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小さなつながりをつむいでいくために

こんにちは。たがやす理事の内田樹志です。

毎月投稿しているたがやすメンバーによるnote記事。3回目の今回は内田が担当します。私の話をまじえつつ、今回もたがやすの活動を少し紹介していこうと思いますのでよろしくお願いします!

ロケットから始まった錦江町とのつながり

2019年1月18日9時50分20秒。突風のような爆音と共に宙に駆けあがる一条の白雲。
当初の予定が1日遅れた事で現地で見ることができたイプシロン4号の打ち上げ……の帰りに寄った神川大滝が、私と錦江町の出会いでした。当時は「錦江町」という名前もほとんど意識することなく、ロケットの打ち上げのついでに寄った場所、という感覚でした。

しかし、縁とは本当に不思議なもので、翌年オンラインで開催された移住フェアで錦江町と改めて出会い、その年の10月には調査を兼ねて町のワーケーションを利用して訪問。私個人の事業を支援してくれる会社や、後のたがやすメンバーとの出会いをへて、翌年の2021年には錦江町への移住を決めていました。

移住するなら寒い地域!と決めていたはずなのに真逆の鹿児島に来ることになるとは、本当に縁とは不思議なものです。住んでみると大阪よりも寒かったので、ある意味思い通りになったのもまた面白い出来事でした。


2019.1.18のイプシロン4号の打ち上げの瞬間


縁をたぐって錦江町へ

そんなこんなで2022年1月から錦江町へ移住した私ですが、結局何をしにきたのか?
錦江町を選んだ理由は、この場所がハゼノキという樹木の発祥の地域だったからです。当初の候補は佐賀県唐津市か鹿児島県南大隅町でした。どちらにもハゼノキが中国あるいは、琉球から伝わったとする伝承が残っており、新しくハゼノキの事業を始めるにあたり、「始まりの地」からスタートしたい!という想いが強くあったからです。

紅葉して実をつけるハゼノキ。和蠟燭や化粧品、弓の染色など幅広い製品の素材となります


その結果、南大隅町ではなくお隣の錦江町に移住しました。。。理由は「人」でした。

1人目は樹木を育てる仕事をするのに、山や樹木に関してはまったくのド素人であった私を、ハード、ソフト両面での支援を申し出てくれたのが、錦江町の林業会社である岩崎木材工芸でした。かつての地域の山林資源を新しい形で世に戻したいという話に共感いただき、ご支援頂くことになりました。

そしてもう1組が現在のNPO法人たがやすのメンバーでした。

忘れもしない2021年2月。錦江町で定期的に開催されていたイベントに、オンラインで参加していたのですが、そこにもう1人オンラインで参加していたのが、たがやすの発起人となる天野雄一郎さんでした。モニターの中で現地参加の方が真剣な話を繰り広げる中、チャット2人で雑談の中で交わしたメッセージ、

天野「こんどNPOつくる予定なので、参加しません?」
内田「OK」

というなんとも軽いやり取りでたがやすへの参加が決まりました。この「面白そうだからまあいっか」ぐらいの感覚が、元来あれやこれやと理由付けが必要な人間にはとても心地よく、ここならなんだか楽しそうだなと思えたのでした。

縁もゆかりも無い土地へ「やりたいこと」だけで移住を決めるのはなかなかハードル高い事ですが、運が良いことに直接事業を支援してくださる方々だけでなく、地元で一緒に新しい事をしていく仲間、あるいは単純に地元の友達とも言える人たちができた事は移住を決める大きな要因となりました。

良い意味での軽さが心地よさを生んでくれる。そんなメンバーたちが集まった組織です。

初めて錦江町を訪問した2020年10月の歓迎会の写真


人と人がつながる場所づくりとして

そんな私達が運営する図書館「みんなの図書館 本と一筆」は、本を貸し出すための図書館としてはもちろん、交流の場としての場所づくりも大切にしています。その1つの取り組みとして一棚本棚オーナー制度を導入しています。NPOの賛助会員さんに図書館の本棚を1つ貸出し、そこに自分のおすすめや読んでもらいたい本をおいていただきます。私達はその本を貸し本として使わせていただきます。

ひと棚オーナーと図書館を訪れる方との本を通じた交流ができるしくみです。

ひと棚オーナーの本棚

たがやすの図書館として人と人の縁をつないでいく場所づくりも私達の大切なとりくみの一つです。「本と一筆」という図書館の名前の由来も、NPO設立前に当会の代表である山田みなみさんが主催していた読書会の名前をそのまま引き継いでいます。本を通じた交流という根っこをそのままに、図書館という幹に様々な交流の枝葉を広げていっています。

最後にそんな交流の取り組みを一つ。

千葉県いすみ市にある福祉施設であるピア宮敷さんの利用者さんが描いた絵をお借りして、図書館や廃校を利用した展示会と併せて開催したアートダイアログ。展示された絵画をみて自分なりの感想をお互いに話し合い、最後に参加者全員で1枚の絵を描いていく(完成したのが表題の絵)。

個々の感性を大切にしつつ、参加者の感性に触れることで共感や違いを知る。同じ絵、同じ色、同じ線でも見る人によって様々な意味や形をなしていく。それを互いに認め合い、面白がれる空間や場所をつくっていく。そんな小さな取り組みを積み重ねられるのも、たがやすらしさでもあり、面白さでもあると思っています。


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