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「お笑い」を、学問に認定すべき:『映画STUDIO録』

消費され続けている「お笑い」、それは文化の損失だ。
研究者を育てるべく、「学問」にすべきなのだ。「日本のお笑い芸人」という、至宝を保全せよ。文化庁が動かないならもう、環境省でも良い。

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太一(映画家):アーティスト業界情報局
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日本未発表の国際映画業界情報 あるいは、
監督がスタジオから発する生存の記
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『 お笑い芸人は、アーティストだ 』

お笑いを教えている養成所は多いようだが、そうじゃない。
クリエイティヴィティを分析している大学や研究科があるが、
そこじゃない。

あの瞬発力と観客の掌握技術をもって、短時間の高精度な作品を乱発するアーティストたち、その「希少生物の多様性」を理解して「保全戦略」を講ずるために、学問として研究するべきなのだ。

茶化してなどいないし、馬鹿馬鹿しいほど真面目に書いている。映画人の私は「お笑い」を語れるほど詳しくなくしかし、けっして他人事とは想えない、親しみを持っているのだ。

『 日本の映画発祥の地は、「大阪ミナミ」 』

日本の映画興業は、124年前の2月15日に、“ミナミの難波”で誕生した。
「南地演舞場」(※現在の「TOHOシネマズなんば」の地)なのである。

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『 お笑いは、哲学である 』

食べていけない職業ながら、夢がある。
苦悩の先に答えを求めて、迷える一般人を笑顔にする。
しょうめいが無くても舞台は宇宙。
常識を疑い、原理を理性でねじ伏せる。

「お笑い」と「哲学」に違いなんて無いではないか。つまり、「お笑い」には、学問としての価値がある。

『 お笑い芸人の“傑作コント”は、多くの映画に勝る 』

その中でもあえて、“TV放送版以外”と言わせていただきたい。ここでは、「自らのファンを対象とした単独ライブ舞台」のことを言っている。

単独ライブ舞台でのクオリティには、“テレビ放送基準に配慮するあまりのコモディティ化”がない。また、彼ら自身の性質を解説するプロセスを排除できることから、“遠慮のないディープな世界観”を描くことが許される。

そして、DVD等パッケージから配信販売まで単独ライブ舞台こそが、実質的に現状唯一の「自作完パケの撮影現場」だという影響が考えられる。並々ならぬ覚悟で挑んでいること、間違いないだろう。“編集”のない、「一発本番ドラマ撮影」だ。


あぁ、ところで。
まだ日本に入っていないニュースをお知らせしておこう。

■ 最新国際News:架空映画企画で758億円のネズミ講詐欺、カリフォルニア州で34歳の映画俳優逮捕

俳優のザック エイブリーは、NetflixやHBOとの架空の契約、業界幹部とのやり取りを捏造した「架空の映画製作権」を元に、資金を集めた。ハリウッドで調達した投資資金758億円を私的に奪った罪でエイブリーは逮捕され、最高で20年の懲役刑に直面している。さらにエイブリーはNetflixやHBOとのライセンス権契約を持ちかけて数億円を調達した後に緊急の資産凍結を行ったことを、証券取引委員会が報告している。エイブリーは投資家へのプレゼンテーションに捏造した配給契約活用したのみならず、自社の作品経歴も、虚偽であった。本件は、“ネズミ講詐欺”だと認定されている。この事件を明らかにするためには、NetflixとHBOが協力した。エイブリーは、コメントを出していない。 - APRIL 07, 2021 THE Hollywood REPORTER -

『 編集後記:』

“映画業界”をうたった珍しくない“詐欺”ニュースだが、被害金額が更新されたようだ。懲役も業界接近禁止も良いがむしろ、その手口詳細を全公開させて、以後への警鐘にはできないだろうか。

「映画詐欺」は、多い。むしろ、めちゃくちゃ多い。
恐ろしいのは、映画を謳った詐欺だけでなく、「本物の映画の周囲での詐欺」が発生している事実だ。

映画の資金を調達する係をおもに、プロデューサーという。
しかし、その「映画プロデューサー」に大勢の“ド素人”が暗躍している。

彼らはせいぜい数本程度の作品製作を垣間見た経験しかなく、業界常識どころか専門用語すら知らない。他社の実績を語ることに罪悪感などなく、“プロフェッショナル気取り”の立ち居振る舞いだけは一流だ。

詐欺状況を断言できるのには、理由がある。わたしもヤられてきたから、だ。“学び”というには大きすぎる損失に、顧問弁護士たちの手を煩わせたのだった。

映画の企画開発から製作には、少なくない資金を調達する。そのためには、調達するプロデューサー自身が出資する経験を積む必要があるのは、当然だ。大きな成功はなく、失敗は大きかった。

国内外のチームと連携する日々にもうわたしは無用なリスクを抱えることも、失敗もなくなったが虚しさは、拭えない。わたしは一度も、外国人から詐欺に遭ったことがない。わたしを騙した相手は全員、日本人だった。
もちろん、たまたまな筈だ。

『映画が巨大なチャンス』だという事実を前にひとは、盲目になる。
目の前の“企画書”なる紙ッぺらを信用せず、専門用語に踊らされず、興味と関心のままに徹底的な“質問攻め”にすることだ。自身が本当に国際映画業界歴を誇り、ベテランに匹敵する30年の現場実績を持っているなら、誰の前でも堂々、語れるはずなのである。ニュースや一般論に逃げる程度の付け焼き刃を、一切信じないことだ。「本物」には必ず、実績が伴う。

ストーリーという虚構の中に「真実」と「事実」を語る映画製作の現場へ帰るとしよう。

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