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フラジオレット(ハーモニックス)の話

弦の長さのちょうど真ん中辺り、各弦の開放弦の1オクターブ上を弾く時に
指板に当たるまで押さえず敢えて軽く浮かせ触るか触らないかの
ギリギリで弾くと、口笛のような音が出ます。
ヴァイオリンではフラジオレット、ギターではハーモニックスと言います。
開放弦の様な美しい音色なので独特の効果を狙う時に使われますが
普通に弾く時でも音程を創る際のガイドとなる便利な物理現象です。

私はこの現象をハイポジションでのポジション感覚のガイドにしていて
1オクターブ上のフラジオレットを小指で鳴らした時は4thポジション
薬指で鳴らした時には5thポジション、中指で鳴らした時には6thポジション
人差し指で鳴らした時には7thポジションとして感覚と紐づけています。

また跳躍の練習として、どの位置から跳躍しても
1オクターブ上のフラジオレットだけは人差し指から小指まで全部の指で
瞬時に確実に当てる練習をしています。

さて、この開放弦の1オクターブ上のフラジオレット2倍音と言います。
弦の長さの中央で開放弦の振幅を2等分する事で
2倍の速さで振動する事になります。
では弦の長さの1/3の位置でフラジオレットをした場合は3倍音となり
1オクターブ+完全5度上の音が鳴ります。
1/4の長さの位置でフラジオレットをした場合は4倍音となり
2オクターブ上の音が鳴ります。
1/5の長さの位置でフラジオレットをした場合は5倍音となり
2オクターブ+長3度上の音が鳴ります。

ボロディン交響曲第3番の2楽章の1stヴァイオリンの譜読みをしていたところ
音符の上に0と書かれ開放弦でのフラジオレットの指示が出てきたのですが
計算しないと押さえる場所が分からず焦りました。冷静に分析しましょう。

ボロディン交響曲第3番の2楽章

画像の最後の小節は開放弦の1オクターブ+完全5度上なので
3倍音のフラジオレットとなります。
弦の長さの1/3の位置を押さえるのでで加筆しました。

ボロディン交響曲第3番の2楽章

最後にも開放弦でのフラジオレットの指示が出てきました。
まずD線開放弦の2オクターブ、次がA線開放弦の2オクターブ
共に4倍音のフラジオレットとなるので
弦の長さの1/4の位置を押さえるのでで加筆しました。

この様にフラジオレットは出したい実音表記の下に
押さえる位置を◇で記譜するルールがあります。
ボロディンさんは書いてくださらなかったので自分で計算し加筆しました。

今日は少し難しい話になりましたが楽器の演奏って物理学なんですよね。

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