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ゆっくりとやれば大丈夫


1. 時間を無駄にしない生き方を続けていくべきか

私も人生の後半を意識する年齢になってきました。

若い頃は無限にあるようにさえ感じられた時間が、

だんだん有限であることを意識せざるを得なくなってきました。

はたして残された時間で自分に何ができるのだろうと考えてしまったりもしますが、

私はここからだんだん生き方をゆっくりにしてみるのもいいかもしれないと思い始めています。

若い時は基本的にエネルギーに満ちあふれていることが多いということもあって、

色々なことに興味を持つ人もそれなりにたくさんいらっしゃることでしょう。

そうした時に、いかに無駄なく効率的に生きるかということを目指す価値観が育まれやすいように思います。

その背景として、「昔に比べてできることが増えてきた」ということも大きいと思います。

よく言われることですが、ひと昔前はスマホはおろか、携帯電話さえなくてもみんな不幸や不便を感じることなく生きてきていたように思います。

でもITの発達で色々なことができるようになり、仕事の幅も広がって、副業も促進されるなどの社会環境の変化も手伝って、

いかに少ない時間で効率的にお金を稼ぐかであったり、どれだけたくさんのものに手を出して人生を謳歌しているかであったりが、

あたかも勝ち組であるかのような価値観が普及しているように感じられます。

若い頃はその価値観の中で切磋琢磨しながら生きるのもいいかもしれません。その中で自分の得意分野や苦手分野も何となくわかってきて、いわゆる専門であったり仕事や趣味にしたりするものが決まっていくところもあるでしょう。

ただずっとその価値観で生きていると人生の残り時間が少なくなっていくにつれて、残り時間に対してできることの少なさに対して苦しむことになりはしないでしょうか。

それともそれまでに人生のあらゆる経験を成し遂げた人はもう満足だと言って悔いなく最期は旅立つことができるでしょうか。

それまで効率的に生き続けてきた人が、急に何もやらないことをよしとする価値観に転換することは結構難しいのではないかと思っています。


2. 時間が少ないからこそゆっくりと

私は、人生の残り時間を意識するからこそゆっくり生きてみるのもいいかもしれないと思っています。

ひょんなことから私は45歳を前に、「絵を描く」ことに興味を持ち始めました。

若い頃の自分の価値観で言えば、「今から絵を描き始めたところで若い頃から絵を描き続けてきた人の上手さや深さに叶うはずもないですし、

ましてや若い頃に比べて記憶力も集中力も衰えているような状態で、成長速度も遅いだろうし、成長の幅もたかが知れているという中で、

一人で趣味としてやるならまだしも、誰かに観てもらうことを前提で絵を描くだなんて、誰にも興味を持たれずにどこかに埋もれるだけ、時間の無駄だ」という判断になってしまうかもしれません。

ただちょっと価値観を変えてみて、今までのように急いで効率的に技術を習得しようとするのではなく、

ゆっくりと味わうようにプロセスを楽しんでみるという価値観で取り組んでみるのはどうかと思うのです。

確かに若い頃に比べて基本的な能力が衰えているであろうことは、認めざるを得ない事実です。

ただそんな自分でもゆっくりと絵を描くことを、本当にゆっくりと学べば、マイペースながら何かを身につけていくことはできるかもしれません。

あるいはそんなふうにゆっくりと「絵を描く」というプロセスを楽しむことで、急いで技術を習得しようとしていた時には決して見えなかったことが見えてくるかもしれません。

そして人生の後半だからこそ、自分の身体との向き合い方も見えてきた部分もあるように思うのです。

どこまでのことをしたら、どんな症状が出てくるから、そういう時にはどんなふうに心身を休ませたらいいかという、

言わば自分の身体と向き合うためのコツのようなものです。

逆に言えばそういうことが体感できていないと、人生の後半のプロセスに対して悲しんだり、嘆いたりすることにつながってしまうかもしれないとさえ思います。

人生の前半が色々なことに挑戦してやれるだけのことを精一杯やる時期であるとするならば、

人生の後半は自分が本当にやりたいことを厳選していき、その中で穏やかになれるように自分の心身とゆっくり向き合っていく時期にするといいのではないかと私は思い始めています。


3. ゆっくりとやれば価値観だって変えられる

偉そうなことを言いながら、私もまだ本当に「絵を描く」ことに没頭できるのかどうかわかりませんし、

そんなことを言いながら、時間がもったいないとか言いながら動画を倍速で見てしまったり、

ちょっと時間が空いたらスマホを眺めてしまっている自分も確かにいます。

人間、それまで親しんだ考え方を変えていくのは相当難しいと思うのです。

ひょっとしたら無理なんじゃないかとさえ思えるくらいに難しいと私は感じています。

無理だと思うと後回しになって、まるで夏休みの最後にたまりにたまった宿題を何とかして終わらせようと奮闘する、あの頃の感じになってしまうわけです。

人生の最後にそうだときっと苦しいのではないかという気がするのです。

だから逆に人生後半分の時間を変えて、ゆっくりと価値観を変えていくくらいの気持ちで、

それこそゆっくりと時間をかけて取り組めば、

そんな難しいことだって乗り越えられるのではないかと思うのです。

そしていつか必ずくる最期の時に「あぁ〜良い人生だったなぁ」と思えれば最高です。

そんなわけで私はこれからゆっくりと新しいチャレンジに取り組んでいこうと思います。

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オンライン診療医たがしゅう
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