蜃気楼とリュックサックとあゆの塩焼き
「あつーい……」
「そうね……ジェイ、もう少し離れてくれない?」
「無理だよ、ビビ。もう毛先ほどだって動けない」
「……まあ、気持ちもわかるけどね……暑すぎて、いつか干からびるんじゃないかしら」
「ね、なんとなく、地面がふらふらしてるような気がするし……」
「……あら、でも、なんだか一瞬、ひんやりしたような……?」
「……遠くに、何かが見える気も……?」
「それは……蜃気楼かしら……」
「蜃気楼……あれが……? あの……あゆの塩焼きが……?」
「……蜃気楼は幻覚とは違うわ?」