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『レジデントのためのビジネススキル・マナー』を読んで(購入・感想)

最近のレジデントがどういう風に社会や業界を捉えているかはあまり分からないのですが、僕がレジデントの時はビジネススキル・マナーから程遠い人間であったので、思わず購入してしまいました。

最近は積読になる事が多いので、届いたその日に少なくとも目を通すように意識しています。本書は第一章から四章までの構成で、若干文字が小さく多いですが、余白が大きく読みやすい本でした。


第一章:社会人としての基本スキル・マナー

そもそもこういう本が必要な人間は本書を買わない気もしますが笑、「確かに大事だな」と思いつつ、実行できる人が多くないのも事実。

例えば時間を守る、というのは社会人でなくても当たり前で、医者だからとかは関係ありません。でも、医者は不測の事態や患者対応で時間厳守が難しいせいか、ビジネスシーンにおける時間にややルーズな傾向にある気がします

某商社の方と話をした際にも、「ビジネスでは時間厳守は当然だが、医師は特に時間感覚がずれている人にちょいちょい出会う」と仰っていたので、あながちn=1の感想ではないと思います。

第一章で気になったのは「雑用力」という項目。
これは「雑用=負の要素が大きい・時間を奪われる・なぜ自分がしなければいけないんだ」という感覚よりも、長期的視点に立って雑用でもちゃんとやって自分のプラスに繋げよう、上司に評価されようといった内容(ニュアンスは本文読んでください)。

これは上に立つととても分かります。

雑用なんて自分もやりたくないし、かと言って下にもやらせたくない、でも誰かがやらないといけない。外注できるならしたいシロモノですが、医局にそんなお金はないし、どんなに外注しても必ず雑用は生まれます。

雑用を頼んだ際にしっかりやってくれる人には次の良い案件を回したくなるのが人情、雑用ができないなら大きな仕事を任せづらいというのが本音(僕は雑用苦手ですが)。

ただ最近の傾向だと、こういう雑用力という記事を批判的に捉える人もいるかもしれないなとは少し思いました。所謂ブラック、やりがい搾取的な意味で。

第二章:医療者としての必須スキル・マナー

身だしなみ・挨拶・言葉遣いなど、医療者じゃなくても共通します。僕は(自分に向けられる)敬語の正しさにそこまでこだわりはないですが、そういうのもスキル・マナーですね。中でも電話応対とメール対応は知っておくと損はないです。特にメールはその人の性格が反映されます。

大事なのは皆が言う通り、挨拶・挨拶・挨拶。
ちっす、とか会釈でもいいので挨拶。

先輩医師が挨拶してこないとか思うかもしれませんが、40過ぎると老眼で遠目に誰か分かりにくくなるので(実体験)、こっちから挨拶しましょう

院内では患者さんは医師の事をよく見ています。時には投書がきます。僕は白衣を着て院内通路の真ん中を歩いていたら某教授に「君は白衣の前を開けただらしない格好で患者さんたちが通る通路の真ん中を堂々と歩いているが、どういうつもりかね?」と小一時間問い詰められた事があります。

ところで、救急系の医師にヒゲ・茶髪・長髪が多い気がするのは気のせいでしょうか。

第三章:病院外での応用スキル・マナー

外に出る機会があるなら、名刺と名刺入れを作っておくと良いです。そして、名刺をもらったらすぐに御礼メールを入れておくと印象に残ります。

立食パーティー・テーブル・タクシー・結婚式のマナーあたりは学生生活でも自然に身についている人と、そうでない人が結構分かれますね。ググれば大体のことは書いてあるので、自身のない人は目を通すといいかもしれません。

この辺のマナーに関しては、マナーを指摘すること自体があまり上品ではないため、分かってる人は大抵何も言わないものです。もし注意されたら良いきっかけなのではないでしょうか。

高校一年生の時、友人の豪奢な家でスパゲティが出てきたのでズゾゾゾッと音を立てて食べていたら、『お前、パスタもまともに食べれないのかよwww』と馬鹿にされ、(これだから慶應幼稚舎上がりは…)とか思っていましたが、結局その友人と両親がテーブルマナーを教えてくれたので、以後恥をかかずに済んだ事を今でも感謝しています。

第四章:医師として差がつく汎用スキル

個人的にはやや形式的に感じたのでサラッと読み飛ばした部分ですが、クレーム対応力は身につけておいて損はありません。僕は寺澤秀一先生と福井大学救急部の先生方の対応力を見て学ぶところが多かったと思いますが、学生のうちだと意図的にそういうバイトなりをしていないと実践経験が身につきにくいでしょう。

クレーム対応がちゃんとできる人への信頼感は圧倒的です。

クレームから逃げない、でもクレーム対応で自分が追い込まれないためにどうするか?は意識しておくといいのではないかと。

本書の内容は既存の書籍・ネットで部分的に述べられていることでもあり(自分の学年的にそう見える部分はあると思いますが)、「当たり前だな」と思う人もいるかもしれません。

ただ、得てして当たり前でもできてないものですし、レジデントが必要になるであろうという視点でまとめた本は過去に無いと思います。

マナーは本一冊読んでできるようになるものでもないです。とりあえず目を通し、他者がそうしているのを見て「あ、これか」と思うようになる事の方が多いでしょう。

新しくスキルやマナーを知るというだけでなく、自分の行動を見直すきっかけをくれる本かと思いました。

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