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話を聞くための「いい質問」って何だろう 

赤羽雄二さん『自己満足でない徹底的に聞く技術』で書かれている
アクティブリスニングを実践中の畑中です。

ジャーナリストの池上彰さんが口にする「いい質問ですね~」。
これを聞くとなんだか、笑っちゃいます。それを言われて、喜ぶ共演者の反応も面白いです。

今回は、「いい質問」について、書いてみたいと思います。

委縮させない質問

アクティブリスニングのステップ②に、「相手を委縮させないようにしながら、質問する」が出てきます。

アクティブリスニングの4つのステップ

質問が、相手を委縮させるって、考えたことありますか?

質問は、わからないことをより正しく、深く、理解するためにするもので、前向き・積極的・意欲的といったプラスのイメージを持っていたので、「委縮」という表現が、アンテナにひっかかりました。

でもよく考えてみると、委縮とまでいかなくても、質問って、話し手に多かれ、少なかれ影響を与えます。

例えば、「お正月休みに、キャンプしたんだ」という第一声に対して、

「え、冬にキャンプって寒くない?」と質問したとします。

この質問には、
「冬にキャンプなんて、寒くて嫌だな」とか、
「なんで、寒い時期に、キャンプなんてするんだろう」という、
質問者さんの評価や価値観が、話し手に伝わります。

そうすると、
話し手は、「あ、冬のキャンプの楽しさを伝えたかったけど、ネガティブにとらえているな」と感じ、話すのをやめたり、別の会話をしようかなと考えたりします。

こんな風に他愛もない質問でも、話し手は、聞き手の「質問」によって、話すことを、変えたり、選んだりします

でも、「お正月休みに、キャンプしたんだ」に対して、

「へぇ~。キャンプ?」と質問したとします。

これはシンプルな質問ですが、質問者さんの評価や価値観は入っていない、相手の話したい「キャンプ」についてのオープン質問(※)です。

※オープン質問は、さまざまな回答に制限を設けず自由に答えてもらう質問のこと。これに対して、クローズド質問は、YES/NOなど回答が限定される質問のこと。

単純な質問ですが、話し手は、キャンプについて話したかったことを、委縮せずに話すことができます。

だからアクティブリスングでは、相手を委縮させない「質問」が、話を聞くための「いい質問」になります。

深堀質問

先月参加した、赤羽雄二さんのリアルセミナー「効果的なコミュニケーション」で、赤羽雄二さんが、参加者からの質問にこんな風に答えていました。

参加者
「同僚の話がわからないときは、質問をしていいですか?」

赤羽雄二さん
その同僚の年齢、学歴、性別、社歴などを質問した上で、

「途中で質問をすると、あなたの説明はわかりにくいというメッセージになって、相手を威圧する可能性があるので、まずは全部聞く方がいい。そのまま聞いていると、話し手が、話しの途中で、こちらが質問したかったことを説明してくれることもある」

赤羽雄二さん「効果的なコミュニケーション」での質疑応答

質問をすると、あなたの説明はわかりにくというメッセージになる

これ、思い当たることありました。

職場の上司に相談をしている途中で、質問されると、

「あ、それは、これから説明しようと思っていたけど、先に伝えなかったから、わかりにくかったかな?」とか、
「あ、その説明が先に必要だったけど、うまく話せなかったな」

と感じるなぁって。上司の質問によって、私は、「委縮」させられていたんですね。

この回答をする前に、赤羽雄二さんは、いくつか質問をしていました。

その同僚の年齢、学歴、性別、社歴

これは、二人の関係性をきちんと把握して、状況を客観的に見て、問題の本質を見極めるための質問です。

この質問で、「話し手と聞き手のどちらのパワーバランスが、強いのか?」を把握できます。

相手の話を「全部聞き」、本質をつかむために、「深堀質問」も必要になります。深堀質問に関する具体的な事例は、赤羽雄二さん『自己満足でない徹底的に聞く技術』で、紹介されていますので、ぜひ、お読みくださいね。

私が考える「いい質問」

「話したいこと」が話せたり、「つい、話しちゃう」質問も、「いい質問」だと思っています。

「話したいこと」は、相手の話をよく話を聞かないとわかりません。

だから、アクティブリスニングのステップ1に、徹底的に、真剣に聞いて、相手に信頼される(余計なことを考えない があります。

ある方が、こんな話をしていました。

「子どもの話をよく聞くために、オープン質問をするようにしています。学校から帰宅した子どもに、『今日、学校どうだった?』と質問しています。

いかがでしょうか。

これは、「いい質問」だと思いますか?

実は、オープン質問で、子どもの話を全部聞けるように見えますが、「話したいこと」が話せたり、「つい、話しちゃう」質問かの基準に照らし合わせると、「いい質問」とは言えません。

なぜなら、「今日、学校どうだった?」という質問は、学校の様子に限定された、かつ、親が知りたいことを聞いている質問だからです。

子どもが学校で困ったことはなかったか、ちゃんと勉強についていけているか、といった親の不安を払拭するための質問だったりするのです。

これでは、「話したいこと」を話せたり、「つい、話しちゃう」にはなりません。

じゃ、どうすればいいのか?

基本は、「子どもが、なにか言うまで、黙って待つ」です。
だって、話を聞かないと、何を話したいかはわからないので、質問もできないからです。

でも、じっと待ってても、何も話さない。
学校の様子も気になるし、、、。

そんなとき私は、
普段、子どもが、楽しそうに話をしていること、好きなことにフォーカスしたクローズド質問をします。

我が家の小5長男であれば、

給食おかわりした話を嬉しそうによくしていることや、体育のある日は、体育の授業を楽しみに登校しているので、これを踏まえて、「クローズド質問」で、話題をふったりします。

例えば、

「今日も、給食、おかわりしたの?」とか、

「今日の体育も、マット運動だったの?」とか。


こんな風に、単純に答えられる「クローズド質問」で、そのあとの返事が比較的、明るい話題が続きやすい質問を、すっと会話にはさみます。


「今日も、給食、おわかりしたの?」

→「うん。今日は、タンドリーチキンで、家では出てこない味付けでなんか美味しかったんだよ。でも、苦手って人もいて、残っていたから、今日もおかわりしたよ!給食が残ると困るから先生、喜んでた」

「今日の体育も、マット運動だったの?」

→「今日から、なわとびになった。連続二重とびが、どんどんできるようになってきた。今から、外でやるから、ちょっとみてよ」とか。

こんな風に、簡単に答えられる、かつ、子どもが楽しんでいそうなことを質問することで、会話の糸口がつかめたりします。

こういった質問は、子どもが楽しいと思っていることを自然話せる質問になります。

楽しいことを話していると、ついつい、別のことも、ペロッと話します。そうしたら、アドバイスも評価もせず、徹底して「ぜーんぶ、聞く」のです。親にとっては、都合が悪く、聞きたくない話も、ぜーんぶです

「いい質問」には、こちらが聞きたいことではなく、相手が話しやすい質問という、相手目線が必要です。

池上彰さんにとっての「いい質問」

あるインタビュー記事に、こんなことが書かれていました。

池上氏は「私の『いい質問ですね』には2通りあるんです」と告白。続けて一つ目について、「“この後はこういうふうに話をしよう”としているのに、ゲストの人が全然違う話をすると、どんどんずれていくでしょ。で、戻したいと思うわけです。そういう時に戻せる質問が出ると『いい質問ですね』。これは私にとっていい質問」と伝えた。

 もう一つについては、「まさかそういう質問が来るとは考えもよらなかった。なるほど、自分も考えなきゃいけないな、というのが本当にいい質問ということです」と説明。この2つの違いについて、「私の様子を見てると分かりますよ。ニッコリ笑って『いい質問ですね』って言うのは、私にとって都合のいい質問。絶句して『なるほど、いい質問ですね』って言うのは本当にいい質問です」と明かし、他の出演者を驚かせていた。

Sponichi Annex 2022年8月15日 19:12 配信記事 

質問は、大切な人と信頼関係を築くためにするものです。
相手の無知を指摘するようないじわるな質問や詰問は、人間関係を壊します。

「いい質問」とは、相手の話したいことを話せるようにする、かつ、話し手も聞き手にとって、学びや変化につながることがポイントのようです。

こんな「いい質問」ができるように、なっていきたいです。

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