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看護師が集まらないと嘆くなら、絶対に導入した方がいい採用マーケティング

ちょっと前に訪問した病院では、離職率が平均よりも高く、本当に人手不足になってしまい、役職者でも処置に入ったり、受け持ちを持っているというお話を聞きました。私も離職率が30%を超える総合病院へ看護部長としていきなり赴任したわけなので、もうそれは人ごとではなく、現実の辛さを痛いほど感じました。なんとか力になれないかと思っているところです。
今回は、私たちPRナースが取り組んでいる採用マーケティングについて説明したいと思います。

看護業界の人手不足解消への新たなアプローチ採用マーケティングの活用

看護の人手不足について

このように近年、看護師の人手不足が深刻化しています。皆さんの職場でも「人が足りないよ」と思っているのではないでしょうか?
医療の進化に伴い、高齢社会や慢性疾患の増加により、看護師の需要はますます高まっていますが、その一方で、資格取得から実務までのハードルや、多重課題を並行で行う看護業務はストレス多いのも事実です。先日『医療従事者の8割が離職を考えている』という驚きのデータが出ました。2024年3月5日、自治労本部・衛生医療評議会の厚生労働省内「医療従事者の意識・影響調査結果」について行われた記者発表資料よるデータです。

全日本自治団体労働組合ニュースより

看護師の離職率も上昇しています。全国看護協会は2023年3月「離職率(2022 年度)が正規雇用看護職員 11.8%、新卒採用者 10.2%」と昨年調査とほぼ変わらなかったと発表しています。過去10年をみてもほとんど横ばいとなっており、さまざま取り組みはしているものの、離職率は改善していないのが現実です。

看護職員の離職率
1) 正規雇用看護職員・新卒看護職員・既卒看護職員の離職率の推移
●2022 年度の正規雇用看護職員の離職率は 11.8%、新卒採用者は 10.2%、既卒採用者は 16.6%と、いずれも昨年調査とほぼ同様の結果となった
●新卒採用者の離職率は、昨年度、離職率を同様の方法で把握してきた 2005 年以降(※)で初めて 10% を超え 10.3%となったが、今回調査でも同様の値となっていた。

2023年3月29日公益社団法人 日本看護協会 広報部プレスリリースより

ですから、何か新しいことに挑戦しないといけないと思っています。
この課題に対処するために、既存の人材紹介会社に頼っている採用から看護採用も新たなアプローチが求められています。

そこで提案するのは、採用マーケティングの手法を積極的に取り入れることです。

採用マーケティングとは


まずはおさらい。

マーケティングとは

マーケティングとは、企業活動において商品やサービスが自然と売れるような仕組みを構築するとされています。具体的には市場調査や商品開発をはじめ、営業、宣伝、販売や販促に至るまで、全てのプロセスがマーケテイングです。物を売るのではなく、いかに顧客のニーズを深く理解し、その悩み、ニーズを満たすことができる価値を創造し、「売り込みをしなくても自然に売れてしまう状態を作ること」こそがマーケティングの理想と言われています。

マーケティングの手法を活用する採用マーケティング

採用マーケティングは、簡単にいうと、企業が自社の魅力をアピールし、働く人のエンゲージメントを高め、定着して働くための戦略です。
まずは既存の働く人がどんなことを求めているのか、何に価値を置いているのか、働きがいや組織への愛着などを理解することから始まります。そしてそのスタッフのニーズを満たすことができる職場を創造し、その職場の魅力そのものを知ってもらい、売り込まなくても自然に働きたい仲間が集まってくるというのが採用マーケティングのあるべき姿です。看護業界でも同様の手法を用いることで、人手不足の解消になると思っています。


採用ブランディングとの違いは?

まず、看護業界が採用マーケティングを導入することで、求職者に対して自社の魅力を的確に伝えることが可能になります。例えば、働く環境の充実や福利厚生、キャリアパスの明確化など、看護師が働く魅力的な要素を積極的にアピールすることで、求職者の興味を引きつけることができます。
そして、差別化、他の職場との違いや明確なシンボル、職場の価値そのものが周りに評価されプランドになっていくことです。〇〇病院とはいえは〇〇だね。って言ったように認知や信頼も高まっていきます。
これらの活動を行うことがまさに「採用ブランディング」です。

採用マーケテイングファネル


さらに、SNSやウェブサイトを活用した情報発信や、インフルエンサーとのコラボレーション、コミュニティーなど、新たなマーケティングチャネルを活用することも重要です。
SNSは認知を広げる役割もありますが、私は手軽でリアルなオウンドメディアとして職場の様子や雰囲気、働いているスタッフにはどんな人がいるのかを深く知ってもらうツールだと思っています。

採用だけじゃない、定着率も一緒にアップできる

次に、看護業界が採用マーケティングを導入することで、既存の看護師の定着率向上にも繋がります。定着率が向上すれば、人手不足の解消だけでなく、組織内の効率や医療の質の向上にもつながります。

その理由として、看護師さんたちは、自分たちの頑張りや看護の素晴らしさを語る機会が少なく、向上心が強いがゆえに、自己肯定感が低い人が多いと私は感じています。
よく、仕事帰りに職場の愚痴や今日あったスタッフ同士の嫌な出来事などを肴に酒を飲むことがあっても、患者さんに行った看護を振り返り「ここが良かった」「嬉しかった」「いい看護したよね」などと堂々と話すことは少ないのではないでしょうか。

採用マーケティングを取り入れることで必然的に自分たちの職場の良さや看護ケアの良さ、アウトカムなどを表現する、発信することになります。そのため、今までは気づいていなかった、職場の魅力や、良さを改めて言語化したり、語り合ったり、自分の頑張りを表現することができます。

既存の魅力だけではなく、もちろんスタッフの声を集めることで、キャリアパスの構築や、クリニカルラダーなどの教育制度、ワークライフバランスの充実など、看護師が長期間にわたって働き続けたいと思える環境づくりに発展させることが可能です。

相乗効果で、やりがいのある職場、自己肯定感が高く、エンゲージメントの高い職場に発展していきます。
そしてその職場の現状をよく知って、好きになってくれている状態で「一緒に働きたい」という志望動機が固まった上で応募してくれ、採用になるので新規採用者の定着も期待できます。

人材紹介に頼らない採用を目指す!

さらに、看護業界が採用マーケティングを導入することで、人材紹介会社に頼らない採用に挑戦することが可能になります。人材紹介会社を介さずに直接求職者と接触する機会を増やすことができます。そのため採用プロセスの効率化やコスト削減が見込めます。また、自社のブランド力を高めることで、優秀な人材を引き寄せることも可能になります。

まとめ
看護業界の人手不足は深刻な課題ですが、採用マーケティングの手法を積極的に取り入れることで、この課題に対処する道が開けるかもしれません。看護業界は、今後ますます採用マーケティングの重要性を認識し、積極的な取り組みを行うことが求められます。すぐに取り組めばできるものもないので中長期的な計画が必要です。

次回は、採用マーケティングの必要性は理解したいけど、何をどう取り組むべきかをお伝えしたいと思います!




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