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なぜフォントの単位は「ポイント」なのか?活字の歴史を辿る

活字印刷の歴史を振り返ると、その中にはフォントのサイズを表す「ポイント」という単位が登場します。
このポイントの起源と、現代のデジタルフォントと活字の違いについて、一緒に探ってみましょう。

1. デジタルフォントと活字の違い

まず基本的な違いを理解するところから始めましょう。

現代では「フォント」という言葉を頻繁に耳にしますが、これはデジタルの文字です。

一方、「活字」はかつての印刷技術で使われる、物理的な文字を彫った金属や木片で印刷した文字を指します。

「デジタルと現物」この区別を頭に入れておくと、今後の話がスムーズに理解できます。

2. 活字の初期:統一されていない時代

1730年頃、活字印刷技術が広まり始めた時期は、活字のサイズや形状に関する統一された規格や用語体系は存在しませんでした。

活字鋳造所という今でいう印刷会社とフォントデザインスタジオが一緒になったような存在が各々で独自の基準で活字を制作していました。

3. ポイントの誕生

そんな中、フランスの活字職人ピエール=シモン・フルニエが画期的なアイディアを生み出します。

彼は、活字のボディサイズに合わせて段階的なポイントシステムを導入しました。

当時フランスでの主要な計測単位であったブース(約1インチ)やリーニュは、活字サイズを詳細に表すには大きすぎました。

そこで、フルニエは1ポイントをブースの1/72と定義し、これが後の活字サイズの標準となりました。

4. ポイントから現代へ

フルニエの導入したポイントシステムは、時間を経て簡略化され、現代のデジタルフォントのサイズ表記の基礎となりました。

フルニエの名前を冠した「Fournier(フルニエ)フォント」は今も私たちの間で利用されています。
https://mall.aflo.com/font/detail.php?product_id=91263

Adobeソフトユーザーであれば、Adobe Fontsで「PS Fournier」として利用できるこの書体は、古き良き活字の時代の魅力を、現代の技術で忠実に再現しています。
https://fonts.adobe.com/fonts/ps-fournier#fonts-section

このように活字の歴史を知ることで、文字を見る目も少し変わるかもしれませんね。

文字の背後には、長い時の流れと技術の進化が隠されています。

次回からフォントサイズを調整する際に、その背景を思い出してみてはいかがでしょうか?

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