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妄想家族 『母の日の想いで』

それは息子が高校生の時だった

それまでの息子は手紙や似顔絵など、
お金のかからないプレゼントで母を喜ばせてくれた

高校生になったら小遣いで気の利いたものを買ってくれるようになった
そして2年生の『母の日』のころ・・・・

同じ部活の女子が、帰り道と違う方向に向かう息子に声を掛けた
「どこいくの?」
「駅」
「なにしに?」
「母の日のプレゼントを買いに…」
「ふ~ん。あたしも行く」
そして息子は、友人とその女子をまじえて買い物に出掛けた

その年の息子のプレゼントは
クマの形に織り込まれたタオルハンカチとルームフレグランスだった

『母の日』の当日、母のグループLINEが届いた
一緒に買い物に出掛けた女子のおかあさんからだった

『ありがとうございます。いい息子さんですね』・・・・と

母はなんのことだかさっぱりわからなかった
よくよく聞いてみると、

息子と一緒に買い物に行った女子は、それまで『母の日』にプレゼントを用意したことがなかったそうだ
息子がわざわざ、プレゼントを買いに行くのを見て「自分も」と、思ったらしい
17年間で初めて、学校の工作以外の『母の日』のプレゼントをもらったと喜びのメールだったのだ
『今年はいい日でした』と・・・・

よくやった、息子!
『母の日』に、よそのおかあさんから息子を褒められるなんて、それ以上のプレゼントはないと思う母だった




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ひらさわ たゆ
まだまだ未熟者ですが、夢に向かって邁進します