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高一の春


友人と別れたあと
日暮れあとの薄暗い公園で一人
ぼくはブランコに乗って月を見ていた

青白くて冷たそうなまるい月
それはとても美しかった

優しくて懐かしい光に照らされて
一人じゃない気持ちがしていた

ふとぼくの嫁さんになる人は
今頃どこにいるんだろうと思った

今もどこかで笑っているような
今もどこかで生きてるような気がした


不思議な気持ちになって安心したら
むねの奥に一つの光が灯った

満月のように青白くて優しい光

急に心の底から強くなりたいと思った
優しくならなきゃといけないと思った
そして今はまだ会えないなと思った


遠いどこかで交わした約束


もう顔も声も忘れてしまったけれど
いつかまた出会うその日のために
僕はもっとよか男にならないかん

心のスイッチが押された瞬間
この世でつながる扉が開いた


それから満月を見るたびに
その日の誓いを思い出した

十年後

ぼくは嫁さんを見つけた


懐かしい光を纏っていたから
すぐに気がついた

すべては約束どおり

すべてはあの公園の今ここから


title: Moonlight Children-1

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