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意匠法31条の読みにくさについて

こんにちは。2025年の通常運転が始まりました。
いきなり5連勤だった方が多いでしょうか。
疲れましたね。お疲れ様です。

通常運転最初の休日は、意匠法の条文を読んでいました。
前回のnoteで、テキスト1週目を読了した話を書きました。
2週目に入って気づいたのが、1週目のときに貼った付箋に書いていた分からないことに対して、自分で答えを導き出せるようになっていること。
まずは一通り読み切るということができれば、思考力なども自ずと付いてくるのかなと実感しました。
その気づきをくれた意匠法31条の話をしたいと思います。

意匠法31条(意匠権等の存続期間満了後の通常実施権)

条文では以下のように規定されています。
(記載の都合上勝手に改行しています。以降同じ。)

意匠登録出願の日前又はこれと同日の意匠登録出願に係る意匠権のうち
登録意匠に類似する意匠に係る部分が
その意匠登録出願に係る意匠権と抵触する場合において、
その意匠権の存続期間が満了したときは、
その原意匠権者は、原意匠権の範囲内において、当該意匠権又は
その意匠権の存続期間の満了の際現に存する専用実施権について
通常実施権を有する。

読めない!分からん!この専用実施権って誰にとっての何なのさ!?
というのが1週目の感想。
解説テキストでは平易に書いてくれているので、要旨は分かりますが、
咀嚼しないで飲み込むと、やはり消化できないんですよね。

今回は、対応する特許法81条とじっくり見比べて読んでみました。
すると、読めない原因を自分なりにはっきりさせることができました。

特許法81条(意匠権の存続期間満了後の通常実施権)

条文では以下のように規定されています。

特許出願の日前又はこれと同日の意匠登録出願に係る意匠権が
その特許出願に係る特許権と抵触する場合において、
その意匠権の存続期間が満了したときは、
その原意匠権者は、原意匠権の範囲内において、当該特許権又は
その意匠権の存続期間の満了の際現に存する専用実施権について
通常実施権を有する。

特許法だと、比較するものが「特許権」と「意匠権」なので、
登場人物が読み取りやすかったのです。

気づいてしまった

「意匠法31条は、特許法81条の『特許』を『意匠』に一括置換したものだったのか…(´・ω・`)」

テキストエディタを開いて~、[Ctrl+F] ポチッ。
『特許』を『意匠』に、[すべて変換] ポチッ。
自分の中で、このように勝手に解釈することにしました。

特許法を書き換えてみる

特許法81条を、
A:特許(特許出願 ⇒ 出願A、特許権 ⇒ 権利A)
B:意匠(意匠登録出願 ⇒ 出願B、意匠権 ⇒ 権利B、意匠権者 ⇒ 権利者B)
として書き換えてみます。

(noteだと字に色を付けられなかったので画像にしました)

この色分けを、意匠法31条に適用します。

こうすることによって、どれがどっちのことを言っているのかを、ようやく理解できました。
本来、同じ法域の権利同士は制度上は抵触は起こり得ないものですが、
意匠権に関しては類似の範囲も権利に含まれるので、その部分を考慮するために、特許法と違う規定の仕方がされていることも分かりました。

すっきり~。