【ちょびっとネタバレ読書感想】原田マハ『たゆたえども沈まず』
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フィンセント・ファン・ゴッホの、もう一つの「あったかもしれない物語」
『リボルバー』に引き続き、読みました。調べたらこの作品の方が先の発表だった!うっかり!
『リボルバー』の方は現代の視点からゴッホの事件に迫って行きます。
一方『たゆたえども沈まず』の方は、まさにゴッホが生きていた時間を、彼の周りにいた人物たちと共に体験していきます。
ということはつまり、ゴッホの繊細すぎるメンタルやこだわり、きったない服装など、ちょっとプライベートなところにもカメラが入っていくわけですよ。まさに小説版プロフェッショナル仕事の流儀。
当時の美術界は(今もそうかもしれないけど)今流行っているものこそ至高、という考え方で新しい画風が入る隙間が少なく、ゴッホたち新しい画家と画商は苦労したそうです。「印象派」というジャンルも元は悪口だったとか…
日本でも菱田春草らの「朦朧体」とかあるし、社会に浸透するまでに時間がかかるのは世界共通なのかもしれないですね。
ゴッホ兄弟というのは、画家の兄フィンセントと画商の弟テオのコンビ。世間が自分達に追いついてくるのを待ちながら、なんとか絵を売ろうと奮闘します。
このテオが本当に苦労人すぎて涙が出ちゃう。
この作品ではテオが主役ポジションで語られていくので、彼に感情移入していくようになっているのです。
・大手ギャラリーに入ったものの、推しの絵は売らせてもらえない。
・外見の良さとトークスキルで売り上げは高いが、本当に絵を理解している客は来ない。
・スーパー面倒くさい兄(だが尊敬はしている)に金銭的にも精神的にも援助をする。
…三重苦!!
存命中に評価を得られず不安定な生活をしていたことや、ピストル自殺をしたことなど、お兄さんの波瀾万丈人生は有名ですが、弟テオの地味に真綿で首を絞められる系苦労は、より親近感があるのでは。
それでもテオにとって、幼い頃から追いかけてきた兄の背中は、我々には分からない輝きがあったんでしょうね。
『リボルバー』とは異なったフィンセントのピストル事件の真相。こっちも泣けました。こっちのパターンの方がきついかもしれない。いや、両方つらいな。
既読の方、どっち派か教えてください。わたしは両方好きです。フィクションだけど両方とも本当に起きそう。
そんなゴッホですが…
2026年に東京上野に来るらしいぞ!!!
やったね!
しかも『夜のカフェテラス』が来るらしい!!
何年も前に、吉永小百合さんがCMで共演してたやつ…
そう、それです。
東京以外にも神戸と福島を回るらしいです。
楽しみですね!