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ガンジャ先生。1-1
1章 〜プロローグ〜
雨の呼び出し
2012年6月中旬
Jay Alvarrez - UAE
東京都進学が有名な某私立高校。
梅雨真っ只中の少し暗い教室の一角で数人が呼ばれ話がされていた。
その場には?学校不登校者6名の両親を含めその家族が集められた。雨は降り続き静かな日だ。
そこである提案を告げられる。
「学校に来なくなったお子様を旅に出しませんか?気分転換の一貫とし、また費用の半分は学校より提供させていただきます。場所などは決まっておりませんが、現地にて担当の者が引率します」
集められた家族は、不登校になった事の対策や学校側より状況を話す会合と思い暗い顔をしていたが、思ってもない話だった。
「かわいい子には旅をさせるという昔のことわざもあります。少なくとも学校側としても何かしら協力できることはしたいと思います。期間は10日程度で調整します。内容は少し早めの修学旅行というとこでしょうか」
「あの‥‥‥その旅行に行かす事で何か変わるでしょうか?」
「変わる変わらないは個人次第です。ただ、もう少し視野を広く持つことは大切な経験と思います。これがきっかけになればお子様の悩みも解決に進むのではないでしょうか」
正直、両親一同は疲れた顔をし、いろいろと手は打ったが変わらない現状に困っている。
きっかけという言葉は思いの他効果的だった。
その後いくつか質疑応答など踏まえながら話は進み。
最終的にはどの家族も旅行に出すことに賛成する事で決まった。
□□□
細かな条件はないが、おおまかに以下の条件である。
○海外なのでパスポートを用意する。
○場所は伝えない。
○籠城される可能性もあるので朝迎えに行く。
○一人辺り費用は10万円程度。
○自己発見の旅行で、内容は知らせない。
○私服など必要なものだけ持たす。
○現地に担当アテンダントが案内をする。
□□□
その晩
「ハローハロゥ?」
「よー元気そうだね。山本だけど生きていたか?」
「生きてるわ!どうした国際電話なんて珍しいな。久々に遊びにくるんか?」
「うちの生徒を預かってくれないか?ちょい訳ありでな。遊び方や海外の楽しさを教えて上げて欲しい。もちろん費用は払う」
「‥なんか面倒くさそうだな。。仕事か?」
「立派な仕事さ。学校来なくなった奴らなんだが、そっちで楽しませて上げてくれ。ちなみにかわいい子もいるが、お前なら大丈夫だろ?」
「そっちの趣味はないわ!‥ん大人数でなければ。あと何でもOKか?」
「基本好きにやっていい。元マネージャーの腕前を発揮しておくれ。あとメールで定時報告をお願いしたい」
「はぁ‥借りだからな。断りきれんの知っといて。。詳細はメールでよこせ。報告はそっちで修正かけて誤摩化せよ」
「‥‥‥すまん。よろしく頼む」
電話は切れて窓を開けてタバコを吸う。
窓を開けるともう日も落ちたというのにムアっとした湿気が入る。外からは相変わらずの騒がしい音と、ビルの上に光るライトアップされた塔。
「‥高校生とか話すの何年ぶりだ。。珍しく山本にすればテンパっていたな。問題児か。鬼がでるか蛇と出るか」
こうして6人の引きこもりと中年のおっさん達の熱い南国で物語が始まる。
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