二間続きの和室は二間続きの和室にしかなり得ないのか
暮らしやすい間取りって、動線が妨げられないこと、これにつきると思います。
最新の建売住宅やマンションでは,玄関ホールにコートなどのアウターも収納できるクロゼットが設置されているのを見かけます。
うちは築三六年の田舎の昭和な間取りで、玄関を上がって左側に二間続きの和室があります。
古民家ならあえて用途を無視して,洋間のようにソファを置いてしまうとか,敷物を敷いてリビングのように使うなどしても様になりますが,中途半端に和洋折衷でモダンでもないので「二間続きの和室」から抜け出せません。
二間続きの和室には,二間続きの和室以外に使い道がありません。
例えば葬儀…これは滅多にありませんけれど,最近は通夜も告別式も葬儀会館で執り行うのが主流のようです。
二間続きの和室は一応応接間なので,常に来客に備えなければなりません。
時には応接間から客用寝室になります。二通りに使えるところは融通がきくといえばそうですが,一つ問題があります。
まわり廊下に囲まれていない二間続きの和室は,奥の部屋に行くのに手前の部屋を通るので,二間とも常に来客用に整えておかねばなりません。
例えば,奥の和室を客間にして手前は普段用に使ったら,お客はいろんなものが置いてある,時には取り込んだ洗濯物が積み上げてある脇を通って,奥の和室に行かねばなりません。
手前の和室をお客用にして,奥の和室を普段用に使えば,お客が寝ている枕元を通って,奥の和室にぶら下がってる洗濯物を取りに行かねばなりません。
このように,全く使えない,二間続きの和室なのです。
来客は滅多になく,特にこのコロナ禍では帰省した息子が寝泊まりしただけです。
実は手前の六畳間にはピアノが置いてあります。
初めは,奥の八畳間に設置しましたが,夫がどうにも我慢ならんというので,再びピアノ配送業者を頼み,隣の部屋まで僅か畳四枚分ほど移動させました。
ですから,二間続きの手前の和室は,来客用を脱してそこそこ片付いた日常使う部屋になりました。
ところが。
玄関を上がってすぐの非常に便利な場所なので,一度客間から脱却すると,あれよあれよと,ちょいとモノが置いとける,使い勝手のいい部屋に成り下がりやがりました。
あとは転落の一途…
クリーニング出し待ちの風呂敷包みがおいてあるわ,宅配の中身だけ取り出した段ボールが,「何かに使う」名目で積まれるわ,冬になると玄関で脱いだコートやダウンが鴨居に引っ掛けたハンガーに吊り下げられるわ…
このうち,段ボールに関しては流石に,自分の怠慢に他ならぬと深く反省します。畳んで物置に置くべきでした。でも。
クリーニング待ちの風呂敷包みを,他所様の家はどこに置いているのでしょうか?リビングのソファの上でしょうか?
脱いだコートは,いちいち二階のクロゼットに仕舞いにいくのでしょうか?ダイニングの椅子にかけたりしていませんよね?
ソファの上も椅子の背もたれも空けておきたいから,ついつい普段使いの部屋と化した客間に投げ込まれてしまうのです。
私は決心をしました。
客間の押し入れをクロゼットにすると。
つづく