
おおたき龍神湖廃集落跡-その後
「廃村には、竹藪におおわれた廃屋や、がれきと石垣だけが残る屋敷跡、あるいは崩れかけたコンクリート造のアパートが立ち並ぶかつての鉱山町や、また三重県で見たような、ダム建設がらみでどこかに移転した蛻(もぬけ)の集落などがあります。
わたくしの廃村巡りは、そこで人が笑い、泣き、愛し合った空間、その生活の痕跡に一人佇み、静かに目を瞑り、あれこれ想いを巡らせるのです。そうすると、洗濯機はなくても光子との甘く懐かしい生活の記憶がよみがえるのでした。」
(小説『穴』の一節より)
これまで時間がなくて、なかなかできなかった地域(郷土)の深掘りもしてみたいなと思っています。
そんな思いもあって、このたび、小説のモデルとなった廃村を、再び訪ねました。
かつての白屋集落(奈良県川上村)です。

「大滝ダム事業により発生した地すべりのため、全戸移転を余儀なくされたこの白屋地区は、日当たりがよく、冬でも暖かい、作物のできに秀でた豊かな地区で、また長寿の里でもありました。すでに地すべりの対策工事も終え、建物は何も残っていませんが、石積みの独特の景観が当時を物語っています。」 現地説明版より

後方に見える秀麗な山が白屋岳(1177m)です。台高山脈北部に位置します。
説明板の写真は、かつての白屋地区(地すべり発生前)。なので、まだ家屋があって、生活されている。ただ、聞くところでは、この段階でも、戸数、人口はかなり減少していたよう。


これまでに白屋集落跡には何回か訪れていますが、いずれも時季が違うし、また時の流れによる変化もあるでしょう。今はどうなっているのだろうか。














「立入禁止」と書かれているが9月7日、13日のイベント開催の為。本日は該当日ではない
こうして白屋集落跡をほぼ一周歩いてきました。
季節のせいでしょうが、草が大きく蔓延っていた。熊には出会わなかったが、カメラ持った青年や、家族連れの外国人もやってきた。展望がいいからだし、石積み景観にも魅せられるのだろう。

お湯はポタ電で沸かした。(ポタ電買ったのでどこへでも行ける)
公益のために全戸移転となった白屋集落。ダムの恵みを受ける下流地域の人々にも、全戸移転を余儀なくされた集落の今を、もっと見てほしいし、知ってほしいし、想像してほしい、と思った。
※[大滝ダム(おおたき龍神湖]について
今回の記事は、「大滝ダム」をテーマにしておりませんが、ダムの写真を何枚か掲げておきます。



[過去に投稿した記事(2024年3月)]
ダム建設と移転集落の概要をお知りになりたい方はこちらをどうぞ。
2024.9.28