【味方の存在】アーティストのパートナー選びで作品に差
メジャー作品の多くは、複数アーティストとのコラボレーションから生み出される。単身創作活動や仲良しコンテンツからは観えない世界が存在する。このトピックでは、「国際意識の重要性」を、知ることができる。現状に満足せず国際メジャーを目しているアーティストの、ために書く。
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アーティスト情報局:太一監督
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日本未発表の国際映画業界情報 あるいは、
監督がスタジオから発する生存の記
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『 アーティストがアーティストと組むために 』
アーティストは大勢のパートナーに支えられながら、作品を生む。そのパートナーもまたアーティストである場合、時には強すぎる個性の衝突を調整する“スペシャリスト”が必要になる。さながら、折衝を代理する弁護士のように彼らは柔軟かつ誠実に、ミッションを遂げる。
アーティストにとってのパートナーとは、業務の関係を超えた信頼関係である。スペシャリストの彼らは両者の不都合を解消し、最大の成果を引き出すことに尽力しついには「作品」へと昇華させる。
そこで、日本に入っていないニュースをお知らせしておこう。
■ 最新国際ニュース:ジェームズ ボンドのキャスティングディレクター、ダニエル クレイグを採用した後の反響を振り返る「彼に申し訳ないと思いました。」
ダニエル クレイグが「Casino Royale」でジェームズ ボンドを演じるというニュースには、「信じられないほどの否定的な」反応があった。デビー マクウィリアムス氏はキャスティング ディレクターとして30年前から、伝説的なジェームズ ボンドのフランチャイズを形作ってきた。
クレイグが次の「ノータイム トゥ ダイ」を最後に007シリーズから撤退することを受けて、ボンド デビュー作である「カジノ ロワイヤル」について、この俳優のキャスティングについて振り返った。
クレイグがボンド役にふさわしくないと考えた報道関係者から、激しい反発があった。「信じられないほどネガティブだったと言わざるを得ません。記者の反応は最悪でしたが面白いことに、それが彼を駆り立てて、みんなが間違っていることを全力で証明しようとさせたのだと思います。しかし、彼はひたすら頭を下げて仕事を続け、映画が公開されたときには、誰もが“ああ、やっぱり彼のことが好きだ”と思ったのです。」
クレイグのデビュー作である「カジノ ロワイヤル」は高い評価を得て、ボンドシリーズへの世界的な関心を再燃させた作品として大きく評価された。クレイグのボンドシリーズへの在任期間は、史上最高の007映画の一つと広く認められている。
クレイグを起用するにあたりマクウィリアムスは、「彼を起用する前に大規模な調査が行われました。期待に応えられる人物を探すのに苦労しました。そして長い長い捜索の末、最終的にはダニエルが私にとって明白な選択となったのです。」 - SEPTEMBER 14, 2021 IndieWire -
『 ニュースのよみかた: 』
007映画の代表とも称されるダニエル クレイグも、初回作「Casino Royale」での採用には大批判があった。クレイグは誠実に遂行して成功した、という記事。
国際業界外ではあまり語られることの無い“キャスティング ディレクター”からの声は、珍しい。デビー マクウィリアムスさんは、第27回東京国際映画祭の審査員も務めた日本通だ。キャスティング ディレクターの仕事は実に多岐にわたり、プロデューサーと監督にとって、緊迫する現場状況とキャストとの間を取り持ってくれる天使である。
『 “メジャー”の頂点は、インディペンデントである 』
単身で創作できる作品世界は、広くないそれこそ、メジャーには程遠い。こういった話をすると、「小説家や画家、料理人やデザイナーは単身クリエイティヴだ!」という声がある。申し上げるがそれ、単身創作では無い。出版社やキュレーター、店舗オーナーや広告代理店そして「ブランド」の機能を経ない限りに彼らは、活動を“作品化”することはできない。それでも「KindleやYouTubeのマネタイズは?」などと。プラットフォームでの自主発信もSNSマーケティング無くして実働は無く結果、「パートナー」に支えられることとなる。
もうひとつ。「外国信奉のメジャー主義が!インディペンデントを知らないくせに!」という声はどうだろうか。わたしは、メジャーとパートナーシップをもつインディペンデントであり、国際映画界において“国際”という区分は無い。映画界とは元々に“国際”であり、“日本人が日本人だけで日本マーケット用映画を創る”という状況が異例なだけである。
そして、インディペンデントに支えられる城「メジャー」その頂点は、ルールを脱した勝者だけの世界「インディペンデント」である。
『 アーティストは国際意識をもってこそ 』
創作の意思は多岐にわたるしかし、自分以外の誰かに届けたい、その想いは同じだろう。自身の作品は、観客に向けられているわけだ。ならば、作品は少なからず、マーケットを介することとなる。多くのパートナーの手を介して作品はやがて国を越えて泳ぎ、業界の地位を駆け上がる。頂点を目指して。そこは、世界である。
創作活動を行うアーティストは常に、国際意識を持つべきなのだ。国際意識を持つということはマーケットを知ることであり、信頼に値するパートナーとの出逢いを導く。作品に国境は無い。アーティストの活動は、パートナーと共にある。
日本で成功することを目指すのはそもそもに、特殊なのだ。
『 パートナーの選び方 』
多くのアーティストが自身の人生を賭する作品に参加願うパートナーを、どう選出するかを知っているだろうか。“出逢ったから”だ。
心当たりのあるアーティストも多いだろう、多くのアーティストはパートナーを選んだ経験が無い。ただ出逢った人々の中から該当者を想い浮かべ、声を掛けるだけだろう。しかしそれが運命に相応しい相手である可能性は、高くない。
パートナーは、選ぶ必要がある。
最適な人選は重要だが最重要なのは、「組まない判断」だ。作品に相応しくない、と判断したならどれだけ親しかろうと、組むことは最適では無い。
ここ「アーティスト情報局」では自己啓発を推奨しないことから、断定的な物言いになることが多いことを確認しつつ。
『 編集後記:』
ハリウッドで活動したい、というスターやアーティストからアドバイスを求められることが多い。重要なことは? 必要なものは? 忘れてはならないものは?
答えは明解。「耳かき」だ。
“孫の手”は何かで代用できても、耳かきは難しいだろう。外国人の耳の中は湿っており、綿棒でクリーンナップすることが常。耳かきは基本、売っていない。“耳かき必須”のわたしはかつて、レッドカーペットでの試写会チャンスを無視して、モーテルの部屋で竹箸を削り、耳かきを創る夜を過ごしたことがある。
イマジネーションに溺れながら世界をみつめ、映画製作の現場へ帰るとしよう。では、また明日。