自分の気持ちを押し殺して生きるとどうなるか
1. 自分の気持ちを押し殺していませんか?
日本人は協調性の高い民族だ、というような話を聞くことがあります。
絆、団結、思いやりなど、日本人の特徴を象徴する言葉には良いイメージのものが多いように思えますが、
何事にも良い側面があれば、悪い側面もあるもので、
裏を返せば他人の顔色をうかがいながら生きているという人が多いということでもあるように思います。
言い換えれば「自分の人生を生きていない」ということです。
例えば、周りが結婚をしているから、自分が結婚していないことが気になったり、周りからも結婚するよう勧められたり、
行きたくない飲み会や宴会に誘われて「和を乱さないように」という理由で参加してみたり、
この度のウイルス騒動でも、つけたくもないマスクを仕方がないからつけている、という方も多いのではないでしょうか。私もそういう人間の一人ですが(^_^;)
そのように「自分の気持ちを押し殺して周りに従う」という選択をしていると、あとあと大変困ったことがおこります。
それは「不健康になる」ということ、ひいては「幸せな人生を生きられない」ということです。
2. そもそも自分の気持ちに気づくことができていますか?
「自分の気持ちを押し殺す」という行動にはもう一つのパターンがあります。
それは「そもそも自分の気持ちに気付いておらず、判断を他人に任せる」というものです。
「今日何が食べたい?」と聞かれて「なんでもいいよ」と答えるパターンがそれに該当します。
これは自分の気持ちがわかっていないが故にとる行動なので、協調性は高いかもしれませんが、
自分の気持ちを押し殺すというよりも、「自分の気持ちを埋没させている」という方が近いのではないかと思います。
本当に自分の気持ちがわかっているのであれば、「◯◯が食べたい」「今食べたいものはない」のどちらかになると思うし、
そうでなければ「わからない」と答えるのが適切なのではないかと思います。
にも関わらず、「なんでもいいよ」「どこでもいいよ」「◯◯さんに任せます」という言葉、よく聞くのではないでしょうか。
確かに協調性は高いと思います。しかし気付いているいないに関わらず、自分の気持ちを放置してしまっていると、
大なり小なり必ずストレスがかかります。そしてその価値観が習慣となってしまうと、
自分の気持ちにふたをする度にストレスは繰り返されることになります。
その結果、身体には次第に病的な反応が起こってくるという構造になるのです。
ただ誤解してほしくないのは、だからといって自分の気持ちのままに周りがどうなろうと知ったことかと生きればよい、ということではないのです。
それはそれで周囲とのあつれきを生み、自分の思い通りにならないという意味でストレスを感じ続けることになっています。
まさにお互いが両極端な選択肢です。
3. 個人としての「自分」と集団としての「自分」
それでは、どう生きていくのがストレスが少なくて済むのでしょうか。
まず第一に必要なことは「自分の気持ちに気づくこと」です。
これには自分が何をどう考えて、どのような感情を持つ人間なのかということを内省するプロセスが必要不可欠です。
その上で、気づいた自分の気持ちに、そのまま従うべきなのか、気づいた上でひとまずその気持ちは置いておくのか、というプロセスも大変重要になってきます。
そしてそれを考える時のポイントは、「自分という存在を集合体として捉える」ということです。
例えば、マスクをつけたくないという気持ちは私個人としては偽りのない真実なのですが、
私が所属するコミュニティ全体を「自分」と捉えた時に、ここでの「自分」はマスクをつけないことを望んでいません。
なぜならば私個人がマスクをつけないことによって、コミュニティ全体の秩序が乱れてしまうからです。
それは「自分の気持ちを押し殺す」ことではないのかと思われるかもしれませんが、違います。
集団としての「自分」の気持ちに正直に生きている、ということなのです。
ひとつ注意すべきことがあります。それは「自分の気持ちは常に同じではない」ということです。
それは個人としての「自分」と、集団としての「自分」という意味でも当然違うわけですが、
同じ個人としての「自分」の中でも、心は常にうつろってしかるべきものです。
ずっと同じだという前提で動いていると、
皮肉なことに自分の心のままに動いていたつもりが、実は最も自分を押し殺すことへとつながってしまいかねません。
だから、常にどこを「自分」として捉えて、今どのように「自分」は感じているのか、ということを、
変わりゆく「自分の心」に置いていかれないように、常に内省を繰り返していくことが、
面倒くさいようですが、実は最もストレスを最適にする方法で、
ひいては幸せに生きていくための方法になると、私は考える次第です。
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