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風が吹けば桶屋に行って、棚の瓢箪に入れといたボタモチ食べる。モチのアンコに混じって駒が。涙が・・・。

 ガガ、ガッ、ガガガガチョーン! ! !!!

 新しい谷啓が、屏風に描かれた絵から飛び出して、また絶叫します。「牛に引かれて善光寺! Goslings lead the geese to water ! (ガチョウの子は親ガチョウを水辺に導く!)」。

 僕たちは新しい谷啓に、新しい時代のおもしろさを教わるのですね。

 昨日は岡本太郎記念館に行き、今日は東京都現代美術館に行きました。道中出会った台湾の方のお宅にお邪魔して、ご飯をごちそうになりました。すばらしい休日です。

 肝心の東京都現代美術館の企画展についてですが、ライゾマティクスの個展が開催されていました。僕は「デバイス付き入場券」という券を買ったので、受付でヘッドセットと、それと有線でつながっているスマートフォンを受け取りました。ヘッドセットはもちろん頭につけ、スマートフォンはストラップが付いていたので首から下げました。

 入口からすぐの一つ目の部屋では、プロジェクターから投影された映像が左右の壁に映し出されています。ライゾマティクスというチームは「R&Dプロジェクトや作品制作、外部のアーティストや研究者とのコラボレーションプロジェクトなどを通じて、より一層カッティングエッジな表現作品、研究を世の中に発表」(公式HPの「about」より引用)する集団です。つまり、とてもカッティングエッジなひとたち。

 ハンドアウトの案内には、このヘッドセットとスマートフォンについて「展示空間内の位置情報を取得する実験デバイスを用いて観客の行動、導線を分析する試み」のためのものだと書かれてあります。なんだかすごくカッティングエッジなので、僕はついつい「デバイス付き入場券にしよう!」と思ったのです。

 しかし入場してまもなく、はめられた! と思いました。

 会場に入ってみるとすぐに分かりました。のんきにヘッドセットを付けて、首からぶらぶらスマートフォンを下げているやつなんて一人もいなかったのです。

 カッティングエッジな会場に集うカッティングエッジな人たちの中に紛れて、オールドファッションな僕が、ばかあぶり出し機としてのヘッドセットをしっかりと装着していました。そういえば、受付で「スマートフォンは画面を前にして首から下げてください」と言われたのですが、これも暗闇の中でバックライトが光る画面を前面にして歩くことで「ここに、ばかがいるよ!」ということを周りに示すように強制されていたのでした。

 会場に入ってみて、ようやくそのことに気が付いたので、僕はヘッドセットとスマートフォンを装着している状態を生かすために「展示関係者が現地を視察しにきた」みたいな顔で、立ち止まって天井を見上げたり、プロジェクターを凝視したりしました。これでやっと心の平穏が取り戻せました。

 空中を見つめながら次の部屋に行こうとしたとき、僕の目の前の男女二人組の姿に視線が惹きつけられました。あら、その二人の頭にもヘッドセットが付いているのです。動揺した僕は、まわりをきょろきょろと見渡しました。すると不思議なことに、ヘッドセットをつけて、首からスマートフォンをぶら下げている人が何人も目に入ってきました。やられた。僕たちみんなはめられた!

 ということで、ヘッドセットは「ばかあぶり出し機」ではなく、スマートフォンの光も「ここに、ばかがいるよ!」という宣言の光ではなかったのです。良かった。

 ライゾマティクス展の細かい話と、同時開催されていたオランダの作家、マーク・マンダースについての国内美術館初となる個展「マーク・マンダースの不在(The Absence of Mark Manders)」の話は、次回します。ちなみに、ライゾマティクスの個展については、オンライン会場というものがあるので、気になった人はアクセスしてください。(PC用に最適化されたサイトらしいので、PCでご覧ください。)

 備忘録として、マーク・マンダースの気になる作品名を書いておきます。

・狐/鼠/ベルト (Fox/Mouse/Belt) 1992-1993

・像の習作 (Figure Study) 1997-2005

・完了した文 (Finished Sentence) 2003-2020

・3羽の死んだ鳥と墜落する辞書のある小さな部屋 (Small Room with Three Dead Birds and Falling Dictionary) 2020

 気になった人は調べてみて、なにかコメントしてください!

それでは!

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