恐怖心への対処法 Vol.1
NICKSです
今日は、恐怖心への対処法Vol.1
というテーマでお伝えします。
この記事を読むことで、高所、水中など、生理的に恐怖心を抱く場合の対処方法から、仕事や人間関係など日常に至るまで、あなたが抱く不安や恐怖心への対処法の「基本」がわかります。
恐怖心を克服することで、新しいチャレンジへの機会を生かし、あなたの人生を推し進める方法がわかりますのでぜひ最後まで読んでください。
恐怖心というと、心の弱さと考える人が多数でしょう。
ですが、実は恐怖心とは決して弱さの表れではありません。
そして、ほとんどの人がこの恐怖心との
本当の向き合い方を知りません。
知らないからこそ、新たな挑戦をすることなく、
自ら困難に臨むことを避けたがります。
実は、恐怖心は実際には、正しく向き合うことで、自分の能力を発揮するための一番の起爆剤になるんです。
ですが、多くの人がこの向き合い方を知らないため、夢や目標を追う中で、
自分に限界を作りだし、心が折れ、諦めが生じ、せっかく抱いた崇高な目標も、踏み出すことなく諦めるか、チャレンジをやめてしまう人がほとんど。
現役の自衛官の中でも、これから空挺隊員やダイバーなど、高所や水中といった、人間が生理的に恐怖心を抱く環境へ挑戦する方もいるでしょうし、
自衛官や警察官でなくとも、仕事で自分の苦手分野など、思わず恐怖心がこみ上げる環境へ身を置かねばならない人もいるでしょう。
かくいう私も、いまだに高いところは得意ではありませんし、視界の効かない水中となると緊張を感じます。
現役時代には、強い恐怖心が湧き、胃がえぐられる感覚になったこともあります。
そして、苦手なこともいまだにたくさんあります。
ですが、そんな警戒心や恐怖心の強い私がSBUの小隊勤務に適応していたのは、普段からの
自己コントロール
を重視していたからです。
自分の特性を把握し、普段から自己コントロール力を高めておくことで誰もが恐怖心への対処法を学ぶことができます。
あなたが初めてのことや、苦手なこと、そしてやらなければいけないのに、方法がわからないとすれば、どうしても不安は感じますよね。
ましてや、身の危険に関わるようなことなら
誰でも恐怖心を抱くはずです。
解決法の糸口さえつかめなければ、
追い詰められ、パニックにもなって当然でしょう。
人は誰でも恐怖心を抱くと、身がすくみます。
心臓の鼓動が速くなったり、呼吸がうまくできなくなったり、
膝がガクガク震えたりと…。
そして、恐怖は大きくなればなるほど最悪の状況までイメージしてしまい、
そんな状況から逃げるための体勢を作りを始めてしまいます。
ここで質問ですが
あなたは、どんな状況にも冷静に対処する人とはどんな人物だと思いますか?
・物事に動じない
・恐怖を感じない
・危険をものともしない
・鉄のような感情
こんなイメージがあると思います。
ですが、これは外から見た表面的なイメージだけであって、決して本質ではありません。
本当に大事なのは、恐怖を克服したり、やっつけたりというのではなく、
恐怖とどう上手に付き合うか
の方法論です。
冷静に対処する人とは、恐怖や不安を感じないのではなく、例え感じたとしても、ちゃんと自分をコントロールし、適切に対処できる人のこと。
恐怖や緊張を感じないように押し殺すのではなく、そんな自分とどううまく付き合うかということ。
自己コントロールができれば、恐怖心にうまく対処することができます。
さらにこれは、後でも説明しますが、恐怖心を利用することで自分の能力を最大まで高めることが可能です。
では、自己コントロールを高めるにはどんな方法があるのか。
多数の心理的対処法がありますが、私が一番おすすめで、いつでもどこでもできる、そして誰にでもできる方法としておすすめなのは、
呼吸を整える
といういたってシンプルな方法。
「なんだ、ただの深呼吸か……」
とガッカリされた方もいるでしょう。
でも、呼吸法一つとっても様々な方法が存在します。
amazonで検索してみても、「呼吸法」というキーワードだけで優に40冊が超える検索結果が出てきます。
私のおすすめは、ロシア生まれの軍隊格闘術「システマ」の
ブリージング
です。
( 余談ですが、私も一度、著者の北川貴英先生のセミナーを受講させていただき、人間の身体特性と精神特性にかなったとても合理的な訓練方法で感銘を受けました。 )
恐怖を感じるのは決して悪いことでも、自分が弱いわけでもありません。
恐怖心は人間の正常な機能です。
実例を挙げると
1972年、大西洋上で爆破テロリストにシージャックされた豪華客船
クイーン・エリザベス2号の事案に対処するためイギリス国防省からSASとSBSの隊員数名と、爆破処理部隊のエキスパート ロバート・H・ウィリアムズ大尉 が派遣されました。
この作戦では、テロリストに気付かれず、隠密裏に客船へ近接するため、洋上へパラシュート降下するという作戦がとられました。
そして、ウィリアムズ大尉は
訓練でたった2回しかパラシュート降下を行ったことがない
のに、この時初めて実戦でパラシュート降下することになっています。
にも関わらず、実際の降下の際、ウィリアムズ大尉は、同行したSASやSBSの隊員にも「見事」と言わせるほどの落ち着いた降下を行いました。
それほどの華麗な降下を行ったウィリアムズ大尉も、実際のところ、降下の前には、
「自分は恐怖でガチガチになり、吐き気を催した」
と語っています。(参考文献:世界の特殊作戦史 1970−2011)
実戦経験の長い、屈強な爆破処理部隊員でさえ、高所には恐怖心を抱くんです。
これは、水中への恐怖心も同じこと。
つまり人間が本来生きられない環境では、
恐怖心を抱くのが当たり前
ということ。
だから大事なのは、恐怖心を抱いている自分とどう向き合い、どう対処するかです。
とはいえ、ほとんどの人がこの向き合い方を知りません。
そして知らないからこそ、恐怖心を抱くことによって
先へ進むことをやめてしまいます。
さらには、自分は弱いのだ、向かないのだ、と安易な決断をしてしまい、目標を諦めてしまう。
もちろん、先へ進む必要がないのであれば、あえて恐怖へ挑む必要もないでしょう。
しかし、崇高な任務へ就いたり、明確な目標がありながら、対処法がわからないがために折れてしまうのは非常に勿体ない。
特に現代の世の中では、国の情勢や経済の状況、治安の悪化や伝染病など、
黙っていても不安や恐怖を煽られてしまう状況が数多くあります。
こんな状況に対応し、自分の力を発揮して主導権を持った生き方をするためにも、不安や恐怖への対処法は、誰にとっても重要な課題です。
私が提唱しているメンタル・トレーニング・プログラムの中でも、恐怖心への対処を重視していますし、そういった、一見弱点に思える要素の裏にこそ、自分の強みも隠れていたりします。
例えば、
恐怖心が強いということは警戒心が強いということ
警戒心は、敵から身を守るために絶対的に必要な能力です。
だから自分自身を知って、弱点も強点も含めた「自分の特徴」を把握することが一番大事なんです。
弱点を決して悲観するのではなく、どう捉え、生かすかによって、
初めて、自分の武器を作り出すことができます。
自分と向き合うことで、初めて自分自身を勇気付けることができます。
そうすれば、いつも誰かに頼って勇気をもらうのではなく、自分で自分を勇気付けることができます。
そうなれば、今度は、
あなた自身が誰かを勇気付けることが可能
になるんです。
先ほどの爆破処理部隊員ウィリアムズ大尉の例でも、
吐きそうになるほどの恐怖を感じても、適切なパラシュート降下ができれば任務をこなすことが可能になります。
結局、恐怖心への対処というのは、
恐怖を感じないようにするのではなく、感じたとしても、
頭が働き、身体が正常に機能し、適切な行動が取れるということ。
だから、重要なのは、
恐怖を感じても自分をダメだと思わずに、適切な行動ができればオーケー。
ここで皆さんが、そんなことができれば最初から悩まないと思うのも当然でしょう。
でもシンプルに見てみると、大事なのは
・恐怖を感じる自分を肯定できること
そして
・恐怖の中でもベストな行動が取れること
この2つ
ができればいいんです。
恐怖心というのは、自分を守るための機能。
危険な状況にわざわざ陥るなという危険信号を出してくれています。
この、恐怖心のおかげで私たちは、危険を回避して日々安全に暮らせている。
特に恐怖心は、本来、人間が生きられない環境である水中や高所といった危険な状況に特に強く働くようできています。
いわゆる生理的恐怖です。
だから恐怖心に対する初めの一歩は、恐怖を感じたら、まずは自分の危険予測機能がちゃんと働いているということを認めてください。
これが、
自己肯定
です。
ここが、恐怖心に対処する始めの一歩になります。
ちなみに、どんな状況でも自己肯定できる能力をつけておけば、困難にも折れずに自分を信じ続ける力が生まれます。
例えば、あなたが何かの試験を受けるために、必死で勉強しているとします。ここで仮に、模擬試験が散々な成績で、全く合格圏内から外れているとすれば、あなたはショックを受けるでしょう。
でも、以前の自分と比べ、能力が伸びた部分を見つけることができ、
その伸び率をしっかりと実感できるなら、今は合格レベルにないとしても、きっと合格できると自分を肯定できますよね?
前進さえ続ければたどり着けるという「確信」です。
確信さえ持てれば、あとは進むだけ。
失敗した自分を肯定でき、すでにできている部分を認め、自分の能力が間違いなく向上していると実感できれば、道が絶たれない限りは、必ず目標を達成できるという自信が持てます。
そして、もっと前進してみようという気にもなります。
だからどんな状況でも自分を肯定できるということは、前進を続ける上でとても大事な能力なんです。
さらに、
恐怖があっても適切に行動できる状態
とは、恐怖に圧倒されても、やるべきことに集中できる、つまり、頭や体が動くということ。
不安や恐怖を感じているとき、人間は必ず脈拍が早くなり、
呼吸が浅く、体の筋肉が緊張し始めます。
体の緊張が強まれば強まるほど、
脳は危険信号を拡大し、
恐怖感を増幅させ、
ひどい時はパニックに陥ってしまう。
だから、これを防ぐために、
呼吸を整え、脈拍を正常に戻し、身体の筋肉をリラックスさせます。
恐怖心を頭の中だけで追いやろうとしても、根強い思考というのは消し去ることがなかなか難しいもの。
だから、
頭ではなく、体からアプローチする
ことで逆に心へも影響を与えることができます。
体をリラックスさせることで、脳の危険信号にストップをかけるんです。
ネイビーシールズ やグリーンベレーの隊員も緊迫した状況では呼吸を整えることで、緊張状態への対応をしていると言われます。
実際に、NAVY SEALs 第170期の最優秀訓練生で
イラクへの派遣任務もこなした、元SEALのマーク・ディヴァイン氏も、
正しい呼吸法は余計な思考を沈め心拍数を整えることができる
と言っています。
恐怖に押され、緊張した時ほど呼吸を整え、
体の筋肉を緩めることで緊張をコントロールすることができます。
これは、呼吸を整えるという
決まった一定の動作をするだけで対処できるので、
誰もが実践できる方法です。
呼吸で落ち着きを取り戻すことは、
古来人間がやってきている、最もシンプルな対処法です。
空手などの武道でも、「伊吹」といった呼吸法で、肝を鍛錬しますし、役者や音楽家でも、舞台へ上がる際は深呼吸を一つついてから人前に出る方も多い。
これも呼吸法による恐怖心への対処法の一つです。
こういった身体面からのアプローチで、身体を適切に機能させ、
恐怖心とうまく向き合うことができます。
その上で、あなたがその場面でやるべき行動を起こせばいいだけ。
そして、私が冒頭で伝えた、
「恐怖は能力発揮の起爆剤になる」
という理由ですが、
これは、恐怖心をうまくコントロールできれば、
それは
程よい緊張感
へと代わり、それは
最高の集中力
を促します。
この最高の集中力が、
あなたの能力を最大に発揮するための力になるんです。
集中力が高まれば、人はそのとき発揮できる能力を最大に解放します。
これが、恐怖心は自分の能力を発揮するための起爆剤になると言った理由です。
恐怖心の克服は私が提唱する、メンタル・トレーニング
「タクティカル・レジリエンス」でもあげている
4つの重要なメンタルスキル
・判断力
・集中力
・冷静さ
・洞察力
を向上させる最も今日強力な基盤になります。
特殊部隊を含め、緊迫した現場でも冷静に任務をこなすには
この4つのメンタルスキルが不可欠です。
恐怖心の克服は、この4つを大きく後押しします。
恐怖心を感じても不必要に悲観的にならない
そして、ベストな行動さえ取れればいい
この二つを大事にして、恐怖心を克服し、自分をコントロールしてみてください。
あなたは自分のフィールドで間違いなく能力を発揮する結果になります。
恐怖心にうまく向き合い、あなたが自分のパフォーマンスを発揮することができれば、どんな状況においても冷静に対処することができます。
人は変わろうとするとき、大きな不安に囚われます。
変わるということは、未知の世界へ足を踏み入れるということ。
初めての世界は、わからないことや予測できないことも多く、不安になるのも当然。
だからこそ、多くの人は変わることを恐れ、元の自分におさまり続け、相変わらずの不満を抱えたまま生きていく。
こんな人ほど、何かに必死に挑戦している人を見ては、ダメ出しし、バカにし、自分はあたかも物知りであるかのように振る舞って、冷静さを取り繕います。
こうした人は、そのまま不満を抱えた人生を続けるだけの人間です。
多くの人は、自分を変えようとするより、現状にとどまり続けるもの。
新たな世界で生じる不安を抱えるより、不満を抱いたまま、今まで通りの人生を進む方が楽だからです。
ですが、少なくともあなたがこの記事をここまで読んだということは、
あなた自身はそうではないということ。
夢、目標、願望その他を達成する過程で、不安、恐怖としっかり向き合うことができれば、あなたは、必ず自分の目標を達成します。
不安や恐怖と向き合うことで、必ず人生は変わります。
その先にはあなたにしか見ることのできない、あなたにしか味わうことのできない、
壮大な景色
が待っているんです。
その壮大な景色に、ぜひ自分の目で出会ってください!
あなたの豊かな人生を心から応援しています。
6MB版
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