【熟考案の敗北】瞬発力を駆使するアーティストが時代を牽引する
企業とチームの綿密な設計が惨敗している。瞬発力こそが最先端だと理解せねばならない。このトピックでは、「個人と企業の設計方法の違い」を、知ることができる。大企業のプロジェクトには敵わないと想いこんでいる個人アーティストの、ために書く。
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アーティスト情報局:太一監督
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日本未発表の国際映画業界情報 あるいは、
監督がスタジオから発する生存の記
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『 時代が求めているのは結果と“過程” 』
ユニットを編成して定例会議を重ね、熟考の果てに分厚い企画書を開発、非の打ち所の無い体裁で決済に挑み、スペシャリストを介して打ち出す企画が軽々と惨敗する時代である。プロダクトのみならず、作品もニュースも、例外ではない。
進化した一般人たちは専門家に匹敵する検索力で情報を精査し、自らが好みに“ロードマップ”を構成している。情報リテラシーの高い観客たちは自らコミュニティを結成し、更なる情報共有に余念がない。
企業というスペシャリストの集団においても“コミュニティ”を指揮することはできない。コミュニティの新潮流はすでに“非中央集権型”へと移行しており、オンラインサロンのようなピラミッドが生む情報の価値は一気に、下落している。
人々は“壮大な計画”よりも、「タイミング」を求めている。
そこで、日本に入っていないニュースをお知らせしておこう。
■ 最新国際ニュース:「2022年まで、新しいジェームズ ボンドのキャスティングの話はしません。」007プロデューサーのバーバラ ブロッコリが語る
007のワールドプレミアを前に、様々な憶測が飛び交っているが、ダニエル クレイグの後継者探しは来年まで始まらない。
英国のブックメーカーたちは誰が次のジェームズ ボンドになるかの推測を数年前から続けている。しかし現在、常連から新人までさまざまな噂が飛び交っているにもかかわらず、ボンドのプロデューサーであるバーバラ ブロッコリは、この希望を事実上打ち消した。「後任は決定しておらず、2022年までは開始しません。」
「私たちは全く考えていません。ダニエルに、新作のお祝いの時間を過ごしてほしいのです。来年になったら、将来のことを考え始めましょう」
2006年の「Casino Royale」からピアーズ ブロスナンの後を引き継いだクレイグの起用について、ブロッコリ監督は、彼をフランチャイズに参加させることができたのは「とても、とても幸運だった」と述べている。「彼の人生を変えることになると分かっていたので、彼がこの仕事に消極的であることは分かっていました。
英国のブックメーカーであるウィリアム ヒル社は現在、クレイグの後任としてハーディを最有力候補としており、以下ペイジ、ジェームズ ノートン、ルーク エヴァンス、イドリス エルバ、ヘンリー カヴィル、そして女性ではスランヌ ジョーンズが最上位にランクインしている。 - SEPTEMBER 27, 2021 THE Hollywood REPORTER -
『 ニュースのよみかた: 』
有名なフランチャイズ作品の新作公開間近、次回以降のキャスト刷新情報をプロデューサーが遮断させた、という記事。
実はこれ、“ブッキー界”では大きな事件だ。
1960年に政府公認となったイギリスの法人ブックメーカーによる公営ギャンブルにおいて007の次期キャスティングは、注目のタイトルである。映画スタジオにも少なからず影響があるこの判断をいちプロデューサーが発言したことには、時代の“進化”を感じずにはいられない。
『 タイミングという最新 』
マーケティングにおけるタイミングとは、事業のローンチを頂点とした“計画”である。“ティザー アド:じらし広告”によって興味を高める誘導を、ローンチで最高潮になるような仕掛け、だ。
観客は既に、ティザーの次点でプロジェクトの総体を予測できる実力を備えている。マーケターやデザイン コンサルの精鋭たちが企画書を作成している間にも世界の情報は進化している。
企業とプロフェッショナルによる綿密な計画とは同時に、時代のアップデートに遅れて“タイミングを逸している”ことが明白な、「罠」だと認識されているのだ。
企業も当然にまた、その状況に気付いている。しかし、舵を切れない。
『 個人のハンドリングがタイミングを掴む 』
企業内でミッションに向かうクリエイターたちはハンドリングのプロフェッショナルであり、情報アップデート力に長けていて、技術力も高い。しかしそのために、時代を掴めない。
企業内クリエイターたちは“企業スピード”の中におり、プロジェクトの総体をハンドリングする経営幹部と営業部の下位に位置する制作部にあることから、時代に遅れる。
個人のアーティストにこそ、チャンスが開かれている。
自身の判断に則して稼働できる“個人”ならば、時代の最先端を突き進むことも不可能では無い。時代はもう、企業を信じていない。個人は、時代を掴めている。そこで必要になるのは、アーティストが“個人”を信じさせること。
方法はシンプル、“リスクを獲る”ことだ。
『 リスクを獲る 』
個人アーティストは時代スピードに追いつける。チャンスを掴むこともできるしかし、企業に完敗しているのが「信用度」である。
企業がマーケットを左右できた時代、信用とは「資本力」と「ロードマップ」であった。しかし企業は内部留保率を高めるばかりで、安定的な投資先を見失っている。ロードマップは机上の空論と化し、直近未来すら、読み当てることができない。
個人アーティストは、勝てる。
自腹をきれば、検証に時間をかけることにも制約は無い。ロードマップなど必要ないなにしろ、常に時代の最先端におり日々情報をアップデートするのだから。それを“観える化”して証明し続ければ良いだけだ。自身が世界の最先端におり、他者が持ち得ない“実証方法”を備えていることを開示し続けるそれが、“リスクを獲る”ということだ。
『 “非中央集権型コミュニティ”という最強 』
最先端を突き進む個人アーティストは、集結し始めている。そこは“コミュニティ”と呼ばれるが、リーダーはいない。他者を尊重するルールだけが存在しており、最重要なのは「マナー」のみ。オンラインサロンやサブスク サービスとはそもそもに比する類似点が無い。また、企業と比較することにも意味がないなにしろ現代型の非中央集権型コミュニティの中には、多くの企業も、参加していることが常だ。
アーティストは自由であり、コミュニティの中では誰もが平等であり、「全体への利」のみを意識しておけば、同志も集う。集結する時代の最先端はまた、壮大な企業プロジェクトをも凌駕する力を持つ。
ただし、「自己アピール」や「マウンティング」は論外。賛同者を失うだけだ。一般人が企業をこえる情報検索力を持つ現代の最先端においては“名刺交換”ですらも他のメンバーへの無配慮、マナー違反であることを忘れずに。
それもまた、時代が求める通りだ。
『 編集後記:』
家具を持っていない。
Cassinaでオリジナルカラーをオーダーする楽しさはもう、覚えていない。収納ボックスの定番、Fellowes社の段ボール製「バンカーズ ボックス」が生活の導線を構築している。クビを宣告された会社員が私物を詰め込んで出て行く場面で抱えている、あの箱だ。着替えから食材まで、基本の「703」に詰め込めば室内に荷物が散らかることなどあり得ない。小物から重量のある資料までを半分サイズの「743」に収めれば、「1626」の強化棚モデルでスタッキングできる。それを並べて、ホームセンターで購入した7,000円のゴムの木製天板を載せれば、EIZO社のカラーグレーディングモニターや編集用コンソールも設置自在。まるで、大きなレゴブロックで家具を組み上げる感覚だ。椅子は分解式のDirector'sチェア、移動テーブルの代わりにMICHIGAN社の木製脚立。
わたしは想いたった当日に一切の梱包を必要とせず、移転ができる。運ぶ、と捨てるに最適化した引越は、時代スピードを逃がさない。
問題は、“モニター類”だ。まぁ、デカい。作業場所が限定される。
来年には「VR.用ヘッドマウント ディスプレイ」か「スマートグラス」に移行できると信じているそうすればもう、“自室”を必要とせず、世界の最先端に生息しつづけられる。
最適化の中に無駄を極める価値を見出しながら、映画製作の現場へ帰るとしよう。では、また明日。