Tada

アメリカでウイルスの研究生活してる医者です。医学、受験、アメリカ国内旅行、MLBなど。

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COVID-19治療の今後の方向性を肝炎ウイルス研究者が考える

はじめに僕は医者になってからずっと臨床をしながら肝炎ウイルス治療の進歩を真横で見てきたし、研究者になってからは宿主免疫・治療環境に適応したウイルスゲノム変異を専門にしてきたので、その観点から少し、今後のCOVID-19診療はどのようになっていくのかについて僭越ながら書かせてもらう。 結論から言うと、現在世界中の研究者がこの問題に取り組んでおり(われわれの研究グループも然り)、検査・治療に関してはいずれも急速な勢いで進歩し認可されていくであろうし、実臨床から重症化に関わる因子

    • 壮年期の始まり

      歳は40少し。これまでの人生はどっしり腰を据えてこれたわけではない。医者になることは小学生のころから決めていた、が、それはどちらかというと周囲を喜ばせたい気持ちが強かったことによるのか。他の職業の選択肢を持ったことがなかったので何に向いているのか自分でも全く分からないが、医者が天職だとは全く思わない。幸いアメリカでやってきたことを日本でも活かせそうで、今は1人の若者を指導しているが、2人目の若者も若輩者の自分についてくれる予定だ。 小学生のころから親には海外に旅行で連れてい

      • 医師になる若者たち

        医師国家試験が今週末行われたみたいですね。 自分よりひと回り以上下の世代の子達なので、正直どんな感じなのかわからない。ここ10年弱ほど常勤医ではなく、正直若い世代との絡みはあまりないので彼らが今どんなこと軸に生きていたりするのか本当にわからない。 自分の国家試験は3日あったように思うが、最終日終了後はQuestion Bank(問題集)を「おりゃっ」とゴミ箱に捨て、そのまま男8人ぐらい朝まで飲み歩き、家に帰ってシャワー浴びたら空港へ向かい、24時間後には地球の真裏にある、

        • マスク

          先日日本の友人たちとグループLINEしていて気がついたことがある。 日本にはマスク着用に関してルールがないということだ。 間違っていたら教えてください。というのも、パンデミック以降一度も日本に帰ってないので、どれくらい皆さんのマスク着用が厳格かというのは話は聞いても肌感覚はない。アメリカの東海岸北側では実はこの時はマスク、この時はマスクをしないで良いというルールに則って行動しているので、皆が皆どこでもマスクをしていないわけではない。屋内ではマスク着用がほとんどのお店、レス

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        COVID-19治療の今後の方向性を肝炎ウイルス研究者が考える

          アメリカで得た感覚

          アメリカに住んでもうすぐで4年になる。正直、コロナで後半の2年弱は無茶苦茶であったが、それでもこの国が好きだと思えるくらいの経験をしてきた。 夫婦で渡米し、こちらで子供を授かり、絶賛子育て中ではあるが、自分の感覚的に奥さん子供をこれからも大切にできる自信がある。 「何を当たり前な」と思われるかもしれないが、日本生まれ日本育ちの自分としてアメリカの男性たちの仕事・家族に対する向き合い方や休みの過ごし方と、日本の男性の仕事・家族に対する向き合い方や休みの過ごし方などを見てきた

          アメリカで得た感覚

          娘のミドルネーム

          うちの娘、アメリカ生まれでミドルネームがある。今年の6月に生まれ、コロナ禍で帰省することもなかなかできず、奧さんと二人で大切に育てている。選んだCarolineという名前は自分らなりの思いがあってつけたんだけど、この曲の歌詞がぴったりすぎて後から知って驚いている。もともと好きな曲だったんだけど、今では自分らにとって大切な曲になった。ボストンの野球ファンには有名な曲ですよね。 Sweet Caroline/Neil Diamond (1969)それがどこで始まったのか あいま

          娘のミドルネーム

          「COVID-19治療の今後の方向性を肝炎ウイルス研究者が考える」から一年たった

          2020年はビルゲイツ以外、誰もが予想もしなかった一年になった。2020年5月9日に「COVID-19治療の今後の方向性を肝炎ウイルス研究者が考える」というタイトルで初めてnoteを書いた。思った以上に反響があり驚いた。 裏話としては、ふと思い立って文章を打ち出してFacebook(友人のみ閲覧可にしてるので400人ぐらいに対して)にこんなん書いたよ、と初めて書いたnoteのリンクを貼ったところ、「こういう文章をここで埋もれさせるな」とある先輩からお叱りをいただき、アルファ

          「COVID-19治療の今後の方向性を肝炎ウイルス研究者が考える」から一年たった

          mRNAワクチンにも使用されているPEGについての考察

          はじめにポリエチレングリコール(以下PEG)という物質をご存知であろうか。 説明面倒だから、Wikipediaから拾う。以下、Wikipediaから大事なところだけ抜粋。 ・ポリエチレングリコール(polyethylene glycol、略称 PEG, マクロゴールとも)は、エチレングリコールが重合した構造をもつ高分子化合物(ポリエーテル)である。  ・一般的な構造式は HO-(CH2-CH2-O)n-H と表される。PEG は水・メタノール・ベンゼン・ジクロロメタンに

          mRNAワクチンにも使用されているPEGについての考察

          話題のE484K変異

          今日ちょっと興味深い論文を読んだので簡単にサマライズを。 南アフリカやブラジルで見つかっているSARS-CoV2のスパイク蛋白のRBD(receptor-binding domain)におけるE484K変異(これ、484番目のアミノ酸がE→Kに変わるって意味です)が話題になっている。先日、モデルナのプレスリリースからはワクチンは変異株にも対応しているという報告はあったが、南アフリカ株は中和抗体の効力は1/6に落ちるという。 そして、先日、アストラゼネカ社のワクチンに関して

          話題のE484K変異

          得も言われぬ感情

          ふと思い出した、自分の若い医者時代の失敗について話したい。 基本的にニコニコ働いていた自分だが、一度だけ病棟で感情失禁してしまったことがある。 自分の専門科に入る前に、1年弱ほど内科ローテートした。その意味合いとして、専門に没頭する前に広い内科的な知識をつけるということと、院内の内科の先生方への顔見せとなりその後の仕事で横の連携が取りやすくなる、などがあるが、結局はその病院で働くにあたったルールであり、若い医者の労働力を必要とする科や病院もあるのだ。 当時研修医を上がっ

          得も言われぬ感情

          ウイルスの変異と今後

          久しぶりのコロナ関連のnote投稿です。8か月前のnoteはこれ。 新型コロナウイルス出現時より予想されていたことだが、この冬、世界中の国で新規感染者数の過去最多更新が起こっているほどに感染が広がっている。中でもイギリスや南アフリカ共和国で新たな変異株が出現し、人々の話題は変異株が自分の国でも流行するのではないか、今走っているワクチンは変異株に有効なのかなどが新たな話題となっている。 この内容に関してTwitterで140字以内でまとめることは難しいので、現時点で思うこと

          ウイルスの変異と今後

          アメリカの歴史と子供を持つことについて

          最近2冊読んだ本がおススメに値するものであったので。いずれもやや古い訳書である。 簡単な英語で学ぶアメリカの歴史入門書昨今のBLMや大統領選で話題に事欠かないアメリカについて体系的に知ることができる本として、「アメリカの小学生が学ぶ歴史教科書」(Japan Book)を勧めたい。(なんかうまくサムネイルつけれなかった) https://www.amazon.co.jp/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%81%AE%E5%B0%

          アメリカの歴史と子供を持つことについて

          A→B

          研究者として日本からアメリカに渡米してきて2年たつ。正直、サクッとNatureでも出して日本に帰国できればなんて考えていたけれども世の中そう甘くない。 アメリカに来てまず始めにボスから「何がやりたい?」という形で究極のオープンクエスチョンから研究がスタートした。何をしようかということを思い描いては消し新たに練り直してということの連続で最初の3ヶ月が過ぎた。最終的に兼ねてから疑問に思っていた、なぜ「A→B」が成り立たないのだろうという疑問を研究テーマにした。 A→Bはまず自

          自己肯定感の後ろ向き分析

          Note第二作目は、前回と違うトークテーマを選んだ。前回のCOVID-19の話題で多くのイイねやフォローいただいたことが、文章を書くモチベーションに繋がっているのは間違いないので、まずたくさんの反響をいただき、御礼を言いたい。過去に、mixiやFBで文章をここ15年ほど定期的には書いてきたが、あくまで身内に対するちょっとした報告・話題提供程度であり、顔の見えない読み手を対象にしっかりとした文章を書くのは医学雑誌ぐらいしか無く、自分は決して書き手のプロでは無い。そこら辺もご容赦

          自己肯定感の後ろ向き分析