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ネック下がりの話

私が子供の頃は弦の最上位にガット弦のオリーブが有って
それ以外はナイロンのドミンナントでした。
スチール弦のクロムコアもありましたが
一般的にはドミナントでした。
いつの間にか弦の種類はとんでもなく増えて
高張力ナイロン弦が大流行しています。
エヴァピラッツィの登場がトレンドを変えた気がしますね。
まあ張力の高い弦は音量が出ます。とはいえ副作用もあります。

というのも強い弦を長く使っていると弦楽器はネックが下がるからです。
弦が引っ張る力でネックが少しずつ手前に倒れてくる現象です。
こうなると弦高が上がりとても弾きにくくなります
駒を下げることで応急処置は出来ますが
根本解決にはなりません。
指板を高めに付け直す事もありますがコレも根本解決にはならず
最終的にはネックを外して付け替える
継ぎネックという修理をする必要が出てきます。
オールドの楽器の背面を見るとネックの付け根に
黒い継ぎネック修理の跡が有る事があります。
ネックの付替えって感覚的には
別の楽器になってしまうようなものですから抵抗ありますよね。
実際に私はネック下がりが起きて、駒を下げた事も
高く指板を付けて凌いだ事がありますが
継ぎネックの修理にどうしても踏み切れず
最終的に修理を諦め楽器を買い替えた経験があります。

私が今使っているヴァイオリンは新作ですがネックが下がる事を見越して
ネックの角度を最初からキツめに付けていただいています。
駒もその分高めです。
ネックが将来下がった時に標準的な高さに落ち着いてくる設計なのです。

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