【オーディブル】喪を明ける‐太田 忠司
”喪”は「喪が明ける」といいますよね。
「喪を明ける」とは聞いたことがありません。
例えば「夜が明ける」と「夜を明ける」…
私が夜を明けられるはずがありません。夜は私にかまわず明けます。
「喪」は、日にちが来れば明けるから「喪が明ける」
「喪を明ける」には、期日のような約束事でない意志のようなものが感じられます。
それで、ああたぶん、亡くなった人への思いが、思いというか、亡くなったという事実が受け入れられなかったのが、受け入れられたという、そんな話なのかな?
タイトルから思うことしばし。
「が」と「を」の使い分けについてはこちらの解説がもっとも腑に落ちました。
聴き終えてなるほど「喪を明ける」のニュアンスが伝わりました。
当初イメージした「亡くなった人の死を受け入れる」と近いものではありましたが、少し違いました。
それは自ら選んだ死であり、先立つものから見たら残された者は、その決意を受け入れられないまま、それでも喪は明けていくのでありました。
そう「喪は明ける」
もう、残された者じゃありません。
輝く未来があるわけではないけれど、捨てたもんじゃないこともあって、だれかを救ったり、救われたり、ささやかな営みを繰り返し、
悲しみもやりきれなさも抱きしめたまま、生きていくのだと思いました。
※革靴のイラストは MMさんよりお借りしています。
ありがとうございます♪
紐をきゅっと結んで踏み出していく感じが好きです。
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