やりたくないことやってる暇はねえよね。
Z世代ではないが、動画を早送りしてスキップさせたり倍速で見ている。
といっても、映画はそんな観方はしないし、目的が違う。
私は動画をじっくり見ていられないタチで、必要なところだけピンポイントで見たいのでそうなってしまう。
目的は、観賞ではなくHOW TOだから、動画より文章と静止画がよい。
けれど最近は検索すると動画が上がってくるので仕方なく早送りしながら見る、というわけ。
だから、のんびり等倍速で始まりから終わりまで見ていられない、という気持ちはよく分かる。
映画が、観賞するものでなくコンテンツというのなら、全く不思議でもおかしくもない。
手短かに要点だけ知れば良い。
けれども、映画は観賞するために作られているから、問題視されるのだろう。
十秒飛ばしや倍速であらすじを掴んで、話題に参加することが目的となっている。
予告編などでも、惜しむことなく全容が明かされており、つまらない映画をつかまされるリスクを負うことなく、安心して観ることができるというわけ。
一見、それでは作り手の意図や作品に寄せる思いが無碍にされてしまうので良くない気がするが、どうかしら。
そもそもが、話題になるのは、良い作品(観て面白い)だからで、ごく当たり前に既存のやり方で観賞をした人がいるからではないのか?
もし全ての人がすっ飛ばして見るだけなら、ほんとに見るに値しない作品ということになるのかも知れない。
いや、すっ飛ばして見た上で評価される映画、という、新たなジャンルが生まれるかも知れないけど。
それはそれで、需要があるなら作られるだろう。
今のところ、そんなつもりで映画は作られてなくて、脚本や演出やキャストなんかにこだわって制作されて、それを受け取る人(必ずしも高評価とは限らない)がいて、話題になるから話題作なのではないのか?
早送りする人たちは美味しいところだけつまみ食いして楽しむ…
特に問題はないように思う。
そもそもが、早送りせずじっくり初めから真面目に観賞していても、作り手の狙った通りに観てるとも限らないし、つまらないところや関心のないところは寝てる人だっている。
それだって、観たことにゃ変わりないから、話題に乗れるんだし。
愛用しているアプリ、オーディブルも本を読むのではなく、仕事の片手間に聴いている。
仕事の片手間にテレビや映画を見る人も、世代関係なくいる。
演出だの演技だのに関心はなく、あらすじだけ追えれば良いのだろう。
特にファンじゃなくても、話題だから観ておくべき、という考え方をするのも世代は関係ないように思う。
✳︎
著者は、映画を早送りして観る人たちの動向を探り、なんでそんなことになったのか?
について、多方面から資料を集め丁寧に考察されている。
本のタイトルや見出しから受け取られるような、Z世代を批判した内容でない。
終章で『パンドラの箱を開けてしまった』と記されているが、そのようにも思う。
世代論にとどまらない。
私は、映画をすっ飛ばして観て話題に参加せざるを得ないと思っている人が心配になる。
ほんとうは、そんなこと少しも楽しくないし、やりたくないのにやらざるを得ないと思っている人。
やりたくないからやらないで、何某か不自由を感じている人。
そういう人の方が実はたくさんいるんじゃないかと思っている。
※ヘッダー画像はマヌタさんよりお借りしています。
ありがとうございます♪