりも重要な意義」を、知ることができる。作品を創ることには懸命でもそもそもに作品完成がゴールになっているアーティストの、ために書く。
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アーティスト情報局:太一監督
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日本未発表の国際映画業界情報 あるいは、
監督がスタジオから発する生存の記
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『 作品評価は、完成後に生まれる 』
当たり前に聞こえる、だが実際のところ完成した作品にはまだ価値がないことに気づいているアーティストは多くない。観客が観ていないから、販売されていないから、という意味ではない「まだ“価値を判断できない”」ということである。アーティストが魂を削る日々に作品が上質なのは当たり前、重要なのは、「作品にする意義」を解くストーリーテリングである。
そこで、日本に入っていないニュースをお知らせしておこう。
■ 最新国際ニュース:NFTとしてのDNA、アーティストのレイチェル ロッシンが自分のゲノムをブロックチェーンに記録する
Rachel Rossinは、幼い頃からテクノロジーに興味を持っていた。デジタルの生態系は、彼女のアートに影響を与え続けており、しばしば動画作品の形をとっている。
仮想と現実の境界線を一貫して考えてきたロッシンは、自分のDNAをブロックチェーンに記録するという新しい作品を発表。NFTプラットフォームのOpenSeaで作成されたこのスマートコントラクトには、ロッシンのゲノムの配列を記録したコードの文字列が含まれている。
レイチェル ロッシンの「Raw DNA」(2021年)と題されたこの作品は、ソフトウェアやハードウェアではなく、ウェットウェア(生体組織)がテクノロジーの構成要素となるような、差し迫った未来についてコメントしている。
あなたは自分のDNAを売っていると言えますか?
「NFTは必ずしも売るという意味ではありません。もちろん、今ではNFTは売ることと同義語になっていると思いますが、私はそれに興味はありません。もし誰かが私に100万ドルのオファーをしてくれたら、受けないわけにはいかないでしょう。でも、それに値段をつけるのは違和感があります」
「デジタル技術は100年しか保存できませんが、DNAは氷の中で何千年も保存できます。1本のDNAに215ギガバイトを保存できます。ブロックチェーンは永続性を目的としているはずですが、特に私たちの体の中で起こっていることと比べると、永続性の幻想です」 - NOVEMBER 10, 2021 ARTnews -
『 ニュースのよみかた: 』
ゲノムの配列を記録した数列をNFT化したアーティストが、“ウェットウェア”の価値を提起して注目を集めた、という記事。
誰もが考える発想であっても、それを発表する「目的」が大義名分化されていれば注目に値する好例だ。彼女は価値の対比を明文化する意義を、よく理解している。
『 うわべだけの作品 』
実に“立派な作品群”と、遭遇することがある。徹底的に評価が低くそれらはまた、誰の興味も惹かない。アーティスト本人が、「偽者」なのだ。
キャリアを持たず経験の無さから意図がなく、観た目だけの完成形を模したに過ぎない無価値な虚飾は必ず、立派に観える。買い求めるのはいずれも、知見のない一般人。情報弱者を欺く偽者が、アーティストの存在を汚している。
作品の仕上がりだけで、判断はつかない。
作品を物語る“創作意義”にこそ、真意が宿っていることを忘れずに。
『 作品にならない、本物の存在 』
一方で、明確な意義をもちながらこそに、生み出せない作品も存在する。アーティストたちが抱える多くの企画の中には時に、“早すぎる意義”を指針とする作品案が息づいているのだ。
作品になっていることが重要だという言葉もわかるしかし、“まだ作品になれない本物”が存在することも忘れずにいてほしい。
アーティストとは完成を目的とせず、残し伝えるべき意義を問い続ける、孤高の戦士なのだということを。
『 編集後記:』
出逢いが多い。毎週多くのアーティストたちと、その数倍の事業家たちが足を運んでくださる。実に光栄だがそこには、興味だけで終わらせない「本物」が備わっていなければならない。話題を呼ぶならイベントでいい、しかしNOMAの仲間たちと共に目しているのは、世界共通の価値。各国の精鋭たちが集結している意義だ。熱い冬がくる。
幻想の中にある本物の意義をもとめて、映画製作の現場へ帰るとしよう。では、また明日。
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