🔴いつも大安吉日1 〜物語のはじまり〜
【物語のはじまり】
人にも物にもはじまりがある
人にも物にもおわりがある
うまれて死ぬ
つくってこわれる
物質的にはそんな感じか
少し見方をかえてみる
はじまりがおわりになり
おわりのはじまりもある
長野に移住して佐久穂での暮らしがはじまる
群馬を離れて鬼石の山での暮らしがおわる
平成がおわって令和がはじまる
おわりとはじまりをまたいで続くものもある
さかのぼったら人が猿だったころ
もっともっとずっと前からつづくいのち
宇宙も地球もぼくらのつながるいのちも
おかあさんのおなかの中にいたころからぼくらの心臓はドクンドクンと鼓動しつづけている
十月十日のあいだおかあさんの鼓動とは別にずっとドクンドクンと
そして地球にうまれてきたあともずっと
いのちの鼓動は1度もとまることなく太古からつづく
このさきもずっと
地球家族 人類みな兄弟
想いはどうだろう
ぼくの暮らしの道具たち
暮らしの場をつくる材料
家も田んぼも畑も
ぼくのまわりはいただきものだらけだ
単純に金がないから買うっていう選択肢がまずないってのもまちがってないよ
家づくりでかんがえてみる
買った材料でどんどんつくれば形も大きさもそろってるし、作業効率は半端じゃなくいい
きれいだし、新築に住んであたらしい物語をつくっていくのもいいよね
一方、廃材をかきあつめて捨てられる寸前のものをあつめて作る家は思ったようには進まない
やっぱり知恵をしぼるし、ひとりじゃできないこともある
でもたくさんの想いと思い出がある
だからオモイイレがある
「あいつとこの部屋の壁板はがしに遠くまでいったなー」
「あいつがこの風呂釜を運んでみがいてくれたなー」
「この建具は災害をうけて解体することになったそこの家のだよ」
「このストーブも臼も机も電気の傘も」
使えるものがあたりまえにゴミになっていくのもやだけど、それ以上にひとつひとつの物語の中に暮らしているのが大好きだ
愛着
ほとんどとびこみで声かけて交渉する
交渉といってもお金の話はほとんどない
ぼくの想いと使いみちを話して暮らしを知ってもらう
持ち主さんからいままでの物語をきく
話しがうまくまとまる人は、もちろんぼくの暮らしを理解してくれるところがあるから、そこにはいい空気がながれる
そのときすでにぼくには愛着がわいている
またもすてきな出逢い
家直しをしながら、作業の進み具合でそのときそのとき必要なものや欲しいものが出てくる
あらかじめ用意しておくことはない
どんな家になっていくかは出逢い次第だからね
アンテナはつねにビンビンだ
かなりの情報をキャッチしてくれる
車に乗ったらいつもキョロキョロしてるし、仕事をしてても時間があれば探してる
そしてやっと出会ったんだ
3日くらいまえの伐採現場
大きい屋敷木がある家は古い家が多い
蔵があったり納屋があったり
敷地の片隅にタイルが貼られたかまどを発見
興奮したね
だってここのところ探してたんだよ
釜がひとつだけ入るのはいくつかアンテナに引っかかってたんだけど、状態いい釜がふたつ入る2連のかまどになかなか出会えなかった
外でトタンを乗せてあるだけの保管状態というか放置状態
家で米やら豆を蒸したり茹でたりするリアルなイメージまで一気にいったね
齢八十くらいのおばあちゃん
「あたしの義理のおかあさんが使ってたんだけど、家をあたらしくしたときに使わなくなったんだ」と
引き継がせてもらうことになりました
かまどにまた火をいれさせてもらうことができそうだ
こうして途切れた物語をふたたびぼくがつないでいく
米や畑でとれた作物たち、あそびにきたなかまたちが物語にまたすてきなヒトコマをたしていく
本にした物語じゃなくても忘れない
ぼくのなかにしっかりと残る物語
うれしーな
たのしーな
また物語のはじまりだ
おかげさまです
そうそう、このかまど物語の最初のシーンなんだけど
埼玉北部から佐久穂に移動させるシーン
だれか登場したい人いないかな
想いのこもった重いかまど
運搬助っ人募集
思い出つくろー
五穀豊穣
子孫繁栄
大安吉日や さかいひろし
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