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700本のトライ目指して「温泉ホテル」買収(後編)

「やりましょうよ!」

自分が2019年に代表となってから、「ゴルフ場の文化を変える」ための取り組みに注力してきた。

合言葉は「やってみよう」であり、まずはトライして、そこから判断しよう、と言い続けた。冒頭に触れたが、セブンハンドレッドの社名にちなんでスタッフや取引企業、地元関係者と連携して「年で700本のトライ」を生むための「セブンハンドレッド・トライアル」を実行中。

ゴルフ場スタッフの働き方改革、ベンチャー企業との協業、トップダウンではなくボトムアップ型の組織形態へ変更するなど、現場には戸惑いもあるはずだが、旧来のゴルフ場がやってこなかった改革を、小さく進めてきた。

ホテル買収の件について、全スタッフ名にアンケート調査を行った。その結果、約9割が賛成だった。常に高望みする自分の性格を知っているせいか、はたまた深く考えていないのか(笑)、みんなの前向きが嬉しかった。

備考欄には「これまでホテルがないのはもったいないと思っていた」「また挑戦できますね」と、ポジティブな反応が大半だった。コロナ禍で経営が「守り」に入り、スタッフが消極的になることが怖かったが、杞憂だった。自分も挑戦しなければ!と、ホテル経営を引き受けた次第。

ホテルは敷地約3000坪に、3階建ての部屋、築年である。買収完了は昨年12月だが、そこに至る手続きは、
①前オーナーとの交渉
②市長ら地元有力者への相談
③外部有識パートナーとのディスカッション
④デザインを取り入れたリノベーションの構想などの経緯を踏んだ。

名前は地域名を冠して「お丸山ホテル」。今年4月下旬の開業を目指し、新たに名のスタッフを採用し、大掃除や運営のための議論を行っている。

今後の構想を描くのが楽しい。ゴルフ場をもつ強みから「スポーツ&美肌の湯」を活かした「ヘルスケア」を軸に展開したい。さらに「採光」と「再興」をかけ合わせて「さいこうの場所」を体現したい。採光は「美しく彩(いろど)られた光」であり、地域の美しくユニークな魅力を感じられることを意図。「再興」は、お丸山公園一帯の再興を目指す。
「さ、行こう」と、人々が気軽に立ち寄り、人の温かみと息吹を灯せる場所にしたい。


ただし、「ゴルフ場に付随するホテル」と見られては意味がないだろう。あくまで主はホテルであり、従がゴルフ場という関係が望ましく、「ゴルフ場もあるホテル」「ホテルに付随するゴルフ場」と思われるくらい、ホテル経営に磨きをかける。そうすれば、ゴルフ場経営や地域価値の創出にもつながるはず。「ゴルフ場が地域に存在する意味を創る」こともできるだろう。次回は、上記に関わる具体的な事象に踏み込んでいく

本記事は、ゴルフ用品界社出版のゴルフ エコノミック ワールド 2021年5月号 (発売日2021年05月01日)において連載中「熱血タックル !ゴルフ界に新たな風を 第1回」を編集した文章になります。

小林忠広
株式会社セブンハンドレッド代表取締役社長/株式会社住地ゴルフ代表取締役社長/NPO法人スポーツコーチング・イニシアチブ代表理事
慶應義塾大学法学部卒、同大学院システムデザイン・マネジメント研究科修了。日本ラグビー協会U20日本代表総務補佐を経て現職。2016年6月、セブンハンドレッド入社、2019年4月社長就任。ビジョンは「みんなが幸せを実感できるゴルフ場」、地域とゴルフ場の融合を図り、次世代ゴルフ場作りを目指す。2021年1月に住地ゴルフ社長に就任。

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