靴を揃えてあしあわせ。「あしあわせステッカー」の秘密
こんにちは。名古屋市でスクリーン印刷、そしてスクリーン印刷を応用した困りごと解決商品を展開している「人を助ける印刷屋さん®」太美工芸です。
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さて、今回のテーマは「あしあわせステッカーの秘密」です。前半は商品の機能についての紹介、後半はマーケティング視点での掘り下げを行います。
靴を揃える習慣づけをサポートするグッズ
「あしあわせステッカー」は、文字通り足型のステッカーで、大人用、子供用それぞれ2枚組で販売しております。
これは靴を揃える習慣づけをサポートするグッズで、スリッパや靴の定位置に貼っておくことで無意識的に靴を揃えようとする心理を引き出し、玄関やトイレなどの整頓に役立てられます。
玄関向けと、フローリングなどの室内向けで仕様が異なっておりますので、お買い求めの際は使用目的に応じてお選びください。
玄関用(強粘着)
室内用(弱粘着)
この手の足型ステッカーは時々公共施設やホテルのトイレなどでも見かけますので、見たことがある方もいらっしゃるでしょうし、実際に「あっ」と思ってスリッパを揃え直した経験もあるのではないでしょうか。
アフォーダンス(シグニファイア)で問題を解決する
無意識的な心理に働きかけ行動を促す、という仕組みはスイッチ類や自動車の機器類、アプリ上のインターフェイスに至るまであらゆるところで応用されています。ビジュアルデザインによって「無意識的にそっちのほうがしっくり来る」みたいなところを引き出す手法は文字やピクトグラムに頼らずとも行動を促すことができるため、美観を損ねずにスマートな注意喚起に役立ちます。
「スリッパを揃えましょう」という張り紙をするよりも、むしろ足型ステッカーで暗黙的に行動を促すほうが効果的である可能性すらあります。
こどもに「靴を揃えなさい」といちいち注意してもなかなかできない、とお悩みの方にぜひお試しいただきたいと思います。毎回チェックして注意して、というストレスから解放され、自然と靴が整っている…そんな日が来るかもしれません。
習慣付けとは、最終的には「無意識にできる」を目指すことを意味します。誰に言われなくても、誰も見ていなくても、意識しなくても、自然とできる状態が定着することがあしあわせステッカーを床面に”定着”させる目的なのです。
ところで、デザイン領域でしばしば用いられるアフォーダンスという用語は、本来はシグニファイアと呼ぶべき定義なのだそうです。
実はこのあしあわせステッカーも最初は思ったほど売れませんでした…どうやって主力の一角を担うまでに成長を?
おかげさまで最近順調に自社製品売り上げランキングの上位に食い込んでいるこの「あしあわせステッカー」ですが、市場投入後すぐに売れたわけではありません。商品開発チームによるアイデアを形にした商品で、弊社が得意とするフロアステッカーの応用アイテムなのですが、半年近く、ぼちぼち売れているかな、という感じの手応えでした。マーケティング会議でも、「どうやったら伸びるかな」と時折話題になりました。
じわじわと伸びてはいたものの、自社商品の主力として安定して「置き配ドアノブプレート」「置き配マグネット」が上位を占めている中、それらのシリーズに埋もれている印象でしたが、ある瞬間を境に状況は変わりました。
拡散力のあるSNSアカウントによる紹介
ある日とあるSNSであしあわせステッカーについて紹介した投稿が拡散し、そこから売れ行きが変化しました。
…と一言で書いてしまえる内容なんですが、もう少しディテールについて述べてみます。
思わず投稿したくなる瞬間ってどんなとき?
何かを購入した際にSNSに投稿したくなるのはどんなときでしょうか?
プラス方向にもマイナス方向にも、なにかしら驚きや感動のように感情に変化が起きたときではないでしょうか。
もちろん、拡散させることだけを目的にするならリポストキャンペーンをやったり、インフルエンサーマーケティングを実施するのが手っ取り早いわけですが、これらは過剰だと商品やブランドへの信頼性においてデメリットにもなり得る手法と考えられますし、なにより予算が必要です。
かといって、自然と投稿されたものがバズって売れるようになるのを【狙う】のは非常に時間と運に左右されるもので、効率的とは言い難いものです。「バズらせられたら一変するよね」という会話はよく出ますが、直後に「狙ってできるなら苦労しないわなあ」で締められるというところまでがセットです。
繰り返しになりますが、やっぱり自然に投稿され、共感の拡散を生むには「思った以上に良かった」という衝撃をもたらす商品が誰かのハートを動かす必要があるわけです。
足型のフロアステッカーというごくごくシンプルなアイテムにこちらから驚き要素を流し込むようなプロモーションを行うのは性質上難しいのですが、ご利用者さまの実体験で驚きが発生したことによって良いターニングポイントが発生したという事例です。
トライアンドエラーと人を助けるというコンセプトへの集中
不確定要素が色濃い自然拡散は狙ってできることではありませんが、その要件を満たす商品を開発しようとすることはできます。そもそもは、バズらせたいのではなく、誰かのお困り事を解決したいから商品を開発しているわけです。
そのために、日頃から「ここをこうしてみたら?」「こんな商品はどうだろう?」という試行錯誤で次々と派生製品を生み出し、テストマーケティングを兼ねて市場投入を続けています。自社でサクッと作れる強みがここで生きてきます。さらには、ECであるということで販売実績やそれに付随するデータが集積され、やるごとに知見が積み上がっていきターゲティングの精度も上がります。
販売実績が良好なアイテムはより好循環を生む
ECサイトのアルゴリズム仮説として、CV率や売れ行きが好調なアイテムはより検索やおすすめへの露出度が上がると考えられます。
それらの要件を満たす主力アイテムがいくつか安定してアクセスを呼び込んでいる状態が作れれば、他のアイテムにも目が向き結果的に全体のパフォーマンスアップに寄与するのではないかと推測しています。もちろん運営チームにサイト内巡回を少しでも長くしてもらえるようなデザイン/インターフェース上の工夫をお願いしています。
また、オリジナル製品(自社企画開発商品)でインプレッションが大きく出せるようになるということはそれがブランドとしての認知にも寄与し、これも好循環を呼び込む要素と考えられます。
つきなみな結論ですが、トライアンドエラーと水平展開、垂直展開、情報収集、これらのPDCAサイクルを多重的に回していくことと、根本にあるものづくり精神、お客様の気持に寄り添う開発の積み重ねの上で、ようやく時にはご褒美として「拡散」が生まれるのではないかと思います。逆に言えば、そうした積み重ねがなければ、何も起こらないとも言えます。
自社企画開発商品でECに挑戦するというのは思い切った決断ですが、挑戦しがいのある事業だと思います。定期的な会議がいつも楽しみです。
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(文・編集 |太美工芸ウェブマーケティングチーム 大林)