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2022年「このレースが良かった」10選(※ただしG1、Jpn1競争を除く)

中央地方問わず、2022年で良かったレースを取り上げます。
ただしG1(Jpn1)を除く
「G1で良かったレース」なんて記者や有名人の誰でも言えるんですよ。
そう、ドラマはG1競争だけではない。
こういうニッチな需要が必要なんだ(自己暗示)。
本当は2022年の内に出せれば良かったけど遊んでて無理でした。
年明けたら明けたで九州へ行ってフォロワーと遊んでて無理でした。
それではどうぞ。 

①黒船賞(優勝馬:イグナイター)

「ダートグレードは中央馬の着順当て」
そんな話ばかり聞かされる地方競馬界隈。
前年にミューチャリーカジノフォンテンがそのテの話を一蹴する活躍を魅せたが南関東所属では過去にもそんな馬はいた。
そんな中でも兵庫に移籍したイグナイターは早速テイエムサウスダンらがいる兵庫GTで3着となった。斤量差があっても勝ったかと思わせる好内容だった。
そんな期待の中で迎えた2022年、満を持して高知へ遠征。
好位追走から高知特有の深い内を通って追い出すと先頭へ。
追いすがるヘリオスサクセスエナジーを倒して実力を証明した。
普段は冷静な田中学騎手もこれには思わずガッツポーズ。
「兵庫のイグナイター」として兵庫競馬の看板を背負う一頭となった。

②かきつばた記念(優勝馬:イグナイター)

「『レース史上、最もタフな馬場』という異常な馬場で勝っただけ」
ダノングッドが来るような特殊なレースだった黒船賞の評価は微妙」
そんな声を一蹴した。
高知に続き名古屋も内が深い。
1番枠であるにも関わらず好発から向こう正面で外へ進路を取り、4コーナーでは先頭へ立ち、高知とは違って大外へ出すとピンシャンら後続に抜かせなかった。
ダートグレード連勝、高知に続き中央馬を相手に真っ向勝負で勝った内容は間違いなく大きいとこでも通用するという期待を抱かせた。
その後は盛岡へ転戦。勝利こそ無かったものの決して悲観する内容でなかった。いずれ大きいとこを取ってくれる事を期待している。

③姫山菊花賞(優勝馬:ラッキードリーム)

ラッキードリームは門別三冠馬。門別から南関東競馬を経て園田競馬場へ移籍。
「これは大物が来たぞ」と園田民の間ではもっぱらウワサとなり移籍初戦を無難に勝利して迎えた地元重賞競走。
相手は2年連続で園田金盃を勝利、兵庫の顔で絶対王者のジンギ
同門のタガノウィリアムがレースを引っ張ったとは言え、脚色が鈍ったジンギを鬼脚で差した。
ラッキードリームは後に園田金盃を1番人気で勝利し世代交代を、そして名実ともに園田の代表馬となった。
イグナイターに続き、兵庫所属馬としての活躍も期待したい。

④ダイオライト記念(優勝馬:ノーヴァレンダ)

ライトウォーリアエルデクラージュなどキャロットファーム所属の地方馬はよく走る。ノーヴァレンダもそのヨミから本命馬とした。
好スタートからハナを奪うと淀みないペースで逃げそのまま先頭で直線へ。
追いすがるダノンファラオ、追い込んでくるミューチャリーを振り切って勝利した。
2着エブリワンブラックの戸崎騎手と森騎手の南関東騎手時代の同期ワンツーとなった。
その後、マーキュリーカップにて心臓麻痺でこの世を去った。

⑤阪神大賞典(優勝馬:ディープボンド)

「人馬一体、深い絆」
そんな言葉が似合うキズナ産駒。
和田竜二騎手とのコンビで3歳時からクラシックを皆勤。
コントレイルの陰に埋もれたが2021年の阪神大賞典で頭角を現す。
その後は春天2着、フランスのフォア賞で勝利して凱旋門賞にも出走。有馬記念は完璧な騎乗からエフフォーリアの2着という活躍をした。
迎えた2022年。
ここは負けられない、譲れない。大外をぶん回して捻じ伏せた。
そんな気持ちが表れる様な気迫のレースを魅せ阪神大賞典を連覇した。
先にターフを去った三冠馬に代わって今後も長距離戦線の活躍に期待したい。

⑥鳴尾記念(優勝馬:ヴェルトライゼンデ)

ドイツ語で「世界旅行者」。
そんな馬名から連想される通りステイゴールドの孫でドリームジャーニーの仔。
コントレイル世代の一頭としてクラシックを皆勤した後はAJCCで2着としたが故障して長期離脱。
ファンは待った。
コントレイル世代に思い入れのある私もそうだった。
出走表に名前が出ると「本当に出るんだ」という気持ちで嬉しくなったのを思い出す。
レーン騎手の好騎乗もあって長く実戦から離れていたとは思えない鮮やかなレースぶりで屈腱炎明け、1年5ヶ月振りで見事に復活した。
未だ旅の途中。
黄金旅程の血が魅せる夢の旅路はまだ続く。

⑦アンタレスステークス(優勝馬:オメガパフューム)

「横綱相撲」
そんな一言が似合うレース。
東京大賞典を4連覇して例年通り右回りのレースを叩きに帝王賞へ向かうオメガパフューム
休み明け、斤量59kg、デムーロ騎手からの乗り替わり。
そんな不安要素を抱えながらレースは出遅れで最高方からスタート。
向こう正面からはいつものレース。オメガパフュームは少しづつ進出すると4コーナーで大外へ出してスパート。包まれるのを嫌うのでいつでも外からぶん回しだがこれがデムーロとも手が合っていた。カズオも同じ作戦だった。粘るグロリアムンディを差し切り見事に勝利した。
長らくダート界を牽引してきた功労馬だったが昨年惜しまれつつ引退。
特筆すべきはその長い馬生で対戦した好敵手”ライバル”たち。
ルヴァンスレーヴゴールドドリームサンライズノヴァノンコノユメインティケイティブレイブクリソベリルチュウワウイザードテーオーケインズミューチャリーカジノフォンテンメイショウハリオら。これでもまだ上げきれないほど層々たるメンバーと対戦した。
ダート戦線を盛り上げてくれた芦毛の怪物に、感謝を。

⑧毎日王冠(優勝馬:サリオス)

コントレイルに阻まれるもクラシックの主役として世代を代表する一頭。
その後はマイルからスプリント路線まで幅広い距離のレースに出走した。
迎えた毎日王冠では直前に降った雨とレッドベルオーブの逃げで1000m57.9秒。
直線半ばでレイパパレポタジェら6~7頭がひしめく大激戦となった。
そんな中で前を塞がれ追い出しが遅れる。
前が開くと力強く追い出して先に抜け出したジャスティンカフェダノンザキッドを撫で切りして勝利した。
馬群を割った松山は会心の騎乗に思わずガッツポーズ。
サリオス自身は2年振りの勝利に府中のファンは沸いた。

⑨中山記念(優勝馬:パンサラッサ)

日本競馬の華と言えば数多く取り上げることができるがひとつは間違いなく「逃走劇」だろう。
そんな逃げ馬の活躍が目立った2022年。
タイトルホルダージャックドールアフリカンゴールドテイエムスパーダなど。
中山記念では1000m57.6で逃げるパンサラッサが後続を寄せ付けず勝利した。
スタートしてハナを奪うと向こう正面では15馬身ほどリードをする大逃げ。
自身のペースを落とさず後続に脚を使わせる所謂「破滅逃げ」となった。
鈴を付けに行くはずだった番手グループの馬と騎手は自分が潰れる恐れから競り掛けに行けない。
「あんなペースで持つわけがない、止まるのを待つ」という状況となったがもう遅かった。
短い直線と小回りのコーナーを生かして軽快に飛ばす前とその差は詰まらない。
鞍上は直線でターフビジョンを一瞬だけ見るとムチを抜いた。
迷いの無い騎乗で勝利に導いた吉田豊騎手はドバイでも手綱を取った。

⑩京王杯スプリングカップ(優勝馬:メイケイエール)

3歳時にはソダシサトノレイナスらとしのぎを削る。
ポテンシャルの高さから活躍が期待されていたが気性難から「まともに走ればめちゃくちゃ強い」と言われた。
迎えたレースでは折り合いを欠きながらも直線へ。
そしてリフレイムが大きく斜行する中で馬場の真ん中を突き抜けた。
池添騎手をして「1F違うだけでしんどかった。一番きつかった」と言われた本レースは今後も彼女を象徴するレースとなるだろう。
スプリント路線で活躍が期待されるメイケイエール。
令和のおてんば娘に今後も注目したい。

2023年もよろしくお願いいたします。

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