“あんがと”レター
僕は今とても好きな人と別れようか悩んでいる。
別れる理由は、一つしかない。
最近会えばいつも喧嘩をしてしまうからだ。
そんな理由で?と誰かが聞いたら思うかもしれない。でも、好きな人との喧嘩は信じられないくらいの自己嫌悪と信じたくないくらいの自尊心を僕に突きつけてくる。
ーーーなぜ彼女の言葉に反発してしまうのだろう。
ーーーなぜ彼女に素直な気持ちを伝えられないのだろう。
幼い頃は好きな人と付き合ったら、ハッピーエンドがずっと続くと思ってた。
でも、実際僕の目の前にあるのはアンハッピーだ。
バットではないけど、ハッピーでもない。
好きな人と付き合った結果、アンハッピーなんてことがあってたまるか!と心の中でどんなに強く思っても、目の前のアンハッピーはビクともしない。
むしろ思いの強さが増すほどに、それに対して全く動く気配を見せない現実に、たじろいでしまう。
LINEを開く
LINEの背景に映る青空は、いつまで経っても既読にならないメッセージとともにまっすぐこっちを見てくる。LINEの中は昨日のままだった。
青空は夜になった。
画面が明るくなる。
既読。
「ごめんね、ありがとう」
“アンがとれた”