山頂

地を這うくじら

物心ついた頃から、わたしにはそれが見えた。

いや、おそらく、生まれたときから見えていたのであろうそれらが、物心ついた頃になにかの拍子で覚えた「くじら」なのだと認識したのだ。

どのように見えるのか、というと、あらゆるところに見えている。視界が邪魔されるほどではないが、それは海の中に在るのと同じように、地面の下、壁面の中、はては空の雲に重なって泳いでいるのだ。しかしながら水中ではないために、わたしにはそれらが這っているように見えるのである。



野やぎさん冒頭3行選手権に参加させていただきます



まだまだ未熟者ですが、夢に向かって邁進します