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壮年期の始まり

歳は40少し。これまでの人生はどっしり腰を据えてこれたわけではない。医者になることは小学生のころから決めていた、が、それはどちらかというと周囲を喜ばせたい気持ちが強かったことによるのか。他の職業の選択肢を持ったことがなかったので何に向いているのか自分でも全く分からないが、医者が天職だとは全く思わない。幸いアメリカでやってきたことを日本でも活かせそうで、今は1人の若者を指導しているが、2人目の若者も若輩者の自分についてくれる予定だ。

小学生のころから親には海外に旅行で連れていかれ、違う世界があることを教えてもらった。学生時代に'深夜特急'に出会い、できる限りたくさん放浪した。そして、海外住まいに対するあこがれというか、日本に居住する"当たり前"の生活や人生から離れたい・逃げたい気持ちがあった。

仕事の延長線上に海外在住のチャンスがあり、それもまぁある程度納得できる形で満了し、今年日本に帰ってきた。もともとは、この海外住まいをひとつの僕の中での若者期としての終焉としたいし、すべきだという想いが前々からあった。そしてそのタイミングで子供を2人授かった。奥さんとの間柄は子供を持つと大きく変わることはわかっていたが、これまでのところ2人で楽しく子育てできている。そうして壮年期は明確に、日本に降り立ったその日から始まった。

さて、家の話をしたい。目下、新しい家を建てることを短期的な目標にしている。これは自分が若者期を脱して壮年期に入る際に必要になるプロセスと考えてきた。まずは場所について。最初の選択は、実家のある場所に住むか否かだ。これは生まれた町に住むか否かではなく、実家のある土地そのものに住むか否かということだ。幸い実家の両親とうちの妻との関係は良好であり、一緒に住む選択肢も0ではなかったのだが、まぁ距離が近すぎると嫌なところも見えてくるだろうことはわかっており、自分は一生縁が切れない間柄なので我慢できなくはないが、まぁ想定できる嫌な想いを妻にさせたくない気持ちもあり一緒に住む選択肢は無しとした。では、将来その場所を引き継ぐことについてはどうだろうか。自分は長男で、他の兄妹は既に生活基盤を持ち家や相手の実家付近の街に移していたため、実家の土地を受け継ぐかどうかは自分にかかっていた。1年以上にわたり思い悩んできたが、結論として実家の土地には住まないことに決めた。地価はぶっちゃけ1億弱ぐらいはある好条件の土地なんだけど、まぁタイミングはコントロールできないので、あまり人生思い通りにならないものに頼るのは疲れるしお互い嫌な思いをしたくないしね。

あとはシンプルな話となる。新たな土地とハウスメーカーだ。どこに住むか問題は今後の人生に大きな影響を与えるのはわかってるんだけど、好条件の土地はほんと高い。正直、ある程度妥協した土地と家でも1億ぐらいするやん、マジか。これ世の中の人たちどうしてるの?というのはまぁ思うけど、よそはよそか。ハウスメーカーも延べ10社以上と話したが、今のところここかなぁというところともう一社ぐらいと話をしている。土地もまぁここかなぁというところが決まりつつある。でもでかい買い物だけあってめちゃくちゃ人がワラワラと交渉しようとしてくる。まるでインドに降り立った観光客に近寄ってくるインド人みたいに。

人生のフェーズが変わると興味も考えることも話すことも変わる。ようやく腰を据えて自分の人生を落ち着けにかかっている一人の壮年としてここに記す。早くのんびり生活したいなぁ。そしてまとわりつく悪しき遺残物よ、わが身から駆逐されいづこへと浄化され給へ。