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教材採択とドラクエ

 私はドラクエが好きです。
 ドラクエでは数々のクエストをクリアして、最終的には世界に平和をもたらさなければなりません。
 街の外に出れば、手強いモンスターがうようよ。
 そのモンスターを倒し、クエストをクリアしていくために、主人公は自身のレベルを上げるとともに、各種武器・防具・アイテムを集めたり、買い揃えたりしていきます。
 丸腰では強いモンスターにかないませんからね。
 武器や防具、アイテムは、主人公の足りない部分を補ってくれるわけです。
 ドラクエをやり込む人の中には、レベルを99まであげ、武器や防具などを身に着けず、「丸腰」でラスボスに挑む人もいますが、それは稀でしょう。
 
 新年度になると、教育現場では「教材採択」が行われます。
 この時期には、1年間使われるテストやスキル、ノートなど、教材の選定が重要な課題となります。
 教師や学校は、子供たちの学習をサポートするために、どの業者からどの教材を購入するかを慎重に決めなければなりません。
 教育を提供する立場から見ると、教材採択は非常に重要な決定事項であり、効果的な学習環境をつくるために欠かせない要素となっています。
 しかし、「教材なんて去年と同じでいいね」「かわいいキャラクターのほうが子供のやる気が出るでしょ」みたいに決めている先生も少なくありません。
 また、私が勤める自治体では「教材会社がかたよらないように、いろいろな業者から購入するように」という「暗黙の了解」のようなものがあり、実際に言われることもあります。
 ちょっとまって。
 教材採択ってそれでいいのでしょうか。
 私たちはこれから一年間、数々のクエストをクリアしていかねばなりません。
 そして教室には、何十人もの「モンスター」がいます。
 担任のレベルが99ならどんな教材でもいいのでしょうが、なかなかそんな先生はいないでしょう。
 つまり、教材は私たち教員の足りない部分を補い、効果的に「モンスター倒し」、「クエストを効率的に進める」ために重要なものだということです。
 それを上記のような理由で、第一希望とは違う教材にするようなことになれば、「不利」な状態でクエストを進めないといけません。
 そんな余裕が学校現場にあるでしょうか。
 「世界を救え!」とか命令するくせに、激弱な武器防具と、わずかな支度金しかくれないドラクエの王様と同じです。
 ゲームでしたら序盤は弱いモンスターしか出ませんからそれでもなんとかなりますが、学校現場は初日からボス戦のようなことが起こります。
 しかも連戦ということも珍しくない。
 
 だから教材採択は私にとって真剣勝負なのです。
 変な理屈には屈しません。
 明日から新年度。
 初日から戦闘モードです。

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