僕のおばあちゃん。
「これが私のボーイフレンドなの」
なんて言いながら、4歳くらいのちびっこ、
それも全然知らない人の子供の写真を見せてくる、
お茶目なおばあちゃん。御歳、84歳。
戦前から中目黒で工場をやっていた父のもとに生まれ、戦後の焼け野原から必死に生きた人。
中目黒の桜並木沿いにあるチーズケーキ屋さんで、22年も働く強者。さっぱりした性格。
これまでの15年ほど、あまり時間を共にしてこなかった分、ふと会いに行った時に出てくる話が、なかなかに面白い。
20年以上も前の話。
ある時、赤子を抱えたお母さんがチーズケーキ屋さんにきて、発送をお願いした。
当時、お店から発送するサービスはなく、断ることに。子供を抱えたお母さんは、どうしようかとまごついてた。
それを見たおばあちゃんは、「仕事終わったあと、私が出しとくからいいよ〜」なんて言ったらしい。多分何も見返りを求めてない、単なる親切心だったんだと思う。
そんな繋がりから、連絡を取り合うようになった2人。お茶をしたり、ふとしたときに立ち寄ったり、歯医者に行く時に赤子を預けたり。
わずか一言、店員さんとお客さんから、兄弟以上の友達になるという不思議な縁で、
赤子だった息子は、虎ノ門の一等地ビルの最上階、会員制のレストラン立派な料理人になり、
「ぜひお店に来てよ」なんで誘う仲になったらしい。
アメリカのペンフレンドとクリスマスプレゼントを送りあったり、家族の世話をしてくれてた看護師さんと抜け出してドライブして、30年来の友達になったり、羽田の行き方を聞かれたことから今でも電話をしていたり、毎朝ミャンマー人と朝の挨拶をしたり、、そんな不思議な縁に囲まれている人。
いわゆる実業家の元に生まれ、旦那も工場を作ったビジネスの世界で支え続け、文字通り尽くし続けた人。
やくざに呼び出されたときに、「私が行ってくる」なんて言って、手のひらに「110」と書いて乗り込んだ肝の座った人。
その根本に、人への感謝と人に尽くす、人のために、なんて精神が滲み出てるかっこいい人。
そして、なんだかんだ言いながら、愛する夫に尽くした人。先立たれてしまったけど、それでも毎日元気にラジオ体操に行っている。
84歳でもパワフルに生き続ける姿を見て、
この人みたいに生きたいな。なんて思った夜。
かっこいいなぁ。
2023.3.26