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ああ、そうか。書けなくなるのは、きっと代わり映えのない日常で生きてるからなんだ。


書ける。自分は書けるはずなんだ。

そんな呪文をぶつぶつ唱えても、いざキーボードに指を乗せてみたらぜんぜん進まない。なぜだろう。「なぜ」なんて疑問形でしらばっくれてみたけれど、その原因は薄々わかっていたりする。


人を惹きつける文章を書く人は、人を惹きつける生き方をしている人でもあることが多いように思う。つまり、彼ら彼女らは普段から高い意識を持って日々を気張って活動的に生きているからこそ、日常をそのまま文章にしても素敵に仕上がるんだよね。

比べるのは良くないんだけども、そういう意識高い行動派の人たちの文章を目にした後に、自分自身の日常に目を向けてみると、その落差に唖然とする。

自分の生き方にはっきりとした自信が持てないぶん、日常をさらけ出して言語化できない。そもそも、書く材料がない。読まれるような新鮮なネタがない。家族の面白エピソードとか、参加したイベントのレポートとか、推しのアーティストの話とか、そんな良さげなネタはどこにも見当たらないのだ。

なので、ネタがないぶん、ちょっと下駄を履かせる(盛る)パターンになりがちである。気のきいた書き出しとか、美しい文体とか、今っぽい言葉づかいとか、鋭い視点とか・・・小手先で背伸びしようとする。

やがて、筆が重くなり、ああ面倒くせえってなる。おしゃれエッセイ風に盛る作業って疲れるし時間がかかる。(なんでもないことを面白く美しく書く技術こそが文章力っていうのはもちろんあるんだけど)

SNS上で脚色された自分とは違う、ありのままのスッピンの自分。一人の時の自分。あくびをし、おならをし、ぼけっと過ごす気の抜けた自分。臆病で、不機嫌で、怠けがちで、誘惑に弱い自分。そんなブザマな自分の姿なんて誰も興味ないだろうし、そもそも見せたくないんだよね。いっそのこと開き直って恥ずかしい自分の姿をネタにするっていう手法もあるけれど。

noteを始めたばかりの頃は、覚悟を決めて、スタートダッシュの勢いにのって、連続投稿をがんばったりとか、精一杯発信していたのにね。気がつけば勢いは完全に死んでいる。脳が緩やかに退化している気さえする。


文章に下駄を履かせなきゃいけない状況。書きたいのに書けない状況。むりやり書くモチベーションを出さなきゃいけない状況。そんな書き手のつらい状況を解決するためにどうすればいいのか。

そもそも、書く気が起こらないのは「日常に代わり映えがない」からなのだ。だからこそ必要なのは「意識的に新しい何かをやる習慣」ではないかと思う。

すぐ近くにあるのに手つかずだった何か。自分の生きてきた世界と全く接点のなかった何か。行ったことのない場所。新しい人との出会い。新しいジャンルの趣味。探せば結構ある。

それは、自分の生きている枠内から飛び出すということだ。心の含有成分を増やすということだ。新しい何かをやることで、少なからず自分の視野や感情や考え方に変化が生じる。そのちょっとした心の動きが文章の材料になる。心の動きというのは、ビフォア&アフターのイメージのズレ、それまでの人生になかった初めての感覚、単純に感動したことなど、人それぞれあるはずだ。

そんな新ネタ探しが日常になれば、毎日が楽しくなるだろうし、視点や考え方がぐんと広がるような気がする。発見や気づきがブーストしそうだ。これって、書く人みんなに共通する真理かもしれない。

自分のアップデートっていうのは、強く意識してやらないと結構難しい。絶対に一年続けるぞ!というような覚悟が必要だ。日常の忙しさに無意識のまま流され、その状況を放っておくと、文章を書く・何かを発信するエネルギーが衰退していくから。そして、なるべく一人でやった方がいい。文章だって一人で書くよね。なかなか孤独な作業だよ。

これを書いている私自身も、2021年はこの文章で書かれている典型的な「書けなくなった人」だった。1年間でnoteで投稿したのは10記事だけ。仕事以外の文章を書く習慣が失われた日常は、潤いのなくなった乾燥肌のようにカサカサしている気がする。

どんな小さなことでもどんな地味なことでもいいから、2022年は、毎日最低でも1個は新しい何かをやることを自分に課した。1年後には、自分の中に365個分の新しい何かが増えているはずだ。「一日一新」である。

1月1日 初めての場所で初詣
1月2日 読んだことのないジャンルの本を購入(GAFA next stage)
1月3日 インスタ初めての投稿(かなり前にアカウント登録だけしてた)
1月4日 TickTock アプリダウンロード(登録はしてない)
1月5日 初めての暗号資産 ビットコインちょっとだけ購入
1月6日 いつもとは違う道を通って帰宅
1月7日 降りたことのない駅のカフェで作業
1月8日 スマホカメラで一人喋りをする自分を撮影してみる

それらが必ずしも、文章の執筆に結びつくとは限らないんだけどね。少なくとも毎日の景色が変わるだろうし、書く糸口にはなるはずだ。

書けなくなったあなたの参考になればうれしい。



#エッセイ #文章 #ライティング #発信 #一日一新

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