(vol.14) 『アナライザータイプ』との効果的なコミュニケーション。
選手との関係性を深めるために。また、選手の潜在能力を最大限引き出すために。その効果的なコミュニケーションをタイプ別に書いていきます。
今日は『アナライザータイプ(分析型)』についてです。
どのような人がアナライザータイプに多いかということと、アナライザータイプが好むアプローチについて説明します。
(※タイプを決めつけたコミュニケーションは逆に関係の悪化につながる可能性があります。「タイプ分け」は、あくまでコミュニケーションの判断基準であって、相手を理解し尊重することを助けるものです。人によってどんなコミュニケーションが効果的なのか常日頃から考えることが重要です。)
コミュニケーションタイプについて書いてあるのはこちら👇
1.どんな選手が『アナライザータイプ』に多いか
実は4つタイプは行動パターンから推測できることがあります。
『アナライザータイプ』の行動としては、
●リアクション → ゆっくり
●話す速さ → ゆっくり
●話の長さ → 順を追って、ロジカル話すので、長い
●声の調子 → 単調、冷静
●表情 → マジメそう
●姿勢 → 直立不動、硬い
●話の話題 → 試合や練習について
●スタンス → 正確に話そうとする
以上のことが挙げられます。
アナライザータイプに予想外の質問をすると極力「正確であろうとする」ため、
□間違いを起こさぬそう、一語一語吟味しながら、話す
ので、反応速度は著しく遅くなります。
また新チームなど、知らない人が多く集まる場では、まず、傍観者に徹します。十分に観察し、状況を確認して、それからアウトプットします。
□淡々とフラットに話す
□客観的な事実やデータを話す
などの反応もあります。
以上の行動が多くあてはまる選手はアナライザータイプの確立が高いかもしれません。
2.アナライザータイプの特徴
以下特徴をまとめます。ざっと言うとこうです。
『沈着冷静慎重派アナライザータイプ』
行動の前に多くの情報を集め、分析、計画を立てるタイプ。情報がないまま行動することは難しく感じます。「まぁいいからちょっとやってみようか」なんて軽い気持ちで行動を起こすことはしません。物事を客観的に捉えるのが得意で、状況に振り回されません。完全主義的なところがあり、ミスを嫌います。問題解決と分析の専門家。変化や混乱に弱いです。ですが、決めたことには粘り強く、最後までやり遂げます。確実で優れた仕事をすることも特徴です。人との関わりは慎重で、感情をあまり外へ表しません。孤立することがあまり苦になりません。人は好きですが、大多数が苦手です。「まじめ」とよく言われます。
チームにこのような選手を思い当たりはしませんか?どのチームにも数名いるのではないでしょうか。
これからアナライザータイプの選手が好むアプローチを説明します。
※ちなみにアナライザーのキーワードは
完全 完璧 理由 具体的
正確 マイペース 沈黙
です。
3.アナライザータイプの選手が好むアプローチ
アナライザータイプが好むアプローチとして、場面ごとに説明していきます。コンパクトにまとめますので参考にしていてください。
〇情報提供○
正確で詳細な情報を提供しましょう。「正しいことをしている」という実感が行動を駆り立てます。例えば、「タイムは前の選手と10秒差。1㌔手前から3秒縮んだぞ!」や「シュートの成功率が30%だよ。優位に立つには後10%上げる必要があるよ。」など。
〇提案○
自分の立てたプランを計画通りに進めることにかなりの「こだわり」を持っているので、計画の変更は極度に嫌います。なので提案は事前になるべく早く伝えましょう。試合前に「相手の~~な作戦次第では後半の途中から交代することもある。」「〇〇な試合展開になったらこうしよう。△△な試合展開になったらこうしよう。」など伝えておくことが有効です。
〇質問○
範囲を狭めた具体的な事実を尋ねましょう。間口が広い質問は、何を答えていいのか分からなくなります。選手のプレーに対して「次はどうしたらいい?」よりも「次相手がこう動いたらどうする?味方がこう動いたらどうする?」「試合の状況が慌ただしくなって、落ち着かせたい時はどうする?」など、間口の狭い質問がアナライザータイプの選手を考えやすくします。
〇要望○
正当な根拠と予測されるリスクについて明らかにした上で、①手順を示す。②明確に依頼する。ことが効果的です。「~~なリスクはあるが、△△を理由に、〇〇なプレーをすることは価値がある。後半、〇〇なプレーをお願いしたい。」など。
〇任せる○
ある程度、方向性が見えている中で、自分の専門的役割を発揮することを期待されると力が出ます。「とにかく一任するよ。」など丸投げされては戸惑います。「チームの目標は~~で、今後はこのステップで進んでいく。それにはお前の△△のスキルを活かして〇〇の役割でチームを引っ張ってほしい。」など。
〇目標の提示○
客観的な情報を裏付けに、目標の正当性、妥当性が示せると、モチベーション高く動きます。市や区などで闘う選手にいきなりノリと勢いで、「日本一を目指そう!」といってもアナライザーには響きません。「今は〇〇という現状で、一年の内に△△なステップで進むことができれば☆☆を達成することができる。その途中には□□といった不測の事態も考えられるが、◎◎することで乗り越えていこう」など実現可能な目標とその道のりを明確に伝えると効果的です。
〇選手からの意見○
アナライザーは正しく話したいと思っているので、意見を言う時は一から十を言います。時間としては長いです。ですが分析した上で正確に話すので、チームにとって重要な意見になります。時間をとって急かさずに聞くと指導者への信頼を強く寄せます。意見を聞く時間がない時には「時間がないから重要な点を先に言ってほしい。他のことはミーティングが終わった時に教えてくれないか?」など先に伝えましょう。
〇ほめる○
「正確に、具体的に、事実を示して」ーこれがアナライザーを誉める時の鉄則です。へたに「すごいな!天才だな!」など言うと「バカにしてますか?」と思われます。「~~のプレーのところ、〇〇して△△したから良かったよ!」「さっきの試合の~~のプレー。〇〇のスキルが上達しているな!」など具体的に言うと効果的です。さほど嬉しそうな顔をしませんが、内心はとてもモチベーションが上がっています。
4.最後に
シチュエーションは様々なので、以上を参考にしながら、アナライザータイプに応じた効果的なコミュニケーションを探ってみてください。
以上が、4回に分けての4つのタイプ分けの説明になりました。
人には大きく分けて4つのコミュニケーションタイプ
□コントローラータイプ(直進型)
□プロモータータイプ(促進型)
□サポータータイプ(援助型)
□アナライザータイプ(分析型)
が、あります。
チームのそれぞれの選手にはそれぞれの効果的なコミュニケーションが違いますので、以上を参考に探してみてください。
きっと、効果的なコミュニケーションを見つけることで、選手のモチベーションを引き出しやすくなったり、パフォーマンスを最大化できて、チームに結果をもたらすはずです。
※『図解 コーチング流 タイプ分けを知ってアプローチするとうまくいく』はコミュニケーションタイプについて絵を使いながら説明してくれています。わかりやすいので僕もよく参考にしていますので是非!。▼▼
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それでは今日はこの辺で。