現代における交通安全の取り組み #5
これまで、車に搭載された安全機能とその使い方、注意点を書いてきました。どれも大切な事をお伝えしてきたのですが、今回からは視点を変えてドライバーの体調管理について進めて行こうと思います。
自動車事故の原因の約9割は人為的な要因
【交通事故原因のトップ8】
① 安全不確認 「安全確認の不足」
② 脇見運転 「前方を見ない状態での運転」
③ 動静不注視 「判断ミスによる他車の動静の不確認」
④ 漫然運転 「集中力や注意力が低下した状態での運転」
⑤ 運転操作不適 「ハンドル、ブレーキ操作等が不適切な運転」
⑥ 一時不停止 「道路標識等の“止まれ”の規制を守らない」
⑦ 信号無視 「前方の赤信号を無視して走行する行為」
⑧ 最高速度違反 「速度規制を超えた走行運転」
上記の殆どはドライバーの安全に対する意識低下起因とするもので、その中でも今回特別に取り上げたいのが、④漫然運転 なのです。
漫然運転とは、ぼんやりとした状態で運転をしていることで、上の空で運転に集中できていなかったり、疲労や眠気が原因で一瞬ぼーっとしてしまっている状態を指します。
この漫然運転を今回取り上げる理由は、事故が全体的に大きく減少方向にある中、相対的には横ばい状態であるということです。そして、意識管理だけでは防げない体調が原因とされるケースが考えられることです。
防ぎようのない突然襲ってくる眠気
皆さんも前日に十分な睡眠をとっているにも関わらず、突然どうしよもない眠気が襲われた経験はおありかと思います。最適な睡眠時間は人それぞれ異なりますが、一般的には6時間を切ると睡眠不足と感じる人が多いようですが、この睡眠時間に関係なく襲ってくる眠気は、時間よりも眠りの質が関係することが多いのです。この質を下げる代表的なものに「睡眠障害」があります。(専門外のため詳細につきましては触れることができませんが)
この睡眠障害の怖いところは、本人に自覚がないケースもあり、前日よく眠れたと安心している状況で起こることです。私自身も、7時間以上の睡眠を取っていたにも拘わらず、高速道路を走行中に突然眠気に襲われ怖い思いをしたことがあります。
居眠り運転状態の自覚が低いのが問題
居眠り運転も本人が自覚していればまだ防ぎようがありますが、本人が居眠り状態を自覚していないケースが危険なのです。
これは実際に運転をされている方に、居眠り運転に関する質問を投げかけると、実際は居眠り状態にあったにもかかわらず「寝てない」と回答する方が多くいるということです。
つまり、居眠り運転に対する定義がマチマチであるということです。
これを根本的に解決するには、数値化することで本人に促す以外に方法はないと考えられます。
そこで居眠り状態に陥る前の寝入り端を素早く検知するシステムの研究を、千葉大学大学院工学研究院さんと共に始めました。
次回はこの共同研究【居眠り検知】についてです。