リクール・ブレードランナー
状況の整理。現在読んでいる本がこちら、『メタバース進化論』(バーチャル美少女ねむ著)。メタバースが人間や世界の可能性をどのように開いていくのか、について解説されている。まだ前半の、現在のメタバース界の現状についての解説を読み終わったところ。ここから、本格的に面白くなっていく予感がする。
次に読もうと思っているのがこちら、ハンナ・アレントの『人間の条件』。以前、途中まで読み込んだことがある。公共空間において言説を駆使し政治的にふるまうことが人間の人間たるゆえんなのだとしたら、現代社会において人間は人間たり得ているのか、というあたりに興味がある。また、公共空間における政治的な活動をゲームとして楽しめるか否か、というあたりに世の中を生き抜く処世術の肝もあるように思う。これを徹底していくと、ラクロの『危険な関係』のようなところにまで行きつくのかもしれない。
ポール・リクールの「物語的同一性」にも興味がわいている。ChatGPTによると、「物語的同一性」とはこのような概念。
過去は現在によって常に更新され続け、その結果、自己という存在そのものが常に更新され続ける、というあたりが面白い。「ブレードランナー」に出てくるアンドロイドのレイチェルは、自分を人間だと信じたがっているが過去の記憶がない。レイチェルをつくったタイレルのセリフ。
現在を支えるには過去が必要。プルーストの『失われた時を求めて』はそのような過去、あるいは記憶の中にどこまでも沈潜していった物語。「ブレードランナー」の映像(一部)はこちらから。
リクールに関してはこちらで勉強しようと思う。リクール本人とも長年にわたり親交のある久米博による解説書。
ちなみに、メタバース空間におけるアバターのアイデンティティとブロックチェーンって、相性は良いのではないか。物理的には一人の人間がいくつものアバターを持っていて、それぞれのアバターの物語、あるいは過去がブロックチェーン上に記録されていて、その記録が各アバターの自己同一性を担保する、というような。物理的な制約を受けない仮想空間上の身体が自らの物語を内包しながら徘徊する、という世界は面白い気がする。
さて、過去に目を向ける一方で未来をどのように構築していくか、という問題もある。Udemyの新春ビックセールで、動画配信の講義をいくつかまとめて購入した。Pythonの入門講座、アメリカの大学教授によるMBA講座、ExcelのVBA講座、開業手続きに関する講座など。まずはPythonからスタートしている。
最初の大学では理工学部に所属していたせいか、プログラミングを学ぶことによって頭が理系的になりつつある。特に、仕事の面において。最適な出力になるようにシステムを構築しておく。あとはクリックをするだけ。特にエモーショナルな要素が強い業界なだけに、意識的にシステムに寄っていかないと崩壊する。
公共空間にいる「私」は演者。そこで演じる役はプログラマー。というくらいに割り切ったほうが、仕事における成果は出やすい。とりあえず今は、下部構造を維持するために役者になり切り、それ以外の時間で上部構造を楽しくたゆたおう。
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