メモ:重心の運動方程式
垂直方向に軸を取った場合
$${{a}}$$を鉛直方向下向きの重心の重力加速度とする。
その場合
$${{(m+M)a}}$$がこの系全体にかかる力となる。
ではこの系全体にかかる力を細かく分けると
$${{Mg}}$$
$${{mg}}$$
$${{T}}$$
の3つである。
ちなみに$${{T}}$$は斜面から物体Aに及ぼす垂直抗力である。
ここで、物体AとBの間に働く垂直抗力は相殺されるので無視できる。
が、ここで勘違いしていた。
物体AとBの間に働く垂直抗力は相殺されるが、その二時的な作用として垂直抗力には変化が加えられるということである。
では、垂直抗力$${{T}}$$について考察する。
まず、物体B(質量m)には重力$${{mg}}$$がかかる。
垂直方向に静止していればAB間の垂直抗力は$${{mg}}$$だが、実際には加速度$${{a}}$$で下向きに運動しているので、その分、垂直抗力は減ることになる。
結果として、AB間の垂直抗力は
$${{m(g-a)}}$$
になる。
仮に$${{a=g}}$$、つまり自由落下だとしたら0になることからもこの式はあっているだろう。
さて、ということは物体Aにかかる垂直方向の力は重力$${{Mg}}$$にこのB
から押される垂直抗力が加わって
$${{Mg+m(g-a)}}$$
となる。
この力で斜面を押すわけだから、斜面への垂直抗力は
$${{T=(Mg+m(g-a))cosθ}}$$
となる。
この力で斜め右上に押し上げられるわけだから、さらにその力の垂直方向成分は
$${{(Mg+m(g-a))cos^2θ}}$$
である。
これまでの内容を一つの式にすると
$${{(m+M)a = (m+M)g - (Mg+m(g-a))cos^2θ }}$$
$${{(m+M)a = (m+M)g -Mgcos^2θ-mgcos^2θ+macos^2θ }}$$
$${{(m-mcos^2θ+M)a =(m+M)g -Mgcos^2θ-mgcos^2θ }}$$
$${{(msin^2θ+M)a =(m+M)g -(M+m)gcos^2θ }}$$
$${{(msin^2θ+M)a =(M+m)gsin^2θ }}$$
よって
$${{a =\frac{(M+m)gsin^2θ}{msin^2θ+M} }}$$
となる。
反省点としては、
AB間の垂直抗力は無視できるが、それが副次的に及ぼす斜面との垂直抗力においては無視しちゃだめ、ということ。
「斜面や定滑車は力の方向を変える装置」だと認識しておくべき。
斜面方向に軸を取った場合
今度は斜面方向の重心の加速度を$${{a}}$$とする。
ということは最後にこれを$${{sinθ}}$$倍すれば鉛直方向の加速度になる。
左辺はさっきと同じで
$${{(m+M)a}}$$
である。
ではそれらにかかる力を細かく分けて考える。
ここで、鉛直方向を軸に取った場合、物体AもBも完全に一体化して動くので、重心の加速度はAやBの個別の加速度と等しかった。
しかし、斜面方向を軸に取った場合、AとBは一体化して動かないので注意が必要である。
まず物体Aから考えてみると、物体Aには
・重力
・斜面からの垂直抗力
・Bに押さえつけられる力
の3つが働くが、斜面からの垂直抗力は斜面軸方向の成分は0であるから無視できる。
重力の斜面方向の成分は
$${{Mgsinθ}}$$
である。
また、Bから押さえつけられる力はこういうふうに考える。
まずBの鉛直方向の加速度は、あくまで系全体の垂直方向の加速度と等しい。
ここでは前半と$${{a}}$$の定義が違うことに注意すると、系全体(重心)の鉛直下向きの加速度は
$${{asinθ}}$$
である。
つまり、BがAを押す力は
$${{m(g-asinθ)}}$$
となる。これがAB間に働く垂直抗力であり、この力の斜面方向の成分は
$${{m(g-asinθ)sinθ}}$$
となる。
つまり、Aに働く斜面方向の力を全て合算すると
$${{Mgsinθ+m(g-asinθ)sinθ}}$$
まとめ直すと
$${{(M+m)gsinθ-masin^2θ}}$$
となる。
次に、Bに働く力について考える。
その力は
・重力
・Aからの垂直抗力
である。
Aからの垂直抗力はさっき計算したのと一緒なので、その力の斜面方向の成分は
$${{-m(g-asinθ)sinθ}}$$
となる。
(Aが押される場合と符号が逆になることに注意)
それに加え、重力の斜面方向の成分は
$${{mgsinθ}}$$
なので、Bにかかる力を全て合算すると
$${{mgsinθ-m(g-asinθ)sinθ}}$$
まとめ直すと
$${{masin^2θ}}$$
以上から、Aにかかる力とBにかかる力の斜面方向成分を合算すると
$${{(M+m)gsinθ-masin^2θ+masin^2θ}}$$
つまり
$${{(M+m)gsinθ}}$$
よって
$${{(m+M)a=(M+m)gsinθ}}$$
これをaについてまとめると
$${{a=gsinθ}}$$
となってしまう。
あれ、おかしいな。