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ソーシャルセクターも必見!2025年度の国の中小企業向け補助金とファンドレイジング

この記事は、2024年12月20日に開幕した「ファンドレイジング・日本2025」(FRJ2025)
https://jfra.jp/frj/index.html
における多賀のオンデマンドセッション「国の中小企業向け補助金をファンドレイジングに活用しよう!」の補足として執筆するものです。
FRJ2025の申し込みは、まだ可能(2025年1月2日時点:対面イベントは2025年1月8日締切、オンデマンド限定チケットは2025年2月14日締切)ですので、オンデマンドセッションでも対面イベント(2025年1月18日)でも、お会いできることを楽しみにしています。
※最終更新:2025年1月2日(動きあれば更新いたします)

国の中小企業向け補助金は、秋から冬の臨時国会で成立する補正予算が、例年メインとなります。
令和6年度補正予算の成立を受け、中小企業庁から以下の情報が出てきました(個別補助金のチラシなども出ています)。
・「令和6年度補正予算案 中小企業・小規模事業者等関連ポイント」
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r7/r6_hosei_point.pdf

・「令和6年度中小企業・小規模事業者向け補正予算(案)」
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r7/r6_hosei.pdf

・「令和6年度補正予算PR資料(中小企業庁関係抜粋)」
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r7/r6_hosei_pr.pdf

これらから、2025年の国の中小企業向け補助金がどのような内容になりそうか、またソーシャルセクターにはどのような影響があるか、今後に向けて注意すべき点をまとめます。
(個別の補助金については、今後別記事でも書きたいと思います)
※ 意見は多賀の私見です。各種資料を見てご検討ください。

生産性革命推進事業

中小企業の身近なニーズに対応し、生産性向上を図る補助金をまとめて、国では「生産性革命推進事業」と呼んでいます。

1)ものづくり補助金
新事業への進出や生産性向上を図るための、機械装置の購入やシステム開発等を支援する補助金です。
2024年度は18次公募(3月27日締切)で一度ストップしていただけに、今回復活して、支援者としても安心しています。
2025年度のポイントは以下です。
①今回も、賃上げについていろいろルールがありますので、申請時も採択された後も、注意が必要です。
(申請時に約束した賃上げが達成されていない場合、補助金の返還を求められる可能性があります)
②最低賃金の引き上げに取り組む事業者(3か月以上地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員数の30%以上)は、補助率がアップします。
賃金が最低賃金付近に張り付いている事業者も多いだけに、これはメリットありです。
③従来補助事業者に求められていた「収益納付」を今回求めないことになりました。
収益納付とは、補助金で買った設備やシステムを使って利益が大きく上がった場合、補助金を返還する仕組みです。
 国が「補助金を使っていっぱい儲けて、GDPと税収に貢献してね」という一方で、「儲かったら補助金返してね」というのは、いくらなんでもひどいと感じていたので、これは意義の高い制度改善だと思います。
(概要)https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r7/r6_mono.pdf

2)小規模事業者持続化補助金
小規模事業者が販路開拓に必要な経費(広告宣伝・器具の購入・店舗改装など)を幅広くカバーする補助金です。
今回、枠が少し整理されて分かりやすくなりました。2025年度のポイントは以下です。
①通常枠で、事業場内最低賃金を+50円以上とした事業者は上限が150万円アップ(50万円→200万円)します。
 これは使い勝手の大幅な向上になると思います。
②「創業型」「災害支援枠」「インボイス特例」は維持され、一安心です。
 特に「創業型」は一種の創業補助金としても活用できますので、ぜひとも支援したいところです。
③HPやECサイトなどに使える「ウェブサイト関連費」は、これまで補助額の4分の1までという制限がありましたが、これがどうなるか気になります。
(概要)https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r7/r6_jizoku_summary.pdf

3)IT導入補助金
中小企業の業務効率化に役立つITツール(ソフトウェア・クラウドサービス)の導入費用・関連経費をカバーする補助金です。
2025年度のポイントは以下です。
①導入支援費に加え、IT活用の定着を促す「活用支援」も対象になります。
(この経費を使ってIT活用をサポートできると、ちょっと嬉しい)
②ものづくり補助金同様、最低賃金の引き上げに取り組む事業者への補助金アップが盛り込まれました。
(概要)https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r7/r6_it.pdf

4)事業承継・M&A補助金
事業承継やM&Aに伴う、設備投資・専門家費用・廃業費用等をカバーする補助金です。
2025年度(名称が変わりました)のポイントとしては、対象となる取組に変化があるのでは?ということです。
2024年度の「経営革新型」では、①経営革新(新事業活動)が求められ、②設備投資に加えて販路開拓も対象となっていましたが、
これらが現時点の情報で見当たらず、どうなるのか気になります。
(概要)https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r7/r6_m_and_a.pdf

5)中小企業成長加速化補助金
2025年度に新規に創設される補助金です。
チラシが出てきました。これによれば、制度概要は以下となります。
要件 :
①投資額1億円以上(専門家経費・外注費を除く補助対象経費分)
②「売上高100億円を目指す宣言」を行っていること
③その他、賃上げ要件 など
補助上限額:5億円 補助率:1/2
補助対象経費:建物費・機械装置費・ソフトウェア費・外注費・専門家経費
そうであれば、結局のところ、設備投資に向けた補助金としては、投資額を基準として
数百~数千万円規模=ものづくり補助金または新事業進出補助金(一部持続化補助金)
1億円から10億円規模=中小企業成長加速化補助金
10億円超(工場建設など)=大規模成長投資補助金
といった形で使い分けできそうです。
(概要)https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r7/seicho_kasokuka.pdf

新事業進出補助金(仮称)

2025年度に新規に創設される、もう一つの補助金です。
「既存事業と異なる事業への前向きな挑戦であって、新市場・高付加価値事業への進出を後押しする」補助金とされており、事業再構築補助金の後継となることが期待されます。
ポイントは以下です。
①「企業の成長・拡大に向けた新規事業への挑戦」が要件となっていますが、これは「事業者にとって新製品(⼜は新サービス)を新規顧客に提供する新たな挑戦であること」とされており、事業再構築補助金「成長枠」のように業種・業態が指定されるものではないと考えられます。
②補助上限額は企業の規模により2,500万円~7,000万円(賃上げによる上限引上げを考慮すれば最大9,000万円)ですが、補助率は2分の1にとどまります。
しかし大型の設備投資に活用できる補助金であることに間違いはありません。
③対象経費では、建物費や機械装置・システム構築費などのほか、「構築物費」が認められていることが意外に大きいです。
構築物とは門やフェンス・庭園などのことです。事業再構築補助金では、これら構築物は改築した建物を利用するうえで欠かせない設備なのに、対象外となっていましたので、使い勝手がよくなると思います。
(概要)https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r7/shinjigyo_shinsyutsu_summary.pdf

その他補助金

1)中堅・中小成長投資補助金
工場等の拠点の新設等の大規模投資を実施するものですが、投資下限額が10億円(上限50億円)、補助率が3分の1以下とされています。

2)省力化投資補助金
省力化に役立つ機械装置(自動券売機・スチームコンベクションオーブン・5軸マシニングセンタなど)のうち、カタログに載った製品を簡単な手続で申請できるものです。
このタイプの補助金(カタログ注文型)は2025年度も引き続き利用できますので、現場の改善に役立つ設備の導入に、ぜひとも活用していただきたいです。
加えて、2025年度は「一般型」が創設されます。これは「中小企業等の個別の現場の設備や事業内容等に合わせた設備導入・システム構築等の多様な省力化投資を促進する」とされており、補助上限額も750万円から最大8,000万円と大型で、設備投資に活用できそうです。
(概要)https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r7/shoryokuka.pdf

3)中小企業庁以外の補助金
観光庁「地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化」
https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001845636.pdf
総務省「ローカル10000プロジェクト」(応募は2025年1月24日まで)
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/local10000_project.html
といった、地域づくりに役立つ補助金にも、令和6年度補正予算は手当てされています。

ソーシャルセクターへの影響

実はこれら中小企業向け補助金は、かなりの範囲でNPO法人など、非営利組織にも門戸が開かれています。
具体的には、2024年度は、いわゆる事業型NPO法人であれば、一定の要件を満たせば(補助金ごとに異なる)申請可能でした。
また、事業再構築補助金やIT導入補助金は、一般(公益)財団・社団法人など、幅広い法人が申請可能でした。

2025年度も、引き続き国の補助金は事業型NPO法人をはじめ、非営利法人も申請できることが期待できます。
特に新事業進出補助金(仮称)は事業再構築補助金の後継として、各種非営利法人が幅広く申請できることを希望します。

ソーシャルセクターの事業者は、事業を通じて社会課題解決(または新たな価値創出)を目指すものなので、事業の成長・発展が社会課題解決等に直結します。
ぜひとも国の補助金を、事業の成長・発展に役立てていただけると嬉しいです。

今からできること

1)情報のチェックを怠らない
国の補助金は今後、次々と情報が更新されます。
・中小企業庁「予算」ページ https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/
・各補助金のページ(今後開設されます)
等を見て、最新情報をチェックすることをお勧めします。

2)補助金でどのような事業を目指すか決めておく
国の補助金は給付金ではないので、設備投資や販路開拓などの支出に対し、後払いで支払われるものです。
よって、「補助金があるから何かやる」ではなく、「やりたいことがあるから補助金を使う」というのがあるべき姿です。
どのような新規事業に補助金を活用するか、今からじっくり検討しておきましょう。

3)早めに準備を進める
補助金の申請には締切があり、何かと時間が足りないことを実感しています。
そのため、以下の準備を事前に進めておくとスムーズです。
① 補助金で購入する機械設備やシステム等についての、注文予定の業者への相談
② 補助金の申請や、審査を有利にするために必要な手続の準備
(例えばものづくり補助金・新事業進出補助金(仮称)の申請には、次世代法による「一般事業主行動計画」の公表が必要です)
→厚生労働省のページ https://www.mhlw.go.jp/general/seido/koyou/jisedai/ をご参照ください。
③ 補助金は後払で一定割合は自己負担なので、つなぎ資金などを確保するための、金融機関への相談
④ 補助金申請などを支援するコンサルタントへの相談

「くさのーね」は引き続き、国の補助金を支援します

多賀は独立直後から国の補助金支援に取り組み、30件の採択実績を積み重ねてきました(ものづくり補助金9件、事業再構築補助金5件等)。
リーズナブルな料金で、相談から補助金着金まで、トータルに支援いたします。
「草の根金融研究所『くさのーね』」による補助金支援サービスは、以下のサービスメニューをご覧ください。
お気軽なご相談をお待ちしています。
https://tagashunji.net/subsidy

謝辞

今回の記事を書くにあたり、以下の方々からの情報を参考にしました。いつもありがとうございます。
マルホ様 https://x.com/isyokenmei
りこ@ドバイ在住行政書士様 https://x.com/r_11220123lilac

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