現代における交通安全の取り組み #6
前回の投稿では安全運転における大事な要素として、ドライバーの体調管理の必要性を書かせていただきました。そして私が一番問題視している「居眠り運転」に関する取り組みのご紹介を致しました。
今回はその研究内容を具体的にご紹介させて頂きます。
生体データ測定により居眠りを検知
居眠りは一般的には寝不足、過労、体調不良・・・様々な身体的問題が起因して起こるのはご周知の通りです。当然、眠気が発生した段階にて、体には様々な反応が出るのでそれを素早くキャッチするのが私が狙う”居眠り検知”なのです。
その際、生体データとして活用した代表的なものに
・心拍データ
・眼球運動データ
があります。動作の正確さ、使用感、コスト等、それぞれ一長一短ですが、それぞれニーズに合わせた使用により、その効果も発揮してきたことと思います。しかし、私が狙う居眠り状態に入る前の”寝入り端”を素早くキャッチするものを低コストで作成となると、これまで主流だった方法では難しいのです。
筋電を活用した寝入り端検知
そこで世界初とも言える、眠気と筋電を関連付ける研究を千葉大学大学院工学研究院さんと始めました。筋電とは、脳から体の筋肉を動かす際に出る微量の電気であり、ここから寝入り端をキャッチするのが目的です。
筋電データを使用するメリットに、電極2つとマイコンから成るシステム構成はコンパクトかつ低予算にて実現可能であることです。
測定する体の部位は多くありますが、今回着目したのが運転中でも動きが少ない表情筋(顔)を使用することにしました。表情筋と言っても多くの筋肉があるため、どれを使用するかは実験にて検証を進めました。
ドライビングシミュレーターにて単調なコースを長時間走り、その際の表情筋を測定(同時に参考として脳波と測定スタッフによる目視も行った)
50分間の測定は昼食後ということもあり、十分な睡眠を前日に取っているにも関わらず、終始眠気との戦いでした。単調な運転に関しては、おそらく実際の運転においても同様の症状が出ることが予想されます。
生波形(前頭筋、皺眉筋、眼輪筋)にデータ処理をかけます
以上の実験において、眠気出現に伴って波形がより細かく、連続的に続く様子が観察されたことから、筋電と眠気の関連付けが有効であることがわかります。
今後の展開
今回の実験中においても単調な運転において眠気が強く表れたことからも、高速道路を使用する長距離ドライバーがメインターゲットとなることが予想されます。
それ以外では、夜勤を伴う業務に関わる人、受験生等にも活用いただけることと思います。
また、ここで得られたデータを、スマホ等を介してクラウド上にて管理することで、法人では対象となる人の体調管理をオンタイムで出来ることから、危機管理だけでなく福利厚生的な側面も持つことが期待されます。