MBTI非公式派の共通言語

公式の本を読んだので雑多な感想。

心的機能と心理機能

「ユングは(中略)人間の心的機能を表しました」とあり、これは間違いだろう(心理機能が正確だろう)と最初思ったのだが、ユングや分析心理学のwikipedia、ユング派分析家資格候補生(←よく分かっていない)の大塚紳一郎氏のXのアカウントで「心理機能」でサーチしてみたところ、1件もヒットしなかったので、ユングは本当に心的機能という表現を使っていて、心理機能という表現はしてないのかもしれない。

じゃあこの心理機能という言葉はどこからやってきた…あまりにも共通言語として機能しすぎているし、心理学の用語を体系的に網羅しているサイトでもこの心理機能という言葉が使われている。

で、このサイト内に灰皿を例にとった例えがあるが、この記述は見覚えがある。河合隼雄氏の「ユング心理学入門」で書かれていた表現だ。このサイトもこの本を参考して書いたのだと思う。

河合氏が書いたタイプ論に関する論文があり、全文は読んでいないが、ここでははっきりと「心理機能」という言葉が使われている。

https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/282533/1/eda28_001.pdf

河合氏は日本にユング心理学を導入させた人物とされている。つまり、ユング本人は「心的機能」と表現をしていたが、「心理機能」と表現した河合氏が普及させたので、それがデファクトスタンダードになってしまったのではないか。

心的(心理)機能のアルファベット表記

[思考|感情|感覚|直観]の大文字のアルファベット表記に、[外向|内向]の小文字のアルファベット表記を加えて心的(心理)機能を表現する記述、要はおなじみのTeとかNeとかFiのことだが、これがどこからやってきたか不明である。公式のテキストには用いられていないし、ユングも河合隼雄も使っていない。

後述するが、機能の名称に「第三」があるのは公式の基準だが、機能のアルファベット表記は非公式なので、これは公式/非公式がごっちゃになっている。

おそらくネット上の個人考察のブログで使われており、記号としてあまりにも使い勝手がよすぎるから、これまたデファクトスタンダードになってしまったのではないだろうか。

第3機能の特殊な位置づけ

心的(心理)機能の外向性と内向性は、使用順序に伴って反転を繰り返すが、公式では第3機能は外向と内向の区別が付いていない。また「第3機能」と言っているが、すべての機能の名称を使用順に列挙すると

  1. 主機能

  2. 補助機能

  3. 第3機能

  4. 劣等機能

となる。第3機能以外はその機能の性質を表した名称になっているが、第3機能だけは使用順序のナンバリングとなっている。

  • 外向と内向の区別がない

  • 名称の意味付けが他の機能と異なる

この2点から、第3機能だけ何か特別な位置づけにあるように思われるが、なぜそのような扱いをしているのかの説明がない。

8つの機能それぞれの説明

先に挙げた「16タイプの性格分類まとめ」では、8つの心理機能の説明がそれぞれあるが、公式では「外向感覚」「内向直観」という表記はあるものの、それぞれの心的機能の詳しい解説は載っていない。ネット上の「Neの説明」に相当する内容が公式にはない。ここに非互換性があると思われる。

ただ公式のENTPとENFPの説明を読めば、ネット上のNeの説明と合致する部分もあると読めるので、まったく互換性がないとも言えない。


各タイプの特徴の説明は現実の人間に即したものーキャラクターとしての誇張がないーで、内容にも異論はない。

よくMBTI公式と16personalitiesが対比されるが、流派の分類は

  • MBTI公式

  • MBTI非公式

  • 16personalities

この3つが正しいと思う。本稿で取り扱った

  • 8つの心理機能の定義(説明)

  • 心理機能のアルファベット表記

は、MBTI非公式派の共通言語だと思う。MBTI公式と16personalitiesはこの2つを取り扱っていない。

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