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ゴルフとサッカーのハイブリッド競技(後編)

町興しにもつながった

ただ、フットゴルファーに悪気はなく、最大の問題はマナーを「知らない」ことなのだ。当初は「ゴルファーがボールを打つ時に大声を出す」「前をプレーするゴルファーとの間隔の取り方ができていない」「前のゴルファーを追い抜いてしまった」など、フットゴルフに対する悪印象や偏見があった。

話は少し横道に逸れるが、昨今では外部との協業により新しい価値を生み出す「オープンイノベーション」が盛んになっている。異なる背景をもつ企業同士が協業すれば、新たな視点で従来にない価値を生み出せる。

ぼくは、フットゴルフに対するクレームを聞いて、まさにこれは立場が違う者同士が協業するときに見られる「対立構造」と同じだと実感した。大切なのはそれぞれの立場に立って説明し、理解を促進することだ。

初めてゴルフ場に来るフットゴルファーには、プレー前にルール、コースの回り方、ゴルフに準じたマナーやエチケットの説明を徹底した。

また、「予約時間に来ない」ことについても、「少なくとも予約時間の分~1時間前には来場する」というマナーを徹底。「予約時間=来場時間」という認識を改めてもらうために、予約時間と来場時間をそれぞれ事前に通知した。ゴルファーとフットゴルファーの双方が、同じフィールドで楽しく安全にプレーするための準備は、スタッフにとってひと手間かかる作業だが、弊社のビジョン「みんなが幸せを実感できるゴルフ場」を体現する上で不可欠な取り組みだと感じている。

スタッフの細かな配慮が功を奏し、セブンハンドレッドの来場者は現在、当たり前のようにフットゴルフを受け入れている。これまで累計3000名ほどのフットゴルファーが来場しており、ちなみにプレー料金は約5000円だ。

このフットゴルフ、実はセブンハンドレッド内だけに留まらず、市内の町興しにもつながり始めている。「フットゴルフのワールドカップを開催しよう!」との合言葉を機に、地元さくら市役所内で「フットゴルフタウン推進委員会」が立ち上がり、さくら市が「フットゴルフの聖地」となるよう地域の活性化を図る動きが始まっているのだ。

残念ながら、今年月に当コースでの開催が決まっていたワールドカップはコロナ禍で中止となってしまった。それでも小学生向け社会体験学習の一環でフットゴルフの体験教室を行ったり、市役所員が中心となり「街コン」としてフットゴルフイベントを開催。小学校の体育の授業にも導入されるなど、フットゴルフ推進の動きは加速している。

これにより、ゴルフ場への社会的関心の低さを打破するだけではなく、ゴルフ場から新しいトレンドを発信、地元が活気づく様子を見ると本当に嬉しい。

本記事は、ゴルフ用品界社出版のゴルフ エコノミック ワールド 2021年6月号 (発売日2021年06月01日)において連載中「熱血タックル !ゴルフ界に新たな風を 第2回」を編集した文章になります。

株式会社セブンハンドレッド代表取締役社長/株式会社住地ゴルフ代表取締役社長/NPO法人スポーツコーチング・イニシアチブ代表理事
慶應義塾大学法学部卒、同大学院システムデザイン・マネジメント研究科修了。日本ラグビー協会U20日本代表総務補佐を経て現職。2016年6月、セブンハンドレッド入社、2019年4月社長就任。ビジョンは「みんなが幸せを実感できるゴルフ場」、地域とゴルフ場の融合を図り、次世代ゴルフ場作りを目指す。2021年1月に住地ゴルフ社長に就任。

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